講演する公明党の斉藤鉄夫代表=25日午後、東京都千代田区 東京都議選で9回連続の全員当選を逃した公明党が、7月の参院選(3日公示、20日投開票)への危機感を強めている。「政治とカネ」や物価高で厳しい政権批判にさらされ、持ち前の強固な組織力もほころびが目立つ。大敗した昨年の衆院選からの立て直しを目指すが、低迷する党勢回復の道筋は見通せない。
「油断したということかもしれない」。公明の斉藤鉄夫代表は25日、東京都内で講演し、都議選の結果をこう振り返った。
昨秋の衆院選で、公明は自民党派閥の裏金事件のあおりを受け、当時の石井啓一代表が落選するなど議席を大きく減らした。斉藤氏の「初陣」となった都議選でも逆風は続き、改選前議席より擁立候補を絞ったが、36年ぶりに落選者を出す事態となった。
開票直前、党本部内では「7、8議席落とす可能性がある」との厳しい見方も出ていた。結果は擁立した22人中19人が当選。党幹部の中には「よく踏みとどまった」との受け止めもある。
ただ、議席を失ったのはいずれも党を象徴する選挙区。新宿区は、支持母体・創価学会が本部を置く。現職2人が共倒れした大田区は、党創設者の故池田大作・学会名誉会長の出身地だ。党関係者は「落としてはいけなかった」と嘆いた。
当選した選挙区でも、得票数が目標に数千票程度届かないケースが目立つといい、全体では前回比10万票減。国政選の比例票も減少が続く中、改めて集票力の衰えが浮き彫りとなった格好だ。
西田実仁幹事長は24日の記者会見で、都議選の敗因について「物価対策が不十分だとの民意(の表れ)ではないか」と分析。9月以降もガソリン価格の支援策継続を検討する考えを示したが、党内には「裏金問題などへの拒否感は政策ではカバーできない」との懸念がくすぶる。
「大変な世界状況の中、しかるべき決断ができなくなる。自公で過半数を維持させてもらいたい」。斉藤氏は講演で、参院選をあえて「政権選択選挙」と位置付け、自公政権の継続を訴えた。