<巨人1−0広島>◇4日◇東京ドーム
強烈な一撃で試合を決めた。巨人トレイ・キャベッジ外野手(28)が両チーム無得点の8回1死から代打で登場し、値千金の今季8号ソロを放った。前カードの阪神3連戦初戦の1日は、代打で右前打を放つも二塁憤死。手痛い暴走で反撃ムードをかき消した。それから3日後、汚名返上の1発で勝利の立役者となった。投げては先発山崎伊織投手(26)が8回3安打無失点、10奪三振の好投でリーグトップタイの8勝目。チームは連敗を3で止め、3位に浮上した。
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本塁を前に、勢いよくダイヤモンドを回ってきたスピードを少し緩めた。天を仰いで神に感謝するキャベッジのおなじみのしぐさ。5月28日の広島戦以来の8号ソロ。お立ち台で「サイコー!」と叫んだのも無理はない。
緊迫の投手戦。0−0で迎えた8回裏だった。出番は熱投を続けていた先発山崎に代わって。「素晴らしい投球を続けていたので、なんとか力になってあげたい」とバットを握る手に力を込めた。広島森下の投じた109球目、内角の直球だった。打った瞬間、その場にたたずむほどの確信弾。起死回生の1発が、右翼席上段まで届いた。
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「6月は自分にとってもチームにとってもなかなか苦しい季節だった」。先月上旬まで4番を担っていたが、打撃は徐々に下降線へ。同28日DeNA戦からは4試合連続でスタメンも外れた。6月は19試合で打率1割2分9厘、0本塁打、3打点。さらに今月1日の阪神戦(甲子園)では、大きなミスを犯した。
1点を追う7回先頭に代打で登場。右前打を放つも、一気に二塁を狙いタッチアウトになった。反撃ムードが一瞬で消える“暴走”。「もうちょっと考えるべきだった」と猛省した。開幕戦から2戦連発の鮮烈デビューから3カ月。厳しい立場に追い込まれていた。
「長いトンネルの先には必ず光がある」。海の向こうからのエールが救ってくれた。米国の両親は聖書の言葉を引用し、慰めの言葉をくれた。大振りだったスイングを見直し、「いいボールだけに手を出す」と地道に取り組んできた。
試合前、阪神戦の3連敗に沈むムードに、阿部監督が選手に語りかける言葉を聞いた。「後半戦始まってまだ五分だぞ。全く悲観することはない」。そのゲキは悩める立場だからこそ響いた。「一丸となって、皆が必死になってなんとかしようと思ってやってます。いいきっかけになればいい」。チームにも光をともしてみせた。【阿部健吾】
▽巨人阿部監督(連敗を3でストップ)「嫌な形で阪神に3連敗してしまったんですけど、選手は必死にね、食らいついてくれてます。これを続けてほしい」
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▼巨人は8回、代打キャベッジの本塁打で今季4度目の1−0勝利。代打の1−0本塁打は49年6月18日藤本(巨人=9回)07年6月11日矢野(巨人=8回)22年5月22日堂林(広島=6回)23年9月17日大田(DeNA=9回)に次いで5人目となり、外国人打者では初めて。代打本塁打の1−0勝利はプロ野球で5度しかないが、そのうち巨人が3度記録している。
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