22年の北九州記念を制したボンボヤージ(22年8月撮影、ユーザー提供:かっちゃそさん) 今年で60回目を迎える北九州記念だが、過去の勝ち馬の中で最も人気がなかったのが22年のボンボヤージだ。単勝164.3倍の低評価を覆し、アッと驚く重賞初制覇。ちなみに先日のしらさぎSでは5番人気→1番人気→14番人気の決着で3連単が50万を超えたが、このレースは単勝164.3倍が勝利しても3連単が49万円台に留まったのだった。そんな一戦を振り返る。
フルゲートの18頭で争われたスプリント戦、1番人気は今も現役で活躍中のナムラクレアだった。当時3歳で函館スプリントSを勝利しての臨戦。これに続くのが同じく3歳で、CBC賞からの重賞連勝を狙うテイエムスパーダ。3番人気以下は2年4カ月ぶりのタイトルを目指すタイセイビジョン、3歳で軽量49kgのアネゴハダと続いた。
レースは前半3F32秒8のハイペースで流れた。逃げたテイエムスパーダは直線に向いて失速。かわって浮上したのが最内枠からロスなく運んだボンボヤージだった。残り200mで先頭に立つと、後続を引き離す。内から脚を伸ばすタイセイビジョン、ゴール前で急追したナムラクレアの2着争いを尻目に、1馬身1/4差の完勝。51kgの軽量に加え、結果的に最内枠が味方したことは確かだが、とても16番人気とは思えない走りで初タイトルを手にしたのだった。
当時5歳だったボンボヤージはこの後、7歳春まで現役を続けたが、再び勝利を挙げることはなかった。それだけにこれが一世一代の走りだったといえるだろう。全兄のファンタジストに続く、夏の小倉芝1200mでの重賞初制覇は多くのファンの印象に残っているはずだ。