
今年は台風1号の発生が遅く、9年ぶりに6月にずれ込みましたが、ここ1か月で4個の台風が発生。平年並みの発生数にほぼ追いついてきました。今後は、日本の南海上に「モンスーンジャイア」が出現し、台風が続々と発生か?今後も南の海上に注意が必要です。
ここ1か月で4個の台風が発生 ほぼ平年並みに追いつく
今年は台風1号の発生が6月11日と、9年ぶりに6月にずれ込み、統計開始以来5番目の遅さとなりました。
ただ、ここ1か月弱で4個の台風が発生。平年7月上旬までに台風は5個くらい発生するので、ほぼ平年並みに追いついてきました。
7月6日現在、台風3号と台風4号、2つの台風が発生しています。日本の東の台風3号は列島に直接的な影響はありませんが、関東や東北など太平洋沿岸では台風からの「うねり」や高波にご注意下さい。
一方、南シナ海の台風4号は風速25メートル以上の暴風域を伴い、明日7日は石垣島など先島諸島に近づくおそれ。強雨や強風、高波に注意が必要です。その後は進路を西よりに変え、9日までには大陸で熱帯低気圧に変わる見込みです。
モンスーンジャイアとは
日本の南の海上では、南西方向からの季節風(南西モンスーン)と太平洋高気圧のふちを吹く東風が合流し、大きな低圧部(低気圧)が形成されています。この低圧部はモンスーントラフと呼ばれ、低圧部による反時計回りの風の循環(渦)をモンスーンジャイアといいます。
モンスーンジャイアの中ではそれよりも小さい規模の渦が発生しやすくなり、東側で台風が発生しやすい傾向にあります。
今後、台風4号は大陸(華中)に上陸し、列島に直接の影響はない見込みですが、その東側、沖縄の南から日本の南が太平洋高気圧の鞍部になり、大きな低気圧循環となる予想です。複数の海外モデルでも同様の傾向がみられ、いわゆる「モンスーンジャイア」といってよい状況となりそうです。今後、南の海は、熱帯擾乱が発生しやすくなりそうなので注意が必要です。
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昨年2024年 8月に台風が多く発生
昨年2024年も「モンスーンジャイア」が形成され、8月以降に台風が多く発生しました。
2024年1月〜7月までに発生した台風は4個でしたが、8月にはいると立て続けに発生し、8月だけで6個発生、9月は8個発生し、年間の発生数は26個(平年約25個)と平年並みとなりました。この要因のひとつが、日本の南の海上でできている「モンスーンジャイア」とよばれる気圧の低い部分です。ここでは、インド洋からフィリピンの東を通る南西風や、日本のはるか東の太平洋高気圧のふちを回る風が流れ込んでいます。全体として風が反時計回りになっていて、この中で上昇気流ができると、周囲を巻き込み、いわば「台風のたまご」ともいえる熱帯低気圧を次々と発生しやすい状況になります。
台風シーズン突入
上の図は、アメリカ海洋大気庁(NOAA)の予想ですが、日本の南の海上は赤色で示され、7月16日頃にかけても台風や熱帯低気圧が発生する確率が高めと予測されています。
今年(2025年)は台風1号の発生が遅かったですが、台風1号の発生が遅くても、年間発生数は平年並み(約25個)からそれ以上に発生している年が多くなっているため、今後も注意が必要です。