37歳で想定外に妊娠した私、夫の「前妻のときはそんなことなかった」発言に困惑

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2025年07月15日 09:20  女子SPA!

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 37歳で想定外の妊娠をしたフリーライターの私。

 長年、生理不順で3〜4か月生理が来ないのは珍しくなかったこと、婦人科で不妊治療をしないと妊娠は難しいと言われていたこと、ADHD(注意欠如・多動性障害)の特性でセルフネグレクト癖があり自分の体の管理がおざなりになること、さらに算数障害(発達障害の一種で数字、計算に困難を抱える学習障害)で生理周期を把握していなかったことなどさまざまな要因が重なって、気付いたときにはすでに16週(妊娠5か月)に入っていた。

 同じ週数の他の妊婦より、ある意味遅れてスタートしたマタニティライフ。妊娠・出産・育児について知識がゼロだったため、遅れた時間を取り戻すよう、毎日調べ物をして知識を詰め込んでいった。

◆頼りにしていた夫、なぜか知らないことが多い

 しかし、夫は前妻との間に2人子どもがいる育児経験者だ。ある程度のことはわかっていると思い、わからないことは夫に聞けばいいと思っていたのだが、話してみると想像以上に「知らない」「覚えていない」とうことが多かった。

 保健師さんとの面談を受けて「産後ケア入院」(助産院や医療機関などに数日〜1週間ほど滞在し、授乳指導や育児サポート、母体の休養などを受けられる自治体の支援制度)を知った日、「産後ケア入院、利用していいでしょ?」と聞くと「何それ? 前妻はそんな利用していなかったし第一何をするの? 必要なら利用してもいいけどお金がかかるんでしょ?」と言われた。

 産院に行って赤ちゃんを預かってもらって少し休んで食事をしたり、沐浴の仕方を習ったりするんだよと言ってもよく理解していないようだった。

 保健師さんとの面談では「ファミリーサポート」(地域の子育て支援サービスで、子育てを手伝ってほしい人と手伝いたい人をつなぐ有償の相互援助活動)についても案内があったのと、作家の先輩ママから「登録会に行く必要があって、産まれてからだと赤ちゃん連れて行くのは大変だから生まれる前に登録会に行ったほうがいいよ」とアドバイスされたことを夫に話すと、ファミサポも知らなかった。

 どうやらたいそうお金がかかるものと思っているらしく「そういうのはお金持ちが利用するんだよ」と言う。しかしファミサポは一部が国や自治体からの公費で賄われているため、それなりに安価で利用できる。

◆“育児経験者”を過信しすぎていたかも

 またある日、私がAmazonを見ながら「授乳クッションってどんなのがいいんだろう?」と相談したところ「前妻はそんなの使ってなかったと思う」と言ってきたが、授乳クッション無しで授乳するのは体に負担がかかる。

 妊娠30週になった最近、大きなお腹でフゥフゥ言いながら家事をしていると突然「なんか腹デカくね? 前妻はこんなに腹出てなかった!」と驚かれた。お腹の出方には個人差があるし、自分でも大きい方だと自覚している。

 いろいろと説明するのがめんどうになってきた。産後ケア入院は病院の入院予約手続きの際、助産師さんから自然な流れで「うちの産後ケアを利用されますよね? ここに記入してください」と言われたので2泊3日で申し込んだ。費用は区が一部助成してくれるので1泊3000円で済む。(助成がないと1泊1万円)。ファミサポも一人で登録会に行った。

 前妻との間に子どもがいるのに、なんでこんなに知らないんだろうと思って詳しく聞いてみたところ、当時は仕事で家にほとんどおらず、加えて前妻の親の手厚いサポートがあったため、実際は育児を横で見ていた形に近いことがわかった。私は“育児経験者”という言葉を過信しすぎていたのかもしれない。

◆今できる対策をしたい私と「産まれてみないとわからない」と言う夫

 しかし今回は、妊娠がわかったその日に夫自ら「半年間育休を取る」と申し出があった(後日会社に育休の申請に行ったところ「普通は半年ではなく1年間取るんだよ」と上司に言われ、1年間取れることになったホワイト企業)。私の両親にビデオ通話で妊娠を報告した際も、「前妻との子のときできなかったことを今回はきちんとやろうと思っています」と言っていた。

 まだ育児知識は浅いが、今回は戦力になれるよう夫なりに取り組んでいるつもりのようだ。私は発達障害の特性に起因する二次障害の睡眠障害がある。産まれてすぐは3時間おきの授乳が必要なため、ただでさえ眠れない。そこで、育休を取っている夫に授乳をしてもらい、その間睡眠時間を確保できるよう、子のミルク拒否や哺乳瓶拒否がなければ完全ミルク育児にしたいと思っている。

 定型発達の人(発達障害をもたない人)に比べると、私にはハンデがある。そのためには事前知識をつけてあらかじめ対策をしておこうと、ネットや育児書を読みあさったり子育て中の友人に聞いたりと、綿密に準備していた。

