<陸上:日本選手権>◇4日◇第1日◇東京・国立競技場◇男子100メートル予選7組
世界選手権2大会連続入賞のサニブラウン・ハキーム(26=東レ)が、自身の決断に悔いを残さなかった。
予選7組に登場。向かい風1・5メートルの条件下、10秒45の4着で予選敗退となった。夜の準決勝進出には各組3着以内と、タイム順での上位3人が条件だった。
初出場した15年以降、大会前に欠場した場合を除けば、100メートルで予選敗退となるのは初めてとなる。100メートルで3度、200メートルで2度の優勝経験があるエースが、早々に姿を消すことになったが「(悔いは)全然ないですね。逆にやって良かったと思います」と強行出場の決断を振り返った。
前日3日の前日会見では、負傷を告白していた。6月26日の練習中に全治3週間の右股関節上部の骨挫傷を負ったと明かし「足を上げると痛みを伴う。おそるおそるやっている自分も少なからずいる」と話していた。合わせて出場する理由に関して「プロ選手として、陸上界を引っ張っている選手として、見に来てくださるお客さんたちのため、応援してくれている子どもたちのために走らないといけない。自分だけの競技生活ではない」と明かしていた。
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一夜明け、金曜日の午後4時過ぎに臨んだ予選。観衆はまばらだったが「遠くから応援してくれている方も、もちろんいると思いますし、いろいろな人とふれあって、いろいろなところに行って『応援しているよ』と言われることが多い。着順では(準決勝進出ラインに)入らなかったですけれど、何かしらの姿は見せられたと思う。本当にこういう小さいところで、何かしらのインパクトを与えられたら、選手としてうれしいですし、人として何か少しいいことをしたのかなと思います」とこだわりはぶれなかった。
今大会は9月の世界選手権東京大会の選考を兼ねる。サニブラウンは日本勢でただ1人参加標準記録(10秒00)を突破しており、今大会で内定するには3位以内が条件だったが、出場権獲得は持ち越し。世界ランキングでは日本人トップにつけているため、8月下旬以降に代表入りが決まる見通しとなっている。今後に向けては「自分の番が回ってきた時に、しっかりとした準備をして、走れるように心構えをしておくのが、一選手として、プロとしての心構え。ただ出るだけじゃなくて、出て、自分が目標としている、皆さんに見せたい走りをしっかりやるように、ここから1日1日、無駄にしないように頑張っていければと思います」と誓った。【松本航】
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