『ONE PIECE』世界政府の頂点・イム様の異次元の力とは? 作中世界における“悪魔"という概念

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2025年07月18日 13:00  リアルサウンド

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画像はイメージ photo by Unsplash

※本稿は『ONE PIECE』単行本未収録の話のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。


 「週刊少年ジャンプ」にて連載中の『ONE PIECE』にて、超重要人物の戦闘シーンが初めて描かれた。マリージョアにて“虚の玉座”に我が物顔で座るイム様が、過去を思い出した軍子の体に憑依することで戦いの場に降臨し、強力すぎる能力でエルバフを地獄の様相に変えた。


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 “黒ひげ”ことマーシャル・D・ティーチの出自にまつわる衝撃の事実も明らかになり、クライマックスに向けてさらなる盛り上がりを見せる『ONE PIECE』。本記事では気になるイム様の能力や軍子の過去について、ONE PIECE研究家である神木健児氏に話を聞く。


 「まずイム様がエルバフに来たこと自体にすごく驚きましたね。高位の存在すぎてマリージョアから出ない人物だと思っていたので、自ら戦いの場に赴いたことが衝撃でした。イム様の能力として登場した“悪魔化”もすごいですよね。これまでの『ONE PIECE』にはない概念的な能力で、非常に強力です。これまでの強力な能力には、なんとなく対処する方法が頭に浮かびました。『砂の能力だったら水で勝てるかな』とか、『雷の能力だったらゴムは通さないんじゃないか』とか。でも“悪魔”と言われると、対処法も分かりません。それこそ、同じく他と一線を画す能力の“ニカ”くらいしか思い浮かばないですよね。『ONE PIECE FILM RED』に歌の魔王・トットムジカが登場した際、尾田さんは『作中世界に魔王という概念的なものは存在し得る』といった旨の発言をしていましたし、“悪魔”が具体的に存在していても不思議ではありません。悪魔の実の能力なのかも判明していませんが、“悪魔”の実がポイントになる世界で“悪魔”の能力が登場したのは、確実にキーポイントになると思います」


 イム様はもちろん、イム様が憑依した人物もエルバフ編屈指の重要キャラクターだろう。


 「イム様が憑依した先である軍子も、謎だらけの注目キャラクターですよね。名前も態度も、ほかの神の騎士団メンバーとは明らかに違います。ブルックと関係がある様子で、イム様に憑依される直前には忘れていたブルックとの過去を思い出していました。個人的に、エルバフはウソップが深掘りされるエピソードになると思っていたんです。勇敢な海の戦士を目指すウソップは、ずっとエルバフを目指していたじゃないですか。それがまさかのブルックに焦点が当てられてびっくりしました。ブルックは麦わらの一味に加入したときから、『とある王国の護衛戦団の団長』をしていたと、出自の謎を振っていましたよね。回想の軍子は子供の姿に見えたので、修行した2年間などではなく、『とある王国の護衛戦団の団長』をしていた時代の知り合いだと考えるのが自然です。ブルックは約50年間魔の海域で彷徨っていたので、軍子がイム様の力で不死(もしくは不老?)の能力を与えられているのは間違いないと思います。だからブルックは軍子と過去の知り合いを照らし合わせ、『そんなワケない』と思ったのでしょう」


 すでにエルバフで大暴れしているため、“世界政府の頂点”の対処法をゆっくりと考えている暇はない。


 「とにかく急務になるのは、イム様の能力の対処だと思います。やはり“悪魔化”して支配するのは強すぎますからね。悪魔化したドリーとブロギーが元に戻るのかも気になります。やはり、鍵になるのは黒がベースにある悪魔と対極に感じる、白いニカの能力なのではないでしょうか。よくファンの間では悪魔で挟むようにニカで挟めば戻るという考察もありますが、ニカにそういう能力はないと思うんですよね。肉弾戦なのか特殊な能力なのか、どのように“悪魔化”と渡り合うのか注目です。軍子の体でもあるので、エルバフでイム様を倒すことはまずないでしょう。ブルックが軍子を正気に戻し、イム様を追い返した後に軍子の過去が深掘りされるはず。そう考えると、イム様は1度マリージョアに帰ると思われますが、そこでルフィや麦わらの一味のクルーの誰かが、ともに聖地に行ってしまう可能性もあります。ルフィたちが、悪魔化してしまうのもあり得るということです。ルフィがマリージョアに行けば、麦わら大船団も集まってくるでしょう。イム様の登場と能力の片鱗が見えた最近の『ONE PIECE』を読んでいると、いよいよ物語がラストに向かって加速していくと感じますよね。ワクワクとともに、少し寂しさも感じています」


 ついに明かされ始めたイム様の能力。強力な力は、世界政府と敵対するであろうルフィにとって、間違いなく高い壁になるだろう。


(文・取材=青木圭介 取材協力=神木健児)



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