 夫からは「産まれてみないとどんな子かわからないんだから、今そんなに調べなくてもいいんじゃない? なんでそんなにイケイケになってんの? 前妻との子は上の子は手がかかったけど下の子はそこまで手がかからなかったし」と言われた。

 それでも不安だ。今できることをやろうと、29週のときに入院バッグを用意した。しかし、病院が用意してくれるものが多く、自分で持って行くものが思いのほか少なくてすぐに終わった。足りないものが出てきたとしても、病院内のコンビニにすべてそろっているため、もしものときは入院してから買えばいい。

◆出産経験のある友人のアドバイスにはっとした

 からっと気持ちよく晴れた日、ベビー服の水通しも行った。小さすぎる服をベビーハンガーに干していると、手のひらに乗るサイズしかない。こんなに小さい服を赤ちゃんに着せるのかと思うと、いよいよ出産の実感がわいてきた。

 出産経験のある友人に会ったりLINEをしたりしていると、ある友人からは「育児書は参考程度にしたほうがいいよ。私の場合は授乳回数も子の睡眠時間も育児書とは全然違ってすごく悩んだから」と言われ、はっとした。

 私は自分の発達特性ばかり気にかかり、生真面目に調べ過ぎている。ネットや本の情報を全部鵜呑みにしてしまうと、赤ちゃんが自分の知っている情報とは違う行動をしたときパニックに陥ってしまいそうだ。

 発達特性を持ちながら育児をしている友人ともランチをした。その友人はASD(自閉スペクトラム症)の診断がおりており、私と同じく想定外の妊娠をしていた。しかし、産んでみると意外と育児に向いていたそうでワンオペもキツくなかったという。私はADHDで友人はASDなので特性は違う部分も多いため私も向いているとは限らないが、発達障害だから育児が難しいとは言い切れないことがわかった。

 ただ、産まれてみないとわからないことも多いため、自分の育児がどうなるのかは不安だらけだ。

◆自分の特性をふまえ、病室は個室を選択

 お産の際の入院は、当初は無料だしママ友もできるのではないかと4人部屋で申し込んでいた。

 しかし、よく考えてみると虫垂炎の手術のため人生で初めて入院をした7年前、大部屋が空いておらず個室になったとき、とても快適だったのを思い出した。当時は今よりも仕事が忙しかったため、腹の激痛に耐えながらもタイピング音を気にすることなくノートパソコンのキーボードを打っていたし、気軽に電話もできた。

 また発達障害の特性上、神経質な面があり、睡眠障害で眠ることにも困難を抱えている。出産する病院は産んだ翌日から母子同室。大部屋だと自分の赤ちゃんだけでなく他の人の赤ちゃんの泣き声で眠れなかったり、自分の赤ちゃんが泣くと他の人に気を遣ったりすることになる。

“個室のほうが自分には合っている”という実感は、これまでの経験や自分の特性を踏まえての判断だった。

 このことを踏まえると個室料金はかかってしまうが、産後の体調を考えると惜しい出費ではない。それにもともと無痛分娩で産む予定だったのが、無痛分娩の予約が取れなかったため、その分費用が浮いている。病院に電話をすると、個室への変更を承諾してもらえて一安心した。

◆健診で赤ちゃんが小さめと言われて不安に

 前回の健診のエコーで、30週にしては少し小柄な赤ちゃんだと言われた。赤ちゃんの頭が小さめで体重が1300g。医師からは「気にする必要のない、個性の範囲内の小柄さですよ」と言われたが、後々「私が妊娠に気づくのが遅れて体に気を遣っていなかったせいで小さいのではないか」と自分を責めるようになってしまった。

「30週 1300g」で何時間も検索したこともあった。ただ、小さめだと言った医師からは「もしかしてご自身も小さく産まれませんでしたか?」と聞かれたのを思い出した。自分が何gで産まれたのかまで聞いていないが、母からは「予定日よりも早く産まれて小さくてしばらく保育器に入っていた。ベビー服もブカブカだった」と聞かされていた。

 小さく産まれてもきっと大丈夫。平均よりも小さめというだけで個性の範囲と言われたからきっと大丈夫。そう自分に言い聞かせた。夫は「俺も桂ちゃんも身長が高い方ではないから高身長にはならないだろうね」と言った程度だった。

 出産まであと2か月ほど。今はとにかく母子ともに健康で出産を迎えることを第一に考え、妊娠糖尿病のための食事管理に取り組んでいる。メニューの写真をSNSにアップすることで、「人に見られている」という意識を持ち、自分に厳しく管理できている。

 また、1日2回の30分のウォーキングも継続中だ。育児に関する情報にはつい細かく目がいきがちだが、あくまで参考程度にとどめるようにしている。

 今日もお腹の中で元気に暴れている我が子。だんだん狭くなってきたと思うけど、もう少しそこにいてね。

<文/姫野桂>

【姫野桂】
フリーライター。1987年生まれ。著書に『発達障害グレーゾーン』、『私たちは生きづらさを抱えている』、『「生きづらさ」解消ライフハック』がある。Twitter:@himeno_kei

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