名手が飛んだ−。6日まで行われた巨人との3連戦(東京ドーム)。広島の連敗を止めたのが菊池涼介内野手(35)のバットなら、前日に引き分けへと持ち込んだのは、菊池の守備だった。
5日の巨人13回戦。両軍無得点で迎えた延長11回裏。先頭オコエが栗林の初球を捉え、右中間へ鋭いライナーを放った。その瞬間、菊池が飛んだ。タイミングを見計らい、ジャンプ一番。目いっぱいに伸ばしたグラブの先で、打球の行方を阻んだ。
位置やタイミングなどが少しでもズレていれば、長打になっていた。巨人にとっては6回以来となる先頭打者の出塁で、一気にサヨナラの気配が高まっていたに違いない。菊池の一閃(いっせん)が、その芽をつんだ。
「結構、ベストなタイミングだったんじゃないかな。上の打球はタイミングがすべて。あれは練習できない」
前後左右に広がる広大な守備範囲で、10年連続ゴールデングラブ賞に輝いた名手でさえ、「上」の打球処理には難しさを感じている。あのビッグプレーも、身体能力と跳躍力、そして勘だけで成し遂げたものではない。
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「普通にジャンプするだけじゃなくて、ジャンプして足をグッと上に曲げると、滞空時間が少しあるように感じられる。そうすると、高さも少し上がっているようなイメージができる。たぶん、実際には上がってないけど、粘れたりすることがある」
より高く、より長く−。最高到達点に達する直前、菊池はもう1度、足で空を蹴った。プロ14年で培ってきた、「0・1秒」「0/1ミリ」へのこだわり。その執念が生んだプレーだった。【広島担当・前原淳】
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