黒沢薫、乃木坂46中西アルノと1年半共演で「頼りにしてます」【『Spicy Sessions』収録後インタビュー】

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2025年06月27日 17:00  ORICON NEWS

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7月放送分『Spicy Sessions』に出演する(左から)黒沢薫、中西アルノ
 ゴスペラーズの黒沢薫、乃木坂46の中西アルノがMCを務める音楽番組『Spicy Sessions』(CS放送TBSチャンネル1)。放送開始から1年半、第15回衛星放送協会オリジナル番組アワードでバラエティジャンル最優秀賞も受賞した同番組。このたび、6月と7月放送回の収録レポートが公開された。

【番組カット】横顔に惚れる…!しっとりと「ひこうき雲」を歌う中西アルノ

 6月放送分のゲストは、デビュー20周年を迎えた韓国出身のシンガーソングライター・K。黒沢とのセッションではスティーヴィー・ワンダーの「Isn’t She Lovely」を披露。続いて披露されたのは、レディー・ガガとブルーノ・マーズのデュエット曲「Die With A Smile」。黒沢が「アルノさんが歌えるようになるまで待っていた」と明かした言葉に、中西は「ハードル上げますね(笑)」と返し、笑いを誘っていた。

 中西のソロパートでは東京事変の「修羅場」を披露。バンド紹介も含めて“バンドを従える”意識で挑んだといい、言葉をスムースにつなぎながらグルーヴを生む歌唱で成長を感じさせた。Kと黒沢は「Friends before Lovers」でセッション。歌い終わった後に2人はがっしりと握手を交わし、Kが「涙が出そう」と語る場面もあった。

 7月放送分のゲストは、“クイーン・オブ・シティポップ”こと土岐麻子。テレビではあまり歌われないマニアックな楽曲「KAPPA」で幕を開けたステージでは、土岐の音楽的ルーツに迫るトークも展開。中西とのセッション曲に選ばれたのは斉藤由貴「土曜日のタマネギ」。黒沢とのセッションではマイケル・ジャクソン「Human Nature」を披露し、中西はその時間を「最高のご褒美タイムでした」と振り返った。

 中西がソロで歌ったのは、荒井由実「ひこうき雲」。黒沢の発案による番組オリジナルアレンジが施され、また一歩新たな挑戦へと進んだ姿を見せた。

■収録語インタビュー

――セッションをしている時、お2人はどんなことを考えているんですか?例えば「Die With A Smile」とかは?Kさんも含めて、アイコンタクトする場面もありましたね。

黒沢:アルノさんに対してはもう、本当に正直「どうぞ、頼りにしてますよ」って思っていますし、アイコンタクトで「思いっ切り行ってね」と思いながら歌っています。

中西:私の中で少しずつできるようになってきたとはいえ、不安もまだまだ大きいので。でもなんかやっぱり…歌いながら「師匠、ここはこうで大丈夫ですか?」って思いながら歌っています。

――「師匠、さっき言ってたの、こういう感じですよね?」みたいな?

中西:そうですね。そういう気持ちもありつつ。そこに加えてこう…自分自身を鼓舞できるという瞬間でもあるんですよね。視線を合わせながら、よしもっといける、もっといこうって思うこともたくさんあるので。

黒沢:わかる!それはすごく伝わってきます。さっきも言ったけど、アルノさんに対して信頼感があるんです。番組を一緒にやってきて、お互いのハモり癖とかも知っている。だからそこはリラックスできるし、いろんなことをやってみようとも思えるんですよね。番組を始めたばかりの頃みたいに、アルノさんと2人で後ろを向いて、ここはこう歌う、ここはこうハモるみたいなのは、僕の中ではもう必要ないと思っているんです。

――そういえば、そういうシーンが収録中になくなりましたね。

黒沢:でしょう?(笑)もう簡単にイメージを伝えただけで、ちゃんと乗っかってきてくれることがわかっているから。バンドメンバーも含めて、本当に楽しく音楽を奏でられるようになってきたなと思っています。2人、あるいはゲストを含めた3人の歌を作って、それを歌いながら僕自身も楽しんで聴いているっていう感じ。安心感があるから、僕も楽しめるんです。

――中西さんは、初回の放送で椎名林檎さんの「丸の内サディスティック」をソロ歌唱していますよね。スティーヴィー・ワンダーも、以前の放送でセッション曲に選ばれている。そして今回の収録で、東京事変「修羅場」、スティーヴィー・ワンダー「Isn’t She Lovely」をセッションしている。データ的な側面だけみると、原点回帰と呼べなくもないですけど、全然、そう感じさせなかったことに驚いたんですよ。Kさんのゲスト回とか、ブラックミュージック色が濃い楽曲をセレクトしているのに、収録を終えてそういう印象はなかった。そこから、ジャンルさえも、もはや越してきたなって感覚があったんです。『Spicy Sessions』っていうジャンルがあるみたいだなと思った。

黒沢:それはうれしいですね。仰る通り、楽曲へのアプローチの仕方が増えたと思うんですよね。『Spicy Sessions』を通して、これまで僕自身があまり触れてこなかったようなジャンルの歌を歌うことも新しい経験になっていると思うんです。この年齢になって新しい経験をさせてもらえるっていうのは、本当にありがたいことで。

中西:毎回、いろんなことを黒沢さんから教えてもらうんですけど、それとはまた別に、自分で受け取って感じることも大きくて。「Die With A Smile」も「修羅場」も、これまでのこの番組のいろいろな積み重ねがあったからこそ、出てきたアプローチだと思うんです。

