「この作品、本当にたくさんの方に愛していただいて、本当に嬉しい限りでございます」
6月23日、映画『国宝』の大ヒット御礼舞台挨拶でこう述べたのは、立花喜久雄を演じる主演の吉沢亮(31)だ。同月6日に公開された本作は、3時間という上演時間ながら、22日までに動員数152万人、興行収入21億円を突破。動員数は公開2週目で前週比143パーセントを記録するなど、右肩上がりの大ヒットを収めている。
長崎の任侠一門に生まれ、抗争で父親を失った喜久雄が、渡辺謙(65)演じる名歌舞伎役者・花井半二郎に引き取られ、「女形」として芸の道にその一生を捧げる壮大な物語だ。横浜流星(28)演じる半二郎の息子・俊介と喜久雄が、終生のライバルとして切磋琢磨しながら、絆を深めていく様も見どころだ。
作中では、天才役者として圧巻の演技を見せつけた吉沢、横浜だが、役作りは相当大変だったようで、費やした期間は実に1年半に及ぶという。そのほか、高畑充希(33)や寺島しのぶ(52)、田中泯(80)をはじめとする豪華キャストの演技や、『フラガール』『悪人』など数々の人気作品を手がけてきた李相日監督(51)の技も光り、Xでは連日《国宝、傑作すぎた》《間違いなく今年一の邦画では》といった絶賛の声が広がっている。
映画のヒットにともなって、舞台となった、400年以上の歴史を誇る日本の伝統芸能「歌舞伎」への注目も高まっている。映画公開以降、歌舞伎の公演を見たことのないユーザーからは、こんな声が多く上がっている。
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《歌舞伎は日本のエンターテインメントの原点なんだと感じた。単純だけど歌舞伎を見てみたいと思った》
《歌舞伎を観に行きたいって生まれて初めて思った》
《七月大歌舞伎のチケット予約してみた『国宝』で背中押されてついに歌舞伎デビューだ!》
《『国宝』観に行ってきました!!初めて触れた歌舞伎の世界で、伝統芸能の美を感じました。美の暴力。。ちゃんと歌舞伎を観にいきたいと思ったし、芸事の良さを改めて実感しました》
こうした投稿からは歌舞伎への関心の高まりがうかがえるが、6、7月だけでも『尾上菊之助改め 八代目 尾上菊五郎襲名披露 尾上丑之助改め 六代目 尾上菊之助襲名披露 六月大歌舞伎』(歌舞伎座)、『六月博多座大歌舞伎』(博多座)、『歌舞伎 刀剣乱舞』(新橋演舞場)、『七月大歌舞伎』(歌舞伎座、松竹座)など、注目の公演が目白押しだ。
そこで本誌は、東京・歌舞伎座や京都・南座を運営し、歌舞伎の製作・興行を行う「松竹」に対し、映画『国宝」公開以降、チケットの売れ行きに変化があるかを問い合わせたところ、広報担当者からは以下の回答が寄せられた(以下、カッコ内は担当者の話)
「いずれの公演も前売発売日以降、おかげさまで大変ご好評をいただいておりますが、映画『国宝』をご覧になられてチケットをお買い求めいただきましたお客様も多くいらっしゃるものと考えております。
弊社のチケットご購入電話窓口(『チケットホン松竹』)に 映画『国宝』をご覧になられた方から歌舞伎公演チケットのご購入についてのお問い合わせをいただいております。
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南座が本作品上の中心地である京都にございますことから、南座にて今夏に予定しております『舞台体験ツアー』が従来以上にご好評をいただいておりますことなど、様々な事象から本作品の反響の大きさを弊社としても認識しております」
そのほか、『国宝』のヒットを受け、歌舞伎への注目が高まっていることについて、担当者はこう語ってくれた。
「映画の製作、配給を手掛けております弊社にとりましても、本作品が公開当初から大きな話題となり、国内映画市場に大きな活況をもたらす観客動員を実現されていることは大変喜ばしいことです。
また同時に、本作品の主題となっている歌舞伎が注目され、多くの方々の関心が集まっておりますことを 弊社としましても大きな励みとして、皆さまとともに今後の歌舞伎公演を一層盛り上げて参りたいと存じます」
この夏は、歌舞伎が日本を席巻することになりそうだ。
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