写真 2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(39歳・以前は小林悠として活動)。
TBS退社から8年経った今年、紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。アラフォーにして再スタートを切った「出戻り先」でのシングルライフの様子や心境をつづる連載です。
前回の記事ではおひとり様の孤独感について明かしたアンヌさん。第42回となる本記事では一点、「ある意味孤独ではない」と思ったちょっぴりホラーな理由についてつづります(以下、アンヌさんの寄稿)。
◆孤独感を明かしたら思わぬ反響が
前回こちらのコラムで、「急に孤独感が襲ってくる」というようなことをつぶやかせていただいたところ、思わぬ反響をいただいて正直びっくりしています。
内容に関しては、よろしければお読みいただければと思いますが、家族がいても、素晴らしい人間関係に恵まれていても、ふとした瞬間に襲ってくるのが言い知れぬ孤独感……としみじみと書かせていただいたわけです。
ところがここにきて、ある意味自分が孤独ではない、ということが判明したというか、確信を得たというか、という出来事がありましたのでご報告させていただきます。
はい、我が家にはやはりお化けがいるっぽいのです。お化けさんと同居している可能性が非常に高い。私はある種、孤独ではなかったことがわかりました。
夏のライトな怪談の一種だと思ってお読みください。非科学的なことを言うんじゃないよまったく! と怒らないでください。
◆幼い日に見た「大きな男の人の顔」
さて、私は築30年ほど? の札幌の実家に暮らしております。もともとあった古ーい家を壊して、現在の住居を同じ土地に建てたわけですが、母が子どものころは、古いほうの家の階段で「白い女の人」を見たことがあったとか、なかったとか聞いたことがあります。ひえー、文字化するとこわっ。
そして幼いころには、もう現在の実家の姿に建て直されていましたが、あれは同居している祖母と一緒に寝ていたときの話です。
夜中、ふと目を覚ましてぱっと天井を見上げたところ、天井いっぱいに男の人の大きな顔が浮かんでいたのです。小学校に上がる前くらいの私は黙ってひたすらその顔を見つめていた記憶があります。
あれは夢だったのか、幻だったのか、今では知る由もありませんが、私は特に霊感が強いとか、普段から何かが視えるとかそういうことはないタイプ。
ただよく覚えているのは、横で寝ている祖母に「おばあちゃん、なんか大きな男の人の顔が浮いてるよ」と声をかけたこと。そのとき祖母は目をぎゅっとつぶって「怖いからやめて」としか言わなかったなあ……。あれはなんだったんだ。
といういわく付き(!?)実家に20年ぶりに昨年、生活拠点を戻した私。
家全体も古くなり、だいぶガタも来ています。しずかな住宅街で、夜は周辺も少しさびしくなりますが、外で異変があれば我が家の大型犬がすぐ反応して吠えてくれるので私は安心そのもの。何か家の内外で物音が聞こえても、愛犬が無反応だから大丈夫か、と胸をなでおろすこともしばしば。
◆ある夜、謎の電子音で目が覚めた
そんなある日のこと。夜中、ピッピッという電子音で目が覚めました。
私は家電のセッティングが大の苦手ですので、必要以上に「電子音」を発するものは我が家にないはずなのですが……この音、思い出しました。体重計の音なのです。
体重をはかるとき、スイッチを入れたときのピッピ音。実は最近体重計を使うことがほとんどなかったのですが、置いている位置的に我が家の愛犬の体が触れればまあ音がならなくもない。リリーが涼を求めて体重計のある部屋に移動したのかな、と顔をあげてみれば……“本犬”は私の足元ですやすや寝ているではないですか。
夜中に体重をはかっているのはどちらさまですか!? という気持ちになりましたが、愛犬が反応していないということは不審者ではないということ。まあ、侵入者じゃないならいいか、と深く考えることをやめました(ちなみに、私は巨大な顔を見た例の部屋で寝ております)。
◆また怪現象!? 弟が帰省してきた夜中のこと
さあ、そんなことがあったことも忘れかけていた先日、社会人の弟が実家に帰省してきました。
帰ってきたのは夜中。玄関先で汗だくで疲れている弟を囲んでわいわいするわたしたち実家メンバー。
「いつかえるの?」と弟に声をかけたときのことです。私たちの後ろに置いてあった扇風機がいきなり「どうしたの?」と会話に参加してきたのです。
何を言ってるのという感じかもですが、我が家の扇風機はなぜかしゃべる(?)機能がついています。まったく使いこなしていませんが。先述のとおり家電苦手っこの私はその「しゃべる」機能はオフにし、さらに主電源もオフにしていたのです。なのに……いきなりしゃべってきた。久々にこの扇風機の声を聴きましたよ。
いきなり会話に入ってきた扇風機にかたまる私。弟は「みんなで騒いでたから反応したのかね」とよくわからない冷静さを見せていました。そして当然ながら愛犬も無反応。
我が家にはどうやら体重をはかり、そして弟が久しぶりに帰省すると嬉しそうに会話に入ろうとするお化けさんがいるっぽいですね。
亡き祖母では、という説もありますが、よくわかりません。ここでなにかオチがあったり、伏線の回収があれば最高なのでしょうが、これ以上何もないところがちょっとリアルじゃないですか?
だれかわからないお化けさん(?)ですが、無害でしかもリリーともうまくやっている様子ですので、特に追及はしないでおきます。
私にはちゃんと同居人がいたんだわ。不思議と怖くない。そんなプチ怪談でした。
<文/アンヌ遙香>
【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道札幌出身、在住。現在はフリーアナウンサーとしてSTV「どさんこWEEKEND」メインMCや、情報番組コメンテーターして活動中。北海道大学大学院博士後期課程在籍中。文筆家。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram: @aromatherapyanne