SNSに掲載された物価高対策に関する政府広告。「プロモーション」「広告」と記載されている 参院選の期間中、政府がSNSに掲載した物価高対策に関する有料広告に批判が相次いでいる。今回の参院選の最大の争点について、政府自らアピールした格好で、広告を見た人からは「税金を使った与党の宣伝」などと反発する声が続出。識者も「選挙の公平性」の観点から疑問を投げ掛けている。
政府広報の公式アカウントが7日、X(旧ツイッター)やフェイスブックなどに出した広告には「物価高に対応しあなたの暮らしを支えます」との言葉が載る。リンク先は物価高対策をまとめた内閣府のサイトで、石破茂首相が内容を語るショート動画も掲載されている。
SNSの広告は、広告主のアカウントをフォローしていない人にも表示される。今回の広告の表示は140万回超に上り、リプライ(返信)欄には、政府に対する不満に加え、「与党政策の宣伝は不公平」「選挙対策」などの言葉が並んだ。
内閣府政府広報室は、取材に対し「備蓄米の売り渡しや電気・ガス料金の激変緩和措置など一連の対策メニューがそろったタイミングだった」と説明。「重要政策を国民に周知するため適時に広告を活用した」と話した。費用については明らかにせず、内容や時期は「広報室が判断している」とした。
インターネットやSNSと選挙の関係に詳しい明治大大学院の湯浅墾道教授は、選挙期間中の政府の広告に関して「内容を規制する法律はないが、特定の政党を利することがないよう自制が必要だ」と指摘。今回の広告は「決して少なくない表示回数で、選挙の公平性に対する懸念が出かねない」と話した。

湯浅墾道 明治大大学院教授