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「いのちのとりで」が守られた――。生活保護費の減額を違法と断じた27日の最高裁判決。過去最大の基準額引き下げが始まってから12年を経ての司法による救済に、受給者側には「裁判所が役割を果たしてくれた」と安堵(あんど)の声が広がった。
最高裁が生活保護費の減額を違法と認めたことで、後続訴訟も最高裁の判断に沿うことになる。地裁、高裁段階では、減額を違法とした判決が27件、適法は16件。各地の原告からは歓迎の声が上がった。
富山訴訟(名古屋高裁金沢支部で審理中)の原告、村山和弘さん(84)は「生活保護受給者でも社会の価値観を変えられると示せた」と判決を受け止めた。
村山さんは亡き妻と学習塾を経営していたが、ともに病気を患い、働けなくなって生活保護を申請した。洗濯物を手で絞り、月末になれば現金を数える日々。追い打ちをかけるように生活保護費が減額された。
法廷で妻は「減額は努力の限界を超えている」と訴えたが、2017年に旅立ち、村山さんが原告の立場を引き継いだ。富山訴訟は1審が受給者側勝訴で、9月に2審判決を控える。
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村山さんは「お互いが助け合い、思いやる社会に向かう一歩になった。妻が闘ってくれたおかげだ」と笑顔をみせた。
原告勝訴の一報を聞いた静岡県の原告や支援者は「勝った!」と喜び、拍手が起こった。提訴から10年がたち、亡くなった原告もいる。浜松市に住む原告の山本定男さん(80)は「今まで長く闘ってきた。最高裁勝訴の言葉だけで、うれしい」と話した。
静岡弁護団長の大橋昭夫弁護士は「全ての人に、幸せに生きる権利がある。行政を含め全ての人に真剣に受け止めてほしい」と述べた。【島袋太輔、藤渕志保】
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