「山形の公務員」がセクシー女優になったワケ。“セクハラ職場”と“家族の束縛”で「生きてることに絶望してました」

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2025年06月20日 16:11  日刊SPA!

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恋渕ももな
人気セクシー女優として知られる恋渕ももなさんは、山形の市役所に公務員として就職し、その後デビューした異色の経歴の持ち主。
安定した職業を捨てて、セクシー女優の道を選んだきっかけをインタビューしました。そこには地方都市で生き続けることのしがらみと、非常に難しい「親子関係」の問題が横たわっていました。

◆完全に「親の言いなり状態」で公務員として市役所に就職

――恋渕さんは、公務員からセクシー女優へ転身していますが、そもそも公務員になったのは自分がなりたかったからですか?

恋渕ももな(以下、恋渕):いえ、まったく。本当は、お洋服が好きなのでアパレル関係とか、服飾デザイナーとか。人と話すのが好きなので、接客業に就きたかったんです。

――公務員とはまったく違う方向ですね。それなのに、なぜ公務員に?

恋渕:完全に「親の言いなりになった」ためです。そもそも、歴史が好きなので文系の私立大学に通いたかったんですよ。

でも母親から「文系の私立なんて、行っても就職先がない」と大反対されて。「大学に行くなら、学費も生活費も出さない」と言われて、諦めたんです。 それで就職する、となっても、山形の田舎町なので、もう公務員くらいしかないかな、と。

――高卒ですぐ、公務員ですか。

恋渕:実は高校3年生のとき、部活で全国大会まで進んでしまって。公務員試験の対策がほとんどできなくて、1年目は落ちてしまいました。それで親から「公務員試験の予備校なら、お金を出してあげる」と言われて、公務員ルートが確定しました。

――部活はなにを?

恋渕:放送部です。当時も今もアニメが好きなので、声優さんに憧れを抱いていたんですよ。

――それなら、声優になる未来もあったのでは?

恋渕:その未来は両親の反対で、高1のときに閉ざされました(笑)。

◆深夜までの残業やセクハラ行為に苦しめられた公務員時代

――うーん、すごくご両親が厳しいと言うか……娘を完全に縛り付けるような考え方だったんですね。

恋渕:たぶんですけど……自分たちの目の届くところで、いわゆる「一般的な幸せ」を手にしてほしかったのかな、と思います。公務員はたしかに安定していますし、地元でそのまま結婚して、実家の近くに住んで……なんて未来を望んでいたのかもしれません。

――気持ちはわからなくはないですが、それが恋渕さんの自由を奪ってしまっていたのですから、難しいですね。実際の公務員のお仕事は、どうでしたか?

恋渕:お仕事内容は税務課で、主に軽自動車税、介護保険料、後期高齢者医療保険料をメインで担当していました。

公務員試験の成績が1位だったからか、私だけ明らかにほかの同期よりも仕事量が多くて。同期が定時で帰るのを見ながら、毎日深夜まで残業していましたね。そもそも、パソコンに向かっての作業が苦痛すぎて、「公務員、向いてないかも……」とずっと思っていました。

――さらに、セクハラもあったとか……。

恋渕:当たり前のように、セクハラはされていましたね。「何カップ?」なんて当然で、飲み会のときにお尻を触られるのも毎度のこと。飲み会帰りのタクシーで手をつながれてキスされそうになったときは、さすがに5千円札を叩き付けて帰りました。

しかも地元の市役所だから、私のことを小学生のころから知っている上司にそんなことをされたりするんです……ありえないですよね。

◆統合失調症で精神病院に入院。体重が1週間で10キロ減

――それはキツイですねぇ。

恋渕:1年目の途中で、仕事が苦痛で精神的に病み始めていたので、そういうのも重なってかなりツラかったです。

病院で「統合失調症」と診断されて、薬を処方されたんですがその薬が合わなかったようで、食欲がなくなるどころか唾液すら飲み込めない状態になって。体重が1週間で10キロも落ちたんです。

もう生きていることに絶望して、毎朝日課のように包丁をお腹に突き立てようとしちゃうんですよ。それで病院の先生に「危ないから、1回入院しよう」と言われて、4ヶ月くらい精神病院に入院していました。

――退院後は、お仕事に復帰したんですか?

恋渕:したんですけど、職場のトイレで吐いちゃうくらい、もう身体も心も受け入れられなくて。結局辞めてしまいましたね。

――でも辞めるとき、ご両親から反対されませんでしたか?

恋渕:お母さんは、私が病んでいるときも「我慢しなさい」って感じでした。だから近くに住んでいた父方の祖父母に相談して、そこで辞めるための準備をして。母親は激怒していましたが、強引に退職しました。

そのとき、祖父母に言われた「生きてるだけでいいよ」って言葉が、当時の私にとっては救いになりました。今も私にとっては救いの言葉なので、この言葉が聞けたのだけは良かったな、と思います。

◆大きすぎる胸がコンプレックスだった

――公務員を退職したあとは?

