
人生山あり谷あり、なのだけど……。1度不幸がはじまると、なだれのように不幸の連鎖が起こり、後戻りできないようなところまで追いつめられてしまうこともあります。
今回ご紹介するのは「人生詰んだ」状態になってしまったシングルマザーのお話。差別や目に見えない不平等がはびこるいまだからこそ、多くの人に観てほしい注目作。
毎週金曜は各配信サイトで観られるオススメ作品を紹介する日。
今週もよく頑張った……週末はおうちでゴロゴロしながら、Netflix映画『ストロー:絶望の淵で』を観て、カウチポテトになっちゃお〜!
【あらすじ】
幼い娘とふたり、ギリギリの生活を送っているシングルマザーのジャナイヤ。娘には持病があるため、薬代がかさんでおり、仕事をかけもちしても生活はままなりません。
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そんなある日のこと、ジャナイヤは家賃を滞納して家から追い出されてしまいます。あげく、ちゃんと面倒を見れていないようだと児童相談所に通報されて娘から引き離されるわ、スーパーの仕事をクビになるわで、ついには自暴自棄に……。
【ココが見どころ!】
<その1:止まらない不幸の連鎖>
驚くことに、ジャナイヤの不幸はこれだけにとどまりませんでした。
せめてお給料だけでも取り戻さないと……と立ち寄った職場のスーパーに強盗が乱入! おまけに、勘違いしたスーパーの店長が「ジャナイヤも強盗犯の仲間だ」と警察に通報してしまったのです。
パニックになったジャナイヤは、強盗犯の銃で犯人と店長を射殺(!)。そして娘のためにお金が必要だと銀行へ向かったところ、今度は「銀行強盗」に間違えられてしまうのです。
これぞまさしく絵に描いたような “不幸のドミノ”。限界まで追いつめられたジャナイヤはここから挽回できるのか、それとも……。
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<その2:主人公にもたらされるひと筋の希望>
ジャナイヤはただ、娘との生活を守りたかっただけ。泣き言もいわず誰にも頼らず、必死で生きてきたのに、彼女を待ち構えていたのはあまりにも過酷な運命でした。
けれど、どんな地獄にも「救い」はあります。ジャナイヤの味方になってくれる人が、ひとり、またひとりと現れるのです。
本作は非常に重たく、目を覆いたくなるほど憂鬱なシーンも多いけれど、この「味方」の登場により希望が見えてくる……!!
<その3:とんでもない緊張感と急転直下なラスト>
本作は終始、ギリギリの緊張感に包まれています。いつ爆発するかわからない火薬庫に閉じ込められているかのような、手に汗握る時間がなんと1時間47分も続くのです。
運命に翻弄されて、不幸の濁流に飲まれてゆくジャナイヤ。最終的に彼女はどうなってしまうのでしょうか。
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おそらく本作を鑑賞した人のほとんどがラストシーンで息をのむことでしょう。物語の着地点はぜひあなたのその目でたしかめてみてください。
【社会に疎外された人たちへ】
差別、貧困、不平等、そして孤独ーーー。
誰も救いの手をさしのべてくれない冷たい世の中で、見過ごされ、認められないまま生きてきたジャナイヤは「誰も私たちのことを見ていない」と訴えます。
これは社会に疎外された人の物語。もしもあなたがそう感じているのなら、あなたのための物語でもあるかもしれません。
■今回ご紹介した作品
『ストロー: 絶望の淵で』(原題:Tyler Perry’s STRAW)
2025年6月6日からNetflixで独占配信中
※カウチポテトとは:ソファや寝椅子でくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごすようなライフスタイルのこと。
執筆:田端あんじ (c)Pouch
Photo:Chip Bergmann/Perry Well Films 2/Courtesy Netflix © 2025 PERRY WELL FILMS 2, LLC. All Rights Reserved