黒沢:アプローチの幅というか、引き出しが増えたのは僕自身の中にも自覚があって。今、ゴスペラーズのメジャーデビュー30周年ツアーをやっているんですけど、ゴスペラーズとして歌う時も、歌の引き出しが増えているのを実感するんですよね。例えば、周年ツアーなんで昔の曲もたくさん歌っていますけど、リズム感とかが、前とはちょっと違ってきてるんですよ。歌い回しは変えずに、ちょっとした声の出し方とか、ちょっとした響きの調整とかで変わってくる。そこがちゃんとできているのは、本当にこの番組のおかげだと思うので。バンドがね、いつも正解を出してくれるんですよ。もちろん音楽なので正解はひとつじゃないんですけど、その時、僕らが欲しいと思う音、その時の正解をしっかり出してくれる。正解の上で歌うと、やっぱり歌のスキルは伸びるんですよ。アルノさんばっかりね、修行とか無茶ぶりとか、この番組が成長ドキュメントだって言われているけど、実は僕にとっても同じように修行の場であり、まだまだ進化できるなって確認できる場でもあるんです。

中西:そうですね、私の修行の場っていうのは本当にそうなんですけど、黒沢さんも北京語で歌われたりとか、あえて上ハモでご自分の限界に近い音域に挑戦してみたりとか、横で見ていると、自分に“課している”と感じる場面がたくさんあるんです。本当に毎回、たくさんある。だから私にとって黒沢さんは師匠であり、ちょっとこう…私が言うのはおこがましいかもしれないですけど、一緒に戦ってきた同志であり仲間であり…みたいな気持ちがすごくあるんです。

黒沢:アルノさん、それ、すごくうれしい!

中西:本当ですか!いやでも本当にバンドのみなさんも含めて信頼できる仲間がいるから、もっとこうしよう、もっとこうしたいって思うことができるというか。自由にやっても受け止めてもらえる安心感があるんです。

――「修羅場」は「バンドでやってカッコいい曲」って基準で選んだんですもんね。実際に歌ってみてどうでしたか?

中西:はい。原曲には原曲の良さがもちろんあるんですけど、それとはまた違う良さがたくさんあって。歌っていて、全然違う曲みたいだなと感じていました。

黒沢:良かったよね。リハーサルより本番の方が何倍も良かった。アルノさんがバンドをひっぱる形じゃなくて、バンドの音に乗って歌っていた。

中西:はい。リハーサルではまだ椎名林檎さんっぽい感じが残っていたと思うんです。自分でリハーサルの映像を見てそう思って。だから違う形を出さないと、と思って本番に臨みました。私が本番前に、「修羅場」はとにかくバンドが聴きたくて選びましたっていうことをバンドメンバーさんに話したら、皆さんが「じゃあやるしかないね!」って仰ってくれて。イントロが流れた瞬間にもう、その気持ちが痛いくらいに伝わってきて。「私もこの気持ちに乗っかっていくしかない」って思って。本番では唯一無二のものが出せたんじゃないかなと思っています。

――そして18回目放送の収録では、番組史上初のマイケル・ジャクソンの曲も登場しましたね。まだマイケル・ジャクソンの曲をセッションしていなかったってことが意外でした。

黒沢:これまで何回か候補曲としてはあったんだけど、実際にセッションしたのは今回が初めてでしたね。外していたとかそういうわけではなく、結果として初めてだったんです。土岐さんってやっぱりすごく世界観があるから。そこを雰囲気とか世界観だけじゃなくて、彼女の歌を音楽としてしっかり紹介するっていうのが、テーマとしてあったんですよね。そこはちゃんとできたんじゃないかなと思います。

中西:「Human Nature」は、本当に土岐さんと黒沢さんの素晴らしさが曲を作っていたと思うんです。原曲とはまったく違う雰囲気だったので、驚きましたし、こういうところが、やっぱりすごいって思いますし、毎回楽しみなんですよね。

――中西さんに伺いたいことがあって。「ひこうき雲」を歌う前にちょっと触れられていましたけど、『Spicy Sessions』でMCをするようになってから、曲のディグり方とか変わりました?

中西:変わりましたね。ボーカルとか歌詞ばっかり見てたんですけど、この番組でバンドの音をすごく意識して聴くようになって。「うわ、このベースかっこいいな」「ここのドラムかっこいいな」とか、そういうところも楽しめるようになりました。それから、松任谷由実さんもそうですけど、作家さんとかで掘っていったりするようにもなりましたね。

黒沢:この発言が完全にね、いい音楽を探しているアーティストの発言なんですよ。

中西:本当に今はいろんなアーティストの音楽を聴いていますね。前はプレイリストのお薦めに出てきたアーティストから…ってことが多かったんですけど、今は、自分でアーティスト名を入れて調べることも多くなりました。

黒沢:僕はここ数年、そういう…サブスクのアルゴリズムが気になっていて、そこもひとつのポイントにして聴いていたんです。そうするとずっと好きなジャンルの音楽が出てくることになるじゃないですか。

――そうですね。それがサブスクリプション音楽配信サービスの大きな特徴でもありますから。

黒沢:でも最近はそうじゃなくて、道で流れているものだったり、ラジオとかで知ることが増えました。スタンダードな曲は、もうこの番組のMCをしている中で、自然に自分の中にたまっていくんですよね。候補曲とかを聴く中で調べていくから。そこも改めて良かったなと、最近改めてこの番組のすばらしさと音楽のすばらしさを実感しているんです。

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