
凍るような寒さの冬の夜。九州エリアのとあるマンションの踊り場の隅っこに子犬がひとりぼっちで佇んでいました。
寒さからなのか、恐怖からなのか子犬の体はずっとブルブルと震えており、発見者の女性がその体に触れてもされるがまま。もはや逃げようとしたり、あるいは威嚇しようとする力はない様子でした。
心ある発見者がすぐに動物病院へと走ってくれた
女性はすぐさま子犬を抱えて動物病院へ。幸い、命にかかわる状況ではなく、ひと通りの処置を受けて帰ることができました。
しかし、女性はすでに大型犬を飼っているため、そのまま子犬を飼える状況ではありませんでした。また、実家の母親にも相談しましたが、この家には他犬に対して攻撃的な性格の保護犬を迎えているため、子犬をそのまま飼うことができません。
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そこで女性の母親が、その保護犬を譲渡してもらった福岡県のボランティアチーム、わんにゃんレスキューはぴねすに相談しました。
踊り場に来る前は、木陰などをさまよっていた可能性
団体では迷わず保護することにし、子犬に「クロちゃん」という名前をつけてあげました。
まずは代表の家でお世話をすることにしましたが、クロちゃんは毛布の上においてもジッと動かず、震えるばかり。安心してもらおうとクロちゃんを抱き上げると、代表の手にチクチクとした痛みが走りました。
「なんだろう」と思ってよく見ると、クロちゃんの小さな体に、いくつものくっつき棒が付着していたのです。クロちゃんはあの踊り場の前は、どこを彷徨っていたのでしょうか。もしかしたら、ひとりぼっちになり木陰などで隠れたりしながら、せめて暖かいところへと、踊り場にたどり着いたのかもしれません。
「生き抜いてくれて本当にありがとう」
エサをあげた後のクロちゃんの排出物には、ビニールの切れ端、葉っぱ、木の枝、砂利などが混じっていました。小さな体で必死に生き続けようと、どんなものでも食べてきたクロちゃんの姿を想像すると、胸が締めつけらます。
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それでも事故に遭うことなく、心ある人たちの連携で安心できる仮住まいにこられたことは本当に不幸中の幸いです。
エサをいっぱい食べて、温かい毛布の上で静かに休むクロちゃんの姿を前に、代表は「生き抜いてくれて本当にありがとうね」と声をかけました。
温かい家で先住犬ときょうだいのように過ごす日々
クロちゃんにとっての「本当の家族」とのマッチングを目指し、後に里親募集をスタート。しばらくして「うちにおいで」の声がかかりました。以前、団体から保護犬を迎えてくれた家族です。
トライアル時には、先住犬がクロちゃんにビビって隠れてしまうほどでしたが、程なくしてきょうだいのように一緒に遊び回るようになり、息もピッタリ。ここで正式譲渡となりました。
クロちゃんは新たに「りゅうくん」という名前をもらい、今日も先住犬と一緒に楽しい毎日を過ごしているそうです。あの日、心ある人に助けてもらっていなかったら、得られなかった幸せな大切な今の生活です。1日も長く温かく穏やかな時間が続くと良いですね。
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わんにゃんレスキューはぴねす
http://happines-rescue.com/
(まいどなニュース特約・松田 義人)