
6月23日、天皇ご一家の愛犬・由莉が老衰のため息を引き取った。16歳だった。
由莉が天皇ご一家に迎え入れられたのは2009年春、生後2か月のとき。動物病院を通じて飼い主のいない保護犬を、天皇(当時は皇太子)ご夫妻が引き取られたという。命名をされたのは、愛子さま。
どんなときも一緒だった愛子さまと愛犬・由莉
『皇室の窓』(テレビ東京系)で放送作家を務めるつげのり子さんはこう話す。
「愛子さまはひとりっ子でいらっしゃるので、おそらく妹のように由莉を可愛がられていたと思います。2009年5月、御料牧場に向かわれる際の宇都宮駅が、由莉の初お披露目でした。
当時、初等科3年生の愛子さまは大事そうに抱っこされていて。同年8月に那須御用邸へ向かわれる際にも、愛子さまは報道陣に“可愛いから見て!”と言わんばかりに、由莉を高らかに抱き上げておられました」
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以降、宮内庁から提供される写真を除くと、由莉が報道陣の前に姿を現すのは2018年8月の那須御用邸でのご静養まで時間が空く。
「由莉はお留守番なのかと思いきや、成長して大きくなり、新幹線にペットを乗せられる総重量を超えたようです。ご一家は新幹線移動をされ、由莉は車移動をして、ご静養先で合流して一緒に過ごされていたそうです」(つげさん、以下同)
どんなときでも一緒。16年もの歳月を共に過ごされた由莉の旅立ちを、愛子さまは誰より寂しく思われていることだろう。天皇ご一家は由莉以外にも、犬や猫を迎え入れ、育まれてきた。
「最初に飼っていらっしゃったのは、犬のピッピとまり(共に2009年に天国に)。1995年、愛子さまが生まれる6年前でした。当時、お住まいの赤坂御用地にお腹の大きな犬が迷い込み、10匹を産んだそうです。8匹は宮内庁の職員にもらわれましたが、残りの2匹は両陛下が引き取られたそう。この2匹がピッピとまりです」
「心が和む楽しい時間」
1998年、雅子さまはお誕生日に際した会見で〈よく“夫婦喧嘩は犬も食わぬ”と申しますけれども、喧嘩の種は割とよく拾って食べてくれるような気がいたします〉と、ユーモアたっぷりに話されている。
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「ピッピはセラピー犬として活動をしていました。同じく由莉もコロナ禍前までは小児病棟に入院している子どもたちのもとを訪れ、心を癒す活動をしていました」
由莉には適性があり、訓練を受けてセラピー犬の能力を開花させたという。
「飼い猫では、今はセブンがいます。以前はニンゲンとみーという名の猫もいました。
愛子さまが初等科3年生のとき、1匹の母猫が赤坂御用地に迷い込み、愛子さまが餌をあげると、子猫4匹を連れてきたそうです。
そのうちの3匹は愛子さまのお友達にもらわれたそうですが、母猫と子猫1匹は天皇ご一家に引き取られました。これがニンゲンとみーです」
愛子さまは、学習院初等科時代に、犬と猫との暮らしについて作文に書かれている。《犬は、かしこく活発で、人間となかよくなれる動物です》(3年時)。《私は、飼っている犬や猫と過ごす時が、一日の中で心が和む楽しい時間です》(6年時)。
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愛子さまの温かく、優しいお人柄の形成に、迎え入れた犬や猫たちも寄与しているのではないだろうか─。
つげ のり子 西武文理大学非常勤講師。愛子さまご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の『皇室の窓』で構成を担当。著書に『素顔の美智子さま』など
取材・文/池谷百合子