恋渕:もうここにはいられない、と思って、また祖父母に協力してもらって一回仙台に引っ越してフリーターをしていました。そこからオタク活動で上京したとき、ついでに面接を受けてデビュー、の流れです。

――じゃあ、もう早いうちにセクシー女優を視野に入れていたわけですね。なにかきっかけはあったんですか?

恋渕:もともとセクシー女優の大槻ひびきさんのファンで、興味はあったんです。それに私「人に見られたい」って願望がずっとあって。この願望を満たしたい、という気持ちもありました。

だけど、一番の理由は胸が大きすぎたことですかね。コンプレックスが武器になるお仕事があるなら、そのお仕事をしたほうが楽じゃないかなって。

――胸の大きさはコンプレックスだったんですか?

恋渕:そうですね。中1でEカップあったので、笑うしかないですよね。結局、どこで働いていてもイヤらしい目で見られちゃうんです。だったら「もう、脱いだほうが早くない?」って気持ちになったんですよ。

今はもう、Oカップの下着もキツくて……。でももう測ってないんです。

「まだ胸が成長している」って事実を突きつけられるのがイヤなので、測りません。絶望したくない(笑)。着れる服も限られてきてしまうので、今は無理やりブラトップみたいなので胸を潰しています。

――しかし、いきなりセクシー女優になるということに対して、不安はなかったですか?

恋渕:だからメチャクチャ事前に調べて、安心して働けそうな今の事務所を選びました。そういうところはちゃんとしてるんですよ(笑)。

◆セクシー女優だと知った両親の反応は

――ご両親は、恋渕さんのお仕事については知っているんですか?

恋渕:はい。最初は黙っていましたが、もう隠すのも面倒になったので打ち明けました。

母親からは「そこまでやってるのか」って言われました。グラビアとか、なにかしらやっているとは思っていたらしいんですけど。お父さんは……とくになにも。母親の前だと、なにも言えない人なので。

でも、祖父母にはもっと前からデビューに関しては伝えていたんです。年末、お正月と実家に帰ったときに今まで出た写真集を全部持っていって、お婆ちゃんに「見て!写真集!」って見てもらって。「キレイに撮ってもらって、良かったねぇ」って、全裸のページまで全部見てましたね(笑)。

――お母さんとは、そんな関係にはなれそうにないですか。

恋渕:難しいでしょうね。でもこの仕事は、受け入れてもらえるか拒否されるかの2択なので。私自身が今は生きていて楽しいので、それでいいかな、と思っています。でも打ち明けてからはこまめに帰って、顔は見せるようにしています。

◆「親から支配されていると感じるなら、一度離れてみるべきです」

――親から縛り付けられた人生を送ってきただけに、今の距離感がちょうどいいのかもしれませんね。以前の恋渕さんと同じように親に縛られて悩んでいる人も多いと思いますが、そういう人に声をかけるとしたらなんと言いますか?

恋渕:親って、子どもを自分のものだと思っている場合、子どもがイヤがっていることに気付かないんですよ。

言葉で「イヤ」と言われても、「あなたのためだから」になってしまうんです。だからそれこそ、一度無理にでも家を出る、くらいの行動をするべきだと思います。

もちろんトー横みたいな場所に行くんじゃなくて、信頼できる大人に相談して、ちょっと離れた場所で暮らして、働いて、くらいしないと。

――一度、親から、家から離れてみるべきだ、と。

恋渕:距離を置いたほうがいい、というのは、支配されている子ども側にも共通しているんです。

私もなんだかんだ言って、家を出て完全に離れるまで「親の言うことは正しい」って感覚がありましたから。家から離れることで、関係を客観的に見られるようになる、って感じですかね。

一回距離を置いてみて、そのあとでそこそこ縁が戻るならそれでいいし、どうしようもなければ縁を切るしかない。そこはもう、その家庭しだいなので。

少なくとも私は、家から離れて公務員よりも自分にビッグバンくらいのレベルで向いているお仕事ができているので、楽しく生きられています。あとは昔から夢だった、声優のお仕事のオファーが来れば最高なんですけどね(笑)。

<取材・文/蒼樹リュウスケ、写真/星亘>

【蒼樹リュウスケ】
単純に「本が好きだから」との理由で出版社に入社。雑誌制作をメインに仕事を続け、なんとなくフリーライターとして独立。「なんか面白ければ、それで良し」をモットーに、興味を持ったことを取材して記事にしながら人生を楽しむタイプのおじさんライター

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