今週デビュー予定のチェルヴァーラ(撮影:井内利彰) 先週の小倉芝1800mの2歳未勝利で3連単のJRA最低配当の220円が出た。5頭立て、うち3頭が九州産限定の新馬戦からの連闘でそのうち2頭が二桁着順の大敗。予想を組み立てれば、この3連単がこの配当は納得なわけだが、やはり5頭立てというところにフォーカスすべき。
そもそも、2歳未勝利は2回小倉初日に行われた芝1200mも6頭立て。3回阪神で新馬を使った馬たちはほとんどが放牧に出ており、2回小倉の未勝利を目指すというケースは少ない。昔と違い、1回レースに使えば放牧に出すということが主流になっている今、新馬の後に必ず未勝利が必要という番組自体を見直す時期にきているのではないだろうか。
ちなみに函館に関しては、1回開催の最終週に函館2歳Sが組まれている。未勝利を数多く組んで、出走頭数を確保したいという意図は分かるし、短期間におけるローテーションが明確な場合はこの番組がベストだろう。
【7月12日(土) 小倉芝1800m(牝)】
◆クールフラン(牝、父Frankel、母クールサンバ、栗東・池添学厩舎)
母は現役時代に2021年仏1000ギニーでG1を勝利。同年、Joan of Arc(父Galileo)が勝った仏オークスにも出走している。日本で活躍したFrankel産駒の牝馬にはソウルスターリングなどがいる。
本馬は4月3日のゲート試験を合格。その後、坂路で軽く時計を出した後、一旦牧場へ戻り、6月に栗東へ再入厩。追い切りの本数は多くないものの、7月2日のCWでは松山弘平騎手が跨り、3歳未勝利を追走して先着。6F81.1秒、3F36.3秒、1F11.3秒と時計も優秀なだけに初戦から結果を出せる状態にある。
◆サラサチャーミング(牝、父エピファネイア、母パイネ、栗東・高柳大輔厩舎)
祖母がミスアンコールということで、おじに2018年日本ダービーを勝ったワグネリアン(父ディープインパクト)がいる血統。本馬は2024年北海道サマーセール1歳にて、2200万円(税抜き)で落札されている。
高柳大輔調教師は「400キロちょっとの小柄な牝馬ですが、真面目な性格をしていますし、体自体もしっかりしています」と評価。実際、CWで初めて追い切った6月25日の3頭併せでは相手が新馬と3歳未勝利だったとはいえ、一番手応えが良かったし、7月3日のCWでも3頭併せで1頭に同入、1頭に先着。時計も6F82.1秒、3F37.6秒、1F11.5秒と見映えする数字をマークした。鞍上は松若風馬騎手が予定されている。
【7月13日(日) 小倉芝2000m】
◆チェルヴァーラ(牡、父エピファネイア、母チェッキーノ、栗東・松下武士厩舎)
半姉にオークス、秋華賞でGIを制したチェルヴィニア(父ハービンジャー)がいる血統。最初に栗東へ入厩してきた時から「誰が見てもいい馬だと思います。あとは走らせて、どれだけ動けるかですね」と松下武士調教師がコメントしていた。
6月に入厩してからは先週デビューしたキャンディードが調教パートナー。坂路での動きは少し見劣るようなところもあったが、CWになると手応え逆転。特に7月2日のCWでは追走して先着しているが、時計も6F82.1秒、3F37.1秒、1F11.2秒と速い。なにより、キャンディードは先週の小倉芝1200mで新馬勝ちしており、厩舎の新馬3連勝も期待できる。鞍上は北村友一騎手が予定されている。
【7月13日(日) 小倉芝1200m】
◆アダマント(牡、父タワーオブロンドン、母ケージーホマレ、栗東・高橋一哉厩舎)
母系には今年のケンタッキーダービーに出走したアドマイヤデイトナ(父ドレフォン)がいる血統。本馬は2024年北海道サマーセール1歳にて、350万円(税抜き)で落札されている。
高橋一哉調教師は「父産駒らしく芝の短いところが合いそうな体型」とコメント。ゲート試験合格後に一旦放牧に出ていたが、帰厩してからの追い切りも順調。7月2日の坂路ではレースで騎乗予定の川須栄彦騎手が跨り、4F52.2秒の時計をマークしており、スピードがあるところも見せている。
(取材・文:井内利彰)