ポロシャツが過去4年でなぜ300%も伸長? “事故らない”ポロシャツを選ぶポイントは“首回り”にあり

0

2025年07月14日 09:10  ORICON NEWS

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ORICON NEWS

ビジネスポロシャツ
 かつてビジネスシーンではワイシャツが基本アイテムだったが、近年ポロシャツが大きく伸び、売上実績では2020年から24年で300%と伸長。今や“ビジネスポロシャツ”が夏の装いの新定番になっている。その一方で、何となく着ると「休日のお父さん」スタイルになってしまう。体のラインをひろってしまい“事故りやすい服”として悩みを持つ人も。気軽に買えるけれど、難しいポイントもある。そんなポロシャツをスマートに着こなすポイントは、どこにあるのだろうか? ビジネスユースのポロシャツを多く取り扱っている「洋服の青山」の担当者に話を聞いた。

【画像】肌に触れると冷たくなる? ポロシャツ、アイスタッチ生地のしくみ

■近年飛躍的に売上を伸ばすポロシャツ 中でもネイビー、黒などの濃い色が人気

 ビジネスにおけるウエアリングは、コロナをきっかけに大きく変化したと言われている。ポロシャツの売上も、コロナが始まった2020年からコロナ後の2024年にかけて大きな伸びが見られたという。

「ポロシャツは元々の分母が小さかったこともありますが、2020年と2024年を売上実績で比較すると300%以上と爆発的に伸びています。それに対してワイシャツは、(2020年と2024年を比較して)9掛けぐらいです。ポロシャツはニット素材でストレッチ性もあって着やすいこと、またメンテナンスもワイシャツに比べて楽なことが人気の要因でしょう。ポロシャツをアイロン掛けされる方はまずいらっしゃらないと思いますので」(村上さん/以下同)

 同社では、高通気で冷たい「接触冷感」、汗などの水分を素早く吸収して乾燥させる「吸汗速乾」などの機能性ポロシャツをメインに打ち出している。ユーザーがポロシャツを選ぶ際には、デザイン性よりも機能性が求められやすい傾向がある。

「やぱりビジネスアイテムなので、デザイン的にそんなに華美なものはありません。その中で差をつけようと思うと、やはり生地の機能性の部分が多くなります。これまでもいろんな機能を試しましたが、その中で特に反応が良かったのが接触冷感と吸汗速乾。ここ数年は、この二つの機能に特化した商品構成にしています。
 接触冷感は名前の通り、触って冷たいもの。いろんな生地がありますが、レーヨンやナイロンを使用してるものが多いです。これらの素材は熱伝導性が高いので、ひんやり冷たく感じます。キシリトールなど薬剤加工をする場合もありますが、やはり一番は素材の冷たさです。吸汗速乾は大体ベースになる素材はポリエステルが多いです」

 実際には吸汗速乾の方が、汗がベトつかない分、着ていて涼しく感じられるという。ただし吸汗速乾は売り場でその機能を感じることができないが、接触冷感は商品を手に取った瞬間に「冷たい」と感じられる。そこが人気の秘密だという。

「ここ数年は、接触冷感の方が伸びているかもしれません。猛烈な酷暑のため、触った瞬間に冷たさを感じるわかりやすさが求められている要因かと思います。今年は5月以降、気温がぐっと上がってからはよく売れています」

 ポロシャツで一番よく出る色はネイビーや黒。基本は無地だが、昨年頃から「少し柄物が欲しい」との声も増え、細かくドットや千鳥柄が配置されている生地も。そして襟の内側部分にさりげないワンポイントのデザインを入れたタイプも出ているという。ポロシャツの場合、淡い色よりも濃い色を選ぶ人が多いようだが、それには何か理由があるのだろうか。

「これは主観ですが、同じ白でもワイシャツは綺麗で洗練されているのに、白のポロシャツだとドレッシーというよりスポーティーな印象を与えてしまうから、選ぶ人が少ないのではと思います。やはり濃い色の方がシュッと締まってスマートに見えますね。ワイシャツの場合はネクタイをする方も多いので、白や淡い色合いの方がネクタイに合わせやすいと思いますが、ポロシャツだと濃い色の方が1枚で着たときにしっくりくるのかなとは思います」

■綺麗に着こなす一番のポイントは「首回り」、台襟がついているものを選ぶべし

 ビジネスシーンでポロシャツを着るなら、なるべくスマートに着こなしたいもの。しかしポロシャツ選びに失敗してしまう人や、実際に着てみると「休日のお父さん」スタイルになってしまうという人も数多い。同社のビジネスポロシャツは、そんな悩みを解消するアイテムとしておすすめだと村上さんは言う。

