景気判断、コロナ禍以来の「悪化」=5月動向指数、0.1ポイント低下―内閣府

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2025年07月07日 15:01  時事通信社

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時事通信社

都電荒川線の終点・三ノ輪橋停留場付近から伸びる商店街=4月15日、東京都荒川区(AFP時事)
 内閣府が7日発表した5月の景気動向指数(2020年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.1ポイント低下の115.9となり、2カ月ぶりに低下した。基調判断は「悪化を示している」に引き下げた。「悪化」は、新型コロナウイルスの感染拡大が続いていた20年7月以来、4年10カ月ぶり。内閣府の定義では、景気後退の可能性が高いことを示す。

 基調判断はこれまで「下げ止まりを示している」だった。悪化の判断は、過去のマイナス傾向も考慮して決定。内閣府によると、3月に発生したトヨタ自動車系列部品メーカーの工場爆発火災事故での供給制約が重しになっていたほか、米国向けなどでの輸出数量の低下も響いた。

 内閣府は、トランプ米政権による高関税措置の影響も反映されているとみているが、これまでのところ「非常に見極めが難しい」(景気統計部)と説明した。5月の一致指数は、商業販売や求人などに関する5指標がマイナスに働いた一方、自動車関連では工場事故からの挽回生産が進展。数カ月先の景気を示す先行指数は1.1ポイント上昇の105.3と4カ月ぶりに改善した。

 第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストは景気の現状について「『後退』というほど落ち込んではいない」と指摘。ただ、「米関税の影響が本格的に出て、輸出の減少や企業業績の悪化につながれば、日本経済が耐えられるか心配になる状況だ」と話した。 
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