参院選(20日投開票)で最大の争点となるのが消費税減税の是非だ。自民党が「責任政党」として社会保障財源となる消費税の維持を訴え、野党は物価高対策として減税を唱える。消費税は選挙の「鬼門」とされ、増税を掲げた政権が敗れるケースが多い。今回はどちらに軍配が上がるのか。
石破茂首相(自民党総裁)は12日、名古屋市で演説し、「消費税は医療、年金、介護、子育てに使うことが法律で決まっている」と強調。消費税減税に関し、「今さえよければいいという政治が横行したときに国は滅びる」と批判した。
一方、立憲民主党の野田佳彦代表は11日、岐阜県大垣市で記者団に対し、公約に掲げた食料品の消費税率ゼロについて「手応えを感じている。みんなでワンボイスで全国で徹底して訴えていきたい」と意気込んだ。
歴代政権で消費税に初めて挑んだのは大平正芳首相(当時、以下同)だ。財政再建に向けて「一般消費税」の導入に意欲を示したが、世論の猛反発に遭い、1979年10月の衆院選で自民は過半数を割り込んだ。
消費税は89年4月、竹下内閣で税率3%として導入。97年4月に橋本内閣で5%に引き上げられた。竹下内閣はリクルート事件で退陣し、引き継いだ宇野宗佑首相は89年参院選で敗北。橋本龍太郎首相も98年参院選に敗れ、いずれも引責辞任に追い込まれた。
消費税論議は民主党政権で再び本格化した。菅直人首相は2010年の参院選の際、唐突に消費税引き上げの検討を表明。世論の反発を買って民主は大敗した。野田佳彦首相は「社会保障と税の一体改革」を目指し、民主、自民、公明の3党が増税で合意。税率を14年4月に8%、15年10月に10%に2段階で引き上げる消費増税法が12年8月に成立した。
しかし、これに反発した小沢一郎氏ら民主議員が集団離党して民主は分裂。同12月の衆院選で自民に大敗し、政権から転落した。
一方、安倍晋三首相は10%への引き上げの延期を掲げた14年12月の衆院選や、10%への引き上げに伴う増税分の使途見直しなどを訴えた17年10月の衆院選で、いずれも勝利した。
消費税は19年10月に10%に引き上げられた。その後の国政選挙では主要争点とはならず、今回久々に注目が集まる。25年度一般会計当初予算で消費税の税収は24.9兆円に上り、税収全体の約3割を占めた。