
参議院選挙の選挙戦を通じて関心が高まっている“外国人政策”。「規制」と「共生」を軸に与野党各党の議論が高まりを見せるなか、排外主義につながりかねないとの懸念も広がっています。
【写真で見る】外国人の購入検討者も多いという「18億8000万円」の部屋
背景に日本人の“経済的な不安”か東京・千代田区、皇居や日本武道館ものぞめる部屋の価格は、18億8000万円だといいます。
リストインターナショナルリアルティ 加藤彩乃さん
「外国人のお客様にとっても、日本を象徴する素晴らしい景色は非常に人気があります」
購入を検討している人のなかには、外国人も多いということです。
一方、不動産価格高騰の背景に、投機目的で購入する外国人の存在も指摘されていて、住宅の購入が難しくなっていることへの不満も、外国人政策への関心の高まりにつながっているとみられます。
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JNNの世論調査でも、外国人の不動産取得などを78%の人が規制すべきと回答。
【外国人の入国管理、国内投資、不動産取得などへの規制強化について】
・強く思う 43%
・どちらかといえば思う 35%
・どちらかといえば思わない 14%
・全く思わない 5% など
※JNN世論調査 7月5日・6日実施 有効回答:1010
「規制」と「共生」を軸にして、濃淡こそあるものの、与野党各党が“外国人政策”に関する公約を掲げて選挙戦に臨む、異例の展開となっています。
【各党が掲げる外国人政策】
自民:「違法外国人」ゼロへ
公明:“外免切替”“社保未納”の対策
立憲:多文化共生社会の形成
維新:受け入れ総量規制など
共産:日本人労働者と同等の権利保障
国民:土地取得規制「空室税」導入
れいわ:排他的な「移民政策」に反対
参政:生活保護の支給や参政権認めず
社民:移民・難民を排除しない
保守:入国管理の厳格化
専門家は、この背景に日本人の抱える“経済的な不安”があると指摘します。
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みずほリサーチ&テクノロジーズ チーフ日本経済エコノミスト 酒井才介氏
「外国人から見れば、低金利で円安なので(日本の)不動産も買いやすい。(日本人は)物価高、円安で生活が圧迫されていて、それが政治に対する不満、あるいは外国人に対する不満という形で拡散されている」
論戦が熱を帯びるなか、政府にも動きがありました。
石破総理
「外国人をめぐる現下の情勢に十分に対応できていない制度・施策の見直しは、政府として取り組むべき重要な課題です」
政府内に外国人政策に関する「司令塔」組織を新設し、外国人による土地の取得についても取り組む姿勢をアピールしました。
“規制”の議論が脚光を浴びる一方、外国人の活力をいかす“共生”を訴える政党もあります。
立憲民主党 野田佳彦 代表
「製造の現場も、介護の現場も、建設の現場も、外国人の手を借りなければ、日本社会は成り立たない。排除の論理じゃなくて、しっかり受け入れて、共に生きていく社会を目指すべきじゃないか」
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行き過ぎた“外国人政策”が排外主義につながるのではとの懸念も指摘されるなか…
みずほリサーチ&テクノロジーズ チーフ日本経済エコノミスト 酒井才介氏
「漠然とした日本人の不満を解消するためには、物価を上回る賃上げを実現して、個人消費を中心に日本経済の力を強めていくことが大事だと思います」
“規制”と“共生”の狭間で、政治には強いフレーズだけではなく、総合的な政策を打ち出すことが求められています。
外国人による犯罪件数 どう捉える?井上貴博キャスター:
いま、注目されている参院選の争点のひとつが「外国人政策」です。
SNSでは、「日本のスーパー、コンビニでも外国人の万引きが増えている」「明らかに外国人の犯罪が増えてきているんだから、日本から追い出すべき」などのコメントもあります。
実際に、外国人によるドラッグストアでの大量万引きは、2024年に愛知でもありました。
警察庁は2025年2月、外国語で「万引きは犯罪です」というポスターを貼ったり、店内アナウンスをしたりする指針を発表しました。
出入国在留管理庁と警察庁の資料などによると、在留外国人は増えていますが、外国人の刑法犯検挙人員は下がっていって、近年では上昇傾向にあります。
このあたりのデータを有権者がどう考えるのかということなのかもしれません。
出水麻衣キャスター:
「個別の事例」と「客観的なデータ」の両方を吟味した上で、どう考えるのかというのを一旦冷静に判断してほしいと思います。
井上キャスター:
どうしても外国人のルールという話をすると、「これは排外主義、ふざけるな、差別だ」となるのも違うと思いますし、かといって外国人を締め出すことはあってはいけないと思います。差別だと思います。
極論と極論で争うのではなくて、冷静に建設的な議論をしながら、日本をどういう国にしていくべきなのかが一番大切なのかなと感じています。