3万年前の丸木舟航海は可能=全員熟練のこぎ手、黒潮計算なら―台湾から与那国島、論文発表

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2025年06月26日 07:31  時事通信社

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 3万年前の祖先が中国大陸と地続きの台湾から沖縄・与那国島へ渡った航海を再現した国立科学博物館のプロジェクトで、研究成果が二つの論文にまとまり、25日付の米科学誌サイエンス・アドバンシズに発表された。帆がない丸木舟でも、全乗員がかいでのこぎに熟練し、流れの速い黒潮にある程度流されることを計算して進路を取れば、渡航は可能と結論付けた。

 この「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」を率いた海部陽介・人類史研究グループ長(現東京大教授)は「台湾には与那国島が見える高い山があるが、偶然の漂流ではたどり着けない。季節や天候、海の状況から出発日を選び、男女を含むグループが移住するつもりでこぎ出したと考えられる」と話している。

 再現航海は2019年7月、シーカヤックガイドら5人(男性4人、女性1人)が長さ約7.5メートルの丸木舟に乗り込んで実施。同月7日午後に台湾東部沿岸を出発し、途中で流されながらも、45時間後に与那国島に到着した。

 沖縄や奄美の最古の遺跡は3万5000〜2万7500年前。当時の舟は残っていないため、当初は丈夫な草を束ねた舟や竹のいかだを作ったが、どれだけこいでも遅いと判明。丸木舟を石器のおので作るのは難しいが、黒潮を越えられる速さは丸木舟でないと出せないと判断した。

 海洋研究開発機構や愛媛大の研究者による海流シミュレーションでは、3万年前は現在より海面が低く、黒潮は速かったが、与那国島に近い方向に流れていた。再現航海の出発地は台湾東部の南寄りを選んだが、約100キロ北の地点の方が良かったことも分かった。 

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  • 太古の昔に外洋航海で人が移動した検証をした舟は他にもある。コンチキ号、ラー号、セントプレンダン号どれも信じられない原始的な舟だ。
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