「胸元にワンポイントがある昔からのベーシックなポロシャツもありますが、ビジネスポロシャツ(ビズポロ)は何が違うかというと、一番の特徴は襟なんです。うちでビズポロと言われている商品には、ワイシャツと同じように台襟が付いています。これだと襟回りが自然と綺麗に立ち上がり、ボタンを開けた時も自然に開きます。これを着てネクタイしてジャケットを着てても、正直ポロシャツなのかワイシャツなのか分からないと思います。ポロシャツは大体Tシャツなどと同じラインで作りますが、うちは全部ドレスシャツ工場で作っています」

 ビジネスシーンで綺麗に見える一番のポイントは「首回り」であり、「この部分には一番こだわっています」という村上さん。さらに同社のビズポロには、他にも特徴がある。
「一般のポロシャツに比べて着丈が長いです。ポロシャツをワイシャツと同じようにパンツにインして着られる方もいらっしゃると思うので、少し長めにしています。なのでインでもアウトでも着られます。また袖が細くて長めになっています。ポロシャツの上にジャケットを着られる方もいらっしゃいますが、袖が太いとアームホールに干渉するので、細くしています。また、ポロシャツは袖が短くて二の腕が出がちですが、腕が出れば出るほどスポーティーに見えます。ですので、袖丈を半袖ワイシャツのように長くしています」

 コロナが始まった4年前、ビジネスシーンでのポロシャツ需要が急増したため、「この分野でうちだけの商品を作ろう」と開発。それが現在のビズポロの形となっている。
「最近はオーバーサイズのものも少しずつ増やしていますが、お客様は圧倒的にタイトなものを望まれます。同時にストレッチというのもマストです。ポロシャツに限らず、あらゆるアイテムで『タイトベースですっきり見せたいけど、窮屈なのは嫌』というのが今のお客様の需要だと捉えています」

 さらに、ポロシャツ以外のパンツや靴については、こんなアドバイスをもらった。
「パンツも以前は黒やグレーのスラックスをはかれる方が多かったと思いますが、それをベージュや白など淡い色の綿パンに変えるだけで一気に抜け感は出ます。靴もスーツ用の革靴から紐なしのローファーなどにしてもいいし、職種によってはスニーカーでもいいと思います。全体的に、より軽快なスタイルにするのが良いかと思います」

■今後もビジネスシーンでは軽装化が進むが「共通のマナーは変わらない」

 ビジネスでのウエアリングは、昨今ポロシャツが伸びてワイシャツに迫る勢いとなっているが、さらにビジネスTシャツの需要も高まってきているという。

「元々ワイシャツのボリュームがとても大きかったので、現時点ではポロシャツよりもワイシャツの方が絶対数は多いです。いつかこれが、完全に入れ替わるることもあり得ると思います。ただそれ以上にビジネスTシャツの勢いはすごいですね。コロナ前は、Tシャツとポロシャツでは売上に3倍ほどの差がありましたが、今Tシャツはポロシャツの9掛けくらいまで迫ってきています。1〜2年で抜かれる可能性はありますね。Tシャツの方がオンオフ多くのシーンで着られて汎用性が高いという点も大きいと思います」

 ビジネスにおけるウエアリングはカジュアル化の一途をたどっているが、ある程度”きちんと感”を出したい時は襟付きがポイントとなるようだ。その意味で「襟付きのものはなくならない。それはゴルフのウエアリングに近い」と村上さんは指摘する。

「ゴルフのウエアリングもどんどんカジュアルになっています。昔は絶対襟付きのシャツでないとダメでしたが、今は襟付きか、もしくはTシャツでもハイネックならOKになっています。ビジネスでもカジュアル化、軽装化していく流れは変わらないと思いますが、首をだらしなく見せないという、何か共通のマナーがあるような気がします。
 スーツを着る時もある程度は襟付きのシャツが良いと思いますが、当社のゼロプレッシャースーツのような合繊素材のカジュアルなスーツになると、逆にTシャツの方がスタイル的にも合ったりします。ポロシャツ、Tシャツだけではなく、その上に着るものも含めて、いろいろな着方がされるようになっていくんだろうなと感じています」

取材・文/水野幸則

    ランキングトレンド

    前日のランキングへ

    ニュース設定