漫画の研究者などでつくる日本マンガ学会の理事会は7月4日、学会員の西原麻里さん(跡見学園女子大学文学部准教授)による「BLマンガの表現史──少年愛からボーイズラブジャンルへ」(青弓社刊)をAmazon.co.jpが販売していないとして、その姿勢を非難する声明を発表した。「強い懸念と憂慮」を表明している。
BLマンガの表現史は2月28日に発売。しかし、紙版は3月18日、Kindle版は同月14日以来、Amazon.co.jpで販売されていない。日本マンガ学会は、過去にも研究成果発表の頒布手段として同サイトを利用しており、今回の事態は「学問の萎縮を招きかねない、憂慮すべきもの」と捉えた。
BLマンガの表現史は、1970年から2000年までの30年間に商業ベースで刊行された2873作品を数量的に分析し、時期ごとの特徴や変化を明らかにした。とりわけ、ストーリーやキャラクター、カップル、セックスシーンの特徴を比較して、ジャンル全体の傾向を分析。その上で背後にある女性を抑圧する社会規範との関連を捉える。
「研究対象や引用する図版などによって研究成果の流通の場が制限されてしまう可能性に、強い懸念と憂慮を表明する」(声明より)
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日本マンガ学会は、漫画にまつわる事柄について、新しいアカデミズムの在り方を模索する目的で01年に設立。19年の違法ダウンロード対象拡大などの際も反対する声明を出している。
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