2023年(令5)に脳腫瘍のため、28歳の若さで亡くなった元阪神外野手の横田慎太郎さんの三回忌の18日、チームメートがV奪回への誓いを新たにした。13年ドラフト同期の梅野隆太郎捕手(34)は「リーグ優勝できるように」と思いを寄せ、主砲の大山悠輔内野手(30)は「すべてに感謝を持って1日1日」と心を込めた。19日からは前半戦ラストの巨人3連戦。天国に吉報を届けるべく、球団初の球宴前の巨人戦勝ち越し&17年ぶりの貯金20以上ターンへ総力を挙げる。
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今年の7月18日も、甲子園は暑かった。前半戦ラストの巨人3連戦への東上を控え、阪神ナインは本拠地で全体練習。梅野は2年前に亡くなったドラフト同期の横田さんを思っていた。
「早いですね。あっという間な気はしますけど。印象、イメージ、鮮明に覚えてるので。忘れることもないですし。かわいい後輩だったんで…」。早すぎる別れからどれだけ日がたとうが、面影は鮮やかなまま。ひたむきで、一生懸命で、野球に一直線だった。大事な球友が旅立った日は、決意を新たにする特別な1日になった。「オールスター前の残り3戦ですけど一区切りとして、また頑張って、また新たにっていう…。気持ちの上で変化できる日なんじゃないかなと」。
2年前、鹿児島で葬儀・告別式が営まれた7月22日はヤクルト戦で2安打1打点と活躍。ベース上から神宮の空に向かって、人さし指を突き上げた。リーグ優勝は横田さんのユニホームを着て、歓喜の輪に飛び込んだ。日本一も報告した。
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今年は2位巨人に9ゲーム差をつけ、首位を独走している。「ヨコが亡くなった年も優勝して、今年もそういうチャンスがね、可能性はあるんで。また同じ景色を見てもらうために、リーグ優勝できるように戦っていきたいなと思います」。最高の瞬間に、2年ぶりに横田さんを連れていく。
大山にも特別な思いがある。「いつまでも味方でいてくれると思うので、しっかりといい姿を見せられるようにと思います」。横田さんの追悼試合として開催された23年7月25日の巨人戦。6回に逆転2ランを放って戻ったベンチ前で、甲子園の夜空にヘルメットを掲げ「ヨコが運んでくれた」と感謝した。横田さんと一緒に戦う気持ちは、この夏も変わらない。
「こうやって野球ができていることが、当たり前ではないことを改めて胸に刻んでいかないといけない。全てのことに感謝を持って、1日1日やらないといけないと思います」。通算1000安打に残り2本に迫る中、19日から昨季以降18試合連続安打中の巨人戦に臨む。横田さんにささげる大台到達となれば最高だ。
3連戦3連勝なら、球団では17年ぶり3度目の貯金20ターン。2勝、もしくは1勝2分けなら、球団初となる球宴前の巨人戦勝ち越しも決まる。亡き友を思う夏。タイガースの進撃は止まらない。【堀まどか】
◆横田慎太郎(よこた・しんたろう)1995年(平7)6月9日生まれ、鹿児島県出身。鹿児島実から13年ドラフト2位で阪神入団。同年引退した桧山進次郎の背番号24を受け継いだ。3年目の16年に金本新監督のもと、開幕中日戦に2番中堅で1軍デビューするなど38試合に出場。17年2月に脳腫瘍が判明し、18年から育成契約。低下した視力が戻らず、19年9月26日の2軍ソフトバンク戦(鳴尾浜)で引退試合。8回守備から出場し、中前打を処理して二塁走者を本塁で刺した奇跡のバックホームは語り草。23年7月18日、28歳で死去した。父の真之氏はロッテなどで活躍した元外野手。現役時代は187センチ、94キロ。左投げ左打ち。
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