参院選の街頭演説を聴く有権者ら=19日、東京都新宿区 参院選(20日投開票)は、石破茂首相(自民党総裁)が必達目標とする「非改選を合わせた与党過半数維持」のため、自民、公明両党で計50議席に届くかが最大の焦点だ。成否は首相の進退論に発展する可能性が高く、政権の分水嶺(れい)となる。自公は苦戦が伝えられ、必死の巻き返しを図った。野党各党は改選過半数の63議席の獲得を目指しており、さらにどこまで勢力を伸ばせるかが注目される。
◇自民過去最少36
参院の総定数は248。今回は半数の124(選挙区74、比例代表50)に加え、非改選の東京選挙区の欠員1の補充を含めた計125議席が争われる。与党の非改選議席は75(自民62、公明13)のため、参院全体の過半数(125)を保つには計50議席を得る必要がある。
改選される与党の議席は66(自民52、公明14)。首相の目標は16減らしても達成できるため「甘過ぎる」との見方があった。だが、選挙戦が進むにつれて苦境が鮮明になり、与党内でも「50議席取れるかどうか」(自民幹部)といった厳しい声が上がる。参院選で自民の最少獲得議席は1989年の36議席で、当時の宇野宗佑首相は大敗の責任を取って退陣した。仮に今回「36」を割り込めば石破政権の存続は極めて困難となる。
連立政権を組む公明は昨年10月の衆院選、今年6月の東京都議選に続く「政治決戦」で議席減の流れを食い止めたいところだ。参院選での過去最低の9議席と同水準にまで落ち込んだ場合、自公「50」の確保は遠のく。
◇野党伸長も
立憲民主党など野党は改選議席の過半数となる63議席を軸に、どこまで議席を伸ばせるかがポイントだ。参政党(改選1議席)は躍進すると伝えられ、目標を20議席に引き上げた。非改選1と合わせた21人の参院議員を抱えることになれば、参院に予算を伴う法案を提出できる。
衆院は既に少数与党のため、今回の参院選は事実上の「政権選択選挙」と言われた。野党が参院で多数派を握った場合でも「非自民」で大同団結し連立政権をつくる機運は今のところ乏しい。ただ、各党の獲得議席は新たな政権の枠組みに影響を及ぼす可能性がある。