【陸上】女子400m新星フロレス、6月に日本国籍取得 初出場の日本選手権制し世界選手権へ

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2025年07月02日 05:00  日刊スポーツ

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フロレス・アリエ(2025年5月9日撮影)

陸上の日本選手権が4日、東京・国立競技場で開幕する。女子400メートルのフロレス・アリエ(21=日体大)は短距離の有望株。5月の静岡国際を51秒71で優勝し、08年丹野麻美の日本記録を0秒04、9月の世界選手権東京大会の開催国枠エントリー設定記録を0秒03上回った。当時はペルー国籍だったため日本記録には認定されなかったが、6月に日本国籍を取得。初出場の日本一決定戦を制し、世界選手権への道をひらく。


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フロレスが一躍脚光を浴びたのは、5月の静岡国際だった。日本記録を0秒04も上回り、会場からどよめきが起こった。「競ったら52秒台が出ると思っていたけど、まさかの51秒台。出したというよりも出ちゃったという感じ」。自己ベストも1秒32更新。世界選手権の参加標準記録(50秒75)とは差があるが、目を丸くしながら喜んだ。


日本とペルーにルーツがある父と、ペルーとイタリアにルーツがある母のもと、浜松市で生まれ育った。中学から競技を開始。東海大翔洋高2年時から400メートルを始めると、同年の全国高校総体でいきなり6位入賞を果たした。大学2年となった昨年9月には、学生日本一を決める日本学生対校選手権で初優勝。今オフは上半身の筋力アップに励み、ベンチプレスの重さは昨年から20キロ以上増の40キロを持ち上げられるようになった。「腕が大きく振れるようになり、足のストライドも広がった」と今季の飛躍につながった。


“フロレス流”の集中法も躍進を支えている。いつもレース前は「走りたくない」と後ろ向きになるというが「トラックを1周したら帰れる」と独自の思考でスタートラインへ立つ。サングラスを欠かさないのは「レースに集中するため」と理由がある。


すでに今秋の世界選手権の開催国枠エントリー設定記録は突破。日本選手権で優勝すれば、代表入りへ前進する。注目度は高まるばかりだが「それだけたくさんの方に支えてもらっていると思えば、競技にもつなげられる」と歓迎。明るい性格も魅力の新星が、その名をとどろかせる。【藤塚大輔】


◆陸上世界選手権の一般種目の代表選考 各種目の出場枠は最大3(女子やり投げは4)。日本人最上位のパリ五輪入賞者は、1月1日から日本選手権までに参加標準記録を突破すれば内定。8月24日までに標準記録を突破した上で日本選手権で3位以内に入れば、代表に大きく近づく。開催国枠は、参加標準記録や世界ランキングなどの選考条件を満たした選手が1人もいない種目に適用される。


◆フロレス・アリエ 2004年(平16)6月2日生まれ、浜松市出身。舞阪中で陸上を始め、東海大静岡翔洋高を経て23年から日体大。24年日本学生対校選手権で200メートル、400メートルで2冠。400メートルの自己ベストは51秒71。両親、姉、双子の兄の5人家族。

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