松本利夫、EXILEパフォーマー卒業から10年 舞台は「山登りに似ている」 「よろしく候〜BOTTOM OF HEART〜」【インタビュー】

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2025年06月18日 08:10  エンタメOVO

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松本利夫 【ヘアメイク/稲野麻亜里:スタイリスト/jumbo (speedwheels)】 (C)エンタメOVO

 松本利夫が主演する舞台、LEGENDSTAGE feat.カムカムミニキーナ「よろしく候〜BOTTOM OF HEART〜」が6月26日から上演される。本作は、劇団「カムカムミニキーナ」の松村武が手掛ける幕末ヒューマンドラマで、17年ぶりに松本を主演に迎えてリメークされる。幕末を舞台にした本作は、海軍養成プロジェクトが始まる中、蒸気エンジンの機関部で働く船乗りたちの姿を描く。EXILEのパフォーマーを卒業して10年目を迎える松本利夫にこの10年を振り返ってもらうとともに、本作への意気込みを聞いた。




−今回、舞台の出演オファーを受けたときの心境を教えてください。

 お話をいただけてすごくうれしかったです。舞台出演は1年ぶりとなりますが、1年に1回くらい大変なことをしたいなと(笑)。舞台は、喜怒哀楽を出して自分の体を全て剝ぎ取るような作業をしていくのですが、どうしても年齢を重ねていくと楽な方にいってしまう自分がいるので、ここで泥水をすすろうかなと思っています。脚本を読ませていただき、直感でこれを演じてみたいと思いましたし、楽しみながら演じられたらと思います。

−脚本を読まれて、本作の魅力をどんなところに感じましたか。

 (松本が演じる)釜次郎は、ある意味、武士としてのエリート街道を突き進んできました。ただ、思っている以上に成果が出ない。そんな釜次郎がたどり着いたところが、蒸気船の船底最深部でした。そこでは、石炭をカマに放り込む男たちが働いています。最下層ではあるけれども、そこが動かないと時代は動いていかないというのが面白いと感じました。一番底辺のやつらこそが「俺たちが時代を変えていくんだ」という力強さを持てるのではないかと。

 それは、今の時代にも通じるものがあると思います。物価高などいろいろな変化があると思いますが、時代を変えたいならば、国民一人一人が考えを持って選挙に行ったり、自分が立候補したりして、底力を出す必要があるという意味では共通するところがあると思います。そうした今の時代背景も含めて、きっと何か刺さるものがある作品だと感じています。

−松本さんにも刺さるシーンはありますか。

 見えないところでたくさんのスタッフの方や関係者の方々が関わっていて、支えてくれていて、そうした方たちの力でわれわれは活動できているところがあるので、刺さるシーンはありますね。

−本作は2008年に上演された演目のリメーク版ですが、2025年版との違いは?

 実は2008年版はまだ見ていないんです。映像をいただいて見ようか迷っていたのですが、(作・演出の)松村さんとお会いしたときに「見なくていい」とおっしゃっていたので、見るのをやめようと思っています。映像を見てしまうと、どこかしら本能でそのときの芝居をなぞってしまいそうなので、終わってから見ようと思っています。なので、今回は自分の「よろしく候」を作っていこうと考えています。

−脚本を読んで釜次郎という人物についてはどのように感じましたか。

 すごく真面目で不器用で、曲がったことがあるとすぐに口に出して言ってしまう人です。ただ、これからの新しい時代に対してどう向き合っていくのか、誠実に向き合おうとするところも持っているように思います。

−榎本釜次郎は、幕末に実在した人物です。実在する人物を演じるとき、役作りなどで普段と違うところはありますか。

 もちろんその人物について調べます。ただ、今回の榎本はそれほど詳しいことが分からないんですよ(苦笑)。ネットで調べてもプロフィールくらいしか出てこなくて。松村さんも、青年期の細かいところは想像しながら書いたとおっしゃっていたので、史実通りにというよりは、稽古の中で今回の榎本釜次郎を作り上げていこうと思います。

−ところで、松本さんはEXILEのパフォーマーを卒業されて今年で10年になります。この10年間を振り返ってみてご自身の中で何か変化はありましたか。

 変化があったといえばありましたが、変わってないといえば変わってないです(笑)。EXILEのパフォーマー時代はEXILEのことやグループを大きくしていくことしか考えてなかったんです。でも、自分が卒業するタイミングで、別のことにも熱量が向くようになってきた。そういう意味では、変わったといえば変わりました。かといって目標を失ったわけでもない。そう考えるとあまり変わっていないのかな(笑)。

−パフォーマー卒業の前から俳優業をされていましたが、卒業されたことで俳優業に向き合う感覚は変わりましたか。

 向き合う感覚はそれほど変わっていないです。グループをやっているときも同じ熱量でしたが、ただ、舞台は本当に大変なので(苦笑)。お声を掛けていただけるのであれば、挑戦しようと思っていますが。

−ただ、そうした大変な中でも得るものも大きい?

 そうですね。充実感と達成感が大きいです。日常生活の中で、喜怒哀楽を出すことはあまりないと思いますが、舞台ではそれを毎日やっています。そうすると、心がきれいになっていくんですよ。それが自分にとっては、幸福を味わえる瞬間です。それは山登りにも似ていると思います。山を登るのはめちゃくちゃつらいけれども、頂上に立ったときには達成感や充実感が味わえる。そこから下山しなくてはいけないですし、幸せは一瞬だけですが、頂上に着いたときの気持ちをまた求めたくなるんです。

−なるほど。パフォーマーをされていたからこそ、生でお客さまの前でお芝居をすることに思いが向くというところもあるのですか。

 それもあると思います。生で演じることや表現することが好きなので、そこに楽しみを感じられるのだと思います。緊張も楽しめています。

−最後に公演に向けての意気込みと読者にメッセージをお願いします。

 (取材当時)まだ稽古前なのでこれから変わることも多いとは思いますが、この本を読ませていただいたときに、新しい時代に向かっていくエネルギーを感じました。「新しい時代に向かうためには、今、底辺にいる俺たちが動かないと新しい時代はつくれない」。そんな青春群像劇が描かれています。釜次郎たちの熱さと、それを演じる自分たちの魂の熱さを表現できればと思っています。

(取材・文・写真:嶋田真己)

 LEGENDSTAGE feat.カムカムミニキーナ「よろしく候〜BOTTOM OF HEART〜」は、6月26日〜30日に都内・シアター1010で上演。


LEGENDSTAGE feat.カムカムミニキーナ「よろしく候〜BOTTOM OF HEART〜」

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