
日当たりがよく南向きで眺望も良好――そんな条件をアピールする物件情報はよく見かけますが、実際には「朝は早く出て夜に帰るだけだから」と、住宅選びの際に「日当たり」の優先順位を下げる方は少なくありません。
【漫画】「どうせ平日は家に帰って寝るだけだし」と思って契約したけれど…(全編を読む)
ひとり暮らしを始めるにあたり、「日当たりの悪さ」を承知のうえでワンルームマンションを選んだAさん。実際に暮らしてみてわかった、その“見落としがちなデメリット”とはどのようなものだったのでしょうか。
「少し気分が沈みそうな部屋だな」と感じたものの…
Aさん(関西在住、20代、会社員)は、初めての転勤をきっかけに実家を出てひとり暮らしを始めることになりました。家賃補助はあるものの全額ではなかったため、少しでも毎月の出費を抑えるべく、築年数やエレベーターの有無などいくつかの条件を妥協して部屋探しをしたそうです。
唯一譲れなかった条件は「駅から徒歩10分以内」という点。そうして見つけたのが、シャッターの閉まった店が目立つアーケード商店街に面したワンルームマンションでした。古くて間口の狭い雑居ビルやワンルームが立ち並ぶ地域にあり、ベランダから手を伸ばせば隣のビルの壁に届きそうな建物だったといいます。
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室内は当然のように薄暗く、内見時には電気も止まっていたため、不動産仲介の担当者が懐中電灯を持参したほど陽の入らない部屋でした。
確かにAさんも「少し気分が沈みそうな部屋だな」と感じたものの、雨の日でも駅まで濡れずに歩けるアーケードの存在と、何より家賃の安さに惹かれて契約を決めたといいます。
日当たりほぼゼロのワンルームマンション
異動と引っ越しが終わってしばらくは歓迎会や挨拶回りで忙しく、土日も家具や生活用品の買い出しで外出していたAさん。帰宅後は本当に「寝るだけ」だったといいますが、日当たりの悪さが生活の中で次第に大きな問題になることに気づくまで、そう時間はかかりませんでした。
最初に気づいたのは「どれだけ干しても洗濯物がスッキリ乾かない」ということ。とくに厚手のバスタオルやパーカーは、一日中干してもパリッと乾かず、週末は近所のコインランドリーの乾燥機を使うようになりました。
続いて悩まされたのは、ベッドやソファに加えて、クローゼットにかけていた服にもカビが発生したこと。湿気の影響か、浴室やトイレも汚れやすく感じたそうで、Aさんはカビ対策用のスプレーを購入することにしたといいます。
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さらに「日当たりが悪ければ冬は寒いだろう」という予想は的中しただけでなく、加えて湿気がこもるせいか「日当たりが悪いのに夏はじめじめして暑い」という、まさかの状況に。さすがにAさんも「家にいる時間がいくら少なくても、この家はよくない…」と引っ越しを真剣に考えるようになったといいます。
そういえば他の住民もなんとなく不健康そう
とはいえ、引っ越しには敷金や礼金、転居費用などがかかるため、次の転勤を早めに希望してあと1年我慢しようかと悩んでいたAさん。そんなある日、ふと気づいたことがありました。
それは「同じマンションに住む他の住民も、どこか不健康そうに見える」ということでした。
たまに1階の集合ポストや階段ですれ違う住人は、ほとんどが独身男性。季節外れの咳をしていたり、顔色が悪かったりする人が多く、もしかすると掃除や換気の状態が悪く、体調を崩しやすい環境なのかもしれない…そう感じたといいます。
Aさん自身も、休日にたっぷり寝てもなんとなく疲れが取れないと感じることが増え、1年での引っ越しを決意。次は駅から多少遠くても、南向きで大きな窓があり、風通しの良い角部屋を選んだといいます。
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「朝は日が差し込むので自然と目が覚めますし、新しい家ではカビも出ません。パンも安心して買い置きできるようになりました。まさか日当たりの悪さがあれほど体に影響するとは思っていませんでした」
Aさんの前の住まいは、日当たりだけでなく風通しの悪さも重なった結果かもしれませんが、多くの人が「大事だけど後回しにしがち」な条件は、やはりないがしろにできないのだと気づかされますね。
(まいどなニュース特約・中瀬 えみ)
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