【MLB】大谷翔平は後半戦も記録ラッシュ 150得点・1000安打・100登板...締めは21世紀初のワールドシリーズ連覇

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2025年07月19日 07:20  webスポルティーバ

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日本人メジャーリーガー後半戦の焦点【1】
バッター編(大谷翔平・鈴木誠也・吉田正尚)

 シーズン前半戦を終えて、ナ・リーグの本塁打トップ5にはふたりの日本人選手がランクインしている。32本塁打の大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)が1位、25本塁打の鈴木誠也(シカゴ・カブス)が4位タイだ。

 2位と3位には31本塁打のエウヘニオ・スアレス(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)と30本塁打のカイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)がいて、4位タイには鈴木とチームメイトの「PCA」ピート・クロウ=アームストロングが並ぶ。

 トップ3は僅差ながら、大谷は3年連続の本塁打王に向けて好位置につけている。ドジャースの97試合(出場95試合)で32本塁打は、162試合に換算すると53〜54本塁打だ。ここから欠場することなく前半戦の量産ペースを維持すれば、昨シーズンの54本塁打を上回り、2年続けて自己最多を更新することもあり得る。

 今年受賞すると3年連続4度目となるシーズンMVPは、本塁打王よりも可能性が高いと見る。現時点の最大のライバルはPCAだろう。

 PCAは25本塁打と27盗塁に加え、センターの守備もすばらしい。総合指標のWARは野球データ分析webサイト「ファングラフス」版のfWARが4.9、野球統計サイト「ベースボール・リファレンス」版のbWARが5.4(※)。どちらもナ・リーグのトップに位置する。大谷のfWAR=4.7は2位、bWAR=4.3は6位だ。

※WAR=セイバーメトリクスによる勝利への貢献度を示す総合評価指標。算出方法が統一されていないため、各社によって数値に違いがある。

 ただ、大谷が出塁率.382(4位)を記録しているのに対し、PCAは出塁率.302(69位)に過ぎない。OPSも大谷が.988(1位)に対し、PCAは.847(14位)だ。さらに、6月なかばに投手として復帰した大谷が各登板のイニングを伸ばしていけば、WARにおいてもPCAをしのいでもおかしくない。

【鈴木誠也も自己最多を次々と更新】

 大谷のここまでの5登板は、計9イニングで1失点(自責点1)。10三振を奪って与四球は2個しかなく、打たれた長打は皆無だった。2登板目以降の失点はなく、三塁すら踏ませていない。5登板目の7月12日はシーズン最多の36球を投げ、最長の3イニングを封じた。

 打者だけでなく投手としてもフル回転となれば、ドジャースのワールドシリーズ連覇の可能性も高まる。1998年〜2000年に3年連続ワールドシリーズ優勝のニューヨーク・ヤンキースを最後に連覇は途絶えている。ドジャースの連覇は、ブルックリン時代を含めても一度もない。

 そして大谷の後半戦で、もうひとつ注目したいのは「得点」だ。2000年に152得点を記録したジェフ・バグウェルに続く、1950年以降ふたり目の150得点以上が期待される。前半戦ここまでは91得点。こちらは162試合に換算すると151〜152得点となる。

 また、メジャーリーグ通算1000安打までは20本、通算出場1000試合までは30試合、通算100登板と通算500イニングまでは9登板と9.1イニング。後半戦は節目となる試合がいくつかある。

 一方、鈴木は前半戦で25本塁打・77打点を記録。メジャーリーグにおける自己最多をすでに塗り替えている。これまでの3シーズンは、2024年の21本塁打と2023年の74打点が最も多かった。二塁打と長打も、自己最多の更新は間違いなさそうだ。それぞれの最多は2023年の31二塁打と57長打だ。今シーズンは現時点で24二塁打と52長打を記録している。

 ちなみに、広島時代のシーズン最多は、38本塁打(2021年)、95打点(2016年)、32二塁打(2018年)、64長打(2018年・2021年)だ。

 過去3シーズンの出塁率が.336→.357→.366と推移してきたのと比べると、今シーズンの.319は低めではある。だが、パワーを重視するあまり、フリースウィンガー(大振り)に転じているということではない。

 MLB解析システム「スタットキャスト」によると、ストライクゾーン外のボールに手を出す割合は、今シーズンの22.7%が最も高かった。しかし、それでも大谷の25.5%よりも低い。PCAは44.3%なので、鈴木の2倍近い。

【カブス5年ぶりのポストシーズンへ】

 大谷が本塁打王なら、鈴木は打点王のチャンスがある。前半戦終了時、鈴木の77打点はピート・アロンソ(ニューヨーク・メッツ)と並んでナ・リーグ2位で、1位のエウヘニオ・スアレスとは1打点しか違わない。

 打点の場合、打席に立った時の走者の人数などにも左右される。とはいえ、鈴木が多くの走者を生還させているのも事実だ。

 3パターンの打席「走者なし/走者あり/得点圏に走者あり」で数値を比べてみると、打率=.240/.289/.309、出塁率=.297/.344/.374、OPS=.802/.939/1.023となる。走者ありの打席で打ったホームラン(ツーラン以上)は14本を数え、ナ・リーグではアロンソの15本に次いで多く、スアレスと並んでいる。

 また、鈴木のOPS(出塁率+長打率)は今シーズンの.867が最も高いのも注目したい。過去3シーズンは.770→.842→.848だった。

 各シーズンのOPSを前半/後半に分けると、メジャーリーグ1年目の2022年は.807/.737だが、2023年は.748/.938、2024年は.813/.889だ。後半戦のほうが数値を上げているので、今シーズンも過去2シーズンと同様であれば、シーズン全体で.900前後も見えてくる。

 また、鈴木はその先のポストシーズンも楽しみだ。2021年以降、カブスはポストシーズンに進むことができていないが、今年はそのブランクに終止符を打つだろう。オールスターゲーム選出は逃したが、より重要なのがポストシーズンであることは言うまでもない。

 そして大谷・鈴木とともに、吉田正尚(ボストン・レッドソックス)もポストシーズンでプレーする可能性がありそうだ。

 6月9日の時点で借金5を抱えていたレッドソックスは、その数日後に主砲のラファエル・デバースをサンフランシスコ・ジャイアンツに放出後、7月4日から10連勝して前半戦を終えた。貯金は8。地区首位のトロント・ブルージェイズと3ゲーム差の3位につけ、ワイルドカードレースでは2位に位置している。

【吉田正尚はレギュラー奪還なるか】

 吉田の今シーズン初出場は7月9日と遅かった。しかし、その2日後に1カ月半の離脱から復帰したアレックス・ブレグマンとともに、4年ぶりのポストシーズン進出へのキーマンとなり得る。レッドソックスにとっては、ひと足早い「夏の補強」といったところだ。吉田は昨シーズンの後半戦、打率.299・出塁率.370を悪くない成績を残している。

 もっとも、吉田がレギュラーとして起用されるかどうかはまだわからない。レッドソックスは吉田を含めて6人の外野手を擁する。ライバルはジャレン・デュラン、セダン・ラファエラ、ウィルヤー・アブレイユ、ロマン・アンソニー、ロブ・レフスナイダーの5人だ。

 現状の構成だと、ベテランのレフスナイダーが控え扱いだとしても、外野トリオとDHの4枠を5人で争う。そのなかでもアンソニーは今シーズンの開幕前、野手では全球団最高のプロスペクトと目されていた。

 すでにチームで確固たる地位を確立している大谷と鈴木のふたりと違い、吉田は出場機会をつかむためにも、ここからのパフォーマンスが重要になる。

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