ガジュマルの木と向き合い、ウジ虫を食べた覚悟――堤真一×山田裕貴、映画『木の上の軍隊』メイキング映像

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2025年07月26日 14:46  ORICON NEWS

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映画『木の上の軍隊』(公開中)メイキング写真(C)2025「木の上の軍隊」製作委員会
 俳優の堤真一と山田裕貴がダブル主演を務めた映画『木の上の軍隊』(公開中)の制作舞台裏に迫る、貴重なメイキングドキュメンタリーが公開された。

【動画】映画『木の上の軍隊』メイキングドキュメンタリー

 1945年、沖縄県伊江島で激しい攻防戦が繰り広げられる中、2人の日本兵が木の上に身を潜め、終戦を知らぬまま2年間生き延びた――という衝撃の実話から着想を得た同名舞台を、沖縄出身の平一紘監督が映画化。

 6月から先行公開された沖縄では、初週の金土日の週末動員でNo.1を獲得。評判が評判を呼び、2週目以降もスターシアターズ系4劇場で週末動員5週連続No.1(※劇場調べ)を記録するなど、大ヒットとなった。そして満を持して、7月25日より全国公開がスタートした。

 堤は、宮崎から派兵された厳格な少尉・山下一雄役を、山田は沖縄出身の新兵・安慶名セイジュン役を演じる。撮影は約1ヶ月にわたり全編沖縄ロケで行われ、その多くが舞台となった伊江島で撮影された。

 公開されたメイキング映像は、堤と山田がクランクイン前に安全祈願を行い、髪を剃る場面から始まる。堤が「(丸刈りにするなら)あんなでっかいシャンプー持ってくるんじゃなかった」と冗談を飛ばす場面も映し出され、和やかな雰囲気が伝わってくる。

 撮影に入る前、実際に兵士たちが身を隠した“ニーバンカズィマール”を訪れた2人。2023年の台風で一度倒木も経験しているガジュマルの木を前に、言葉を失う様子も記録されている。また、堤が演じる山下のモデルとなった山口静雄さんについて、堤は「父の名前が“静雄”で字も同じ。山下は母の旧姓」と語り、運命的な巡り合わせに驚きを隠せなかったという。

 本作の“もう一人の主役”ともいえる巨大なガジュマルの木は、実際に撮影のために植樹され、伊江島の地に根付かせたもの。堤と山田は、その樹上での演技を重ねていくうちに、不思議と居心地の良さや落ち着きを感じていたと語っている。

 一方で、山田は「一番嫌いなものが虫」と明かし、ロケ地での虫だらけの環境に苦戦。カマキリを捕まえるシーンではギリギリまでトライしたものの、「ごめんなさい。無理…」とスタッフに平謝りして、笑いが起きたことも。

 そんな山田も、ガジュマルのもつ不思議な力に後押しされ、徐々に環境に順応。終盤には、自ら志願して“本物のウジ虫”を食べるシーンに挑んだ。もともとは小麦粉製のダミーが用意されていたが、「当時の兵士が直面した過酷な現実を少しでも感じたかった。嘘をつきたくなかった」と語り、覚悟の強さを見せた。

 脚本を手がけた平監督は、制作に先立ち、多くの戦争体験者に取材し、沖縄の土地と歴史に真正面から向き合った。その想いは作品全体に色濃く表れている。

 撮影終盤には、実際に木の上で生き延びた山口さんと佐次田さんのご遺族が伊江島を訪問。堤と山田と対面を果たし、山田は「実話を演じる責任の重さを改めて実感した」と語った。

 クランクアップ時に山田が「この映画を通して、あの2人の生き様が多くの人に届くことを願っています。そして上官が堤さんで本当によかった」と、涙ながらに感謝を伝える姿も印象的だ。

 さらに、劇中で使用するガジュマルの植樹の作業中には、伊江島で約20年ぶりとなる戦没者の遺骨や遺品、旧日本軍の装備品が発見されるという出来事もあった。発見に関わった造園業の知念洋輝さんは「他の人とは違う感動があった」と語り、妻も「安慶名の『帰りたい』というせりふが胸に刺さった。遺骨の方々も同じ気持ちだったのでは」と涙をこぼした。

 本作は、沖縄の制作陣による初の「沖縄発・本格的沖縄戦映画」。実際の伊江島を舞台に、ガジュマルの樹上やガマ(自然洞窟)での撮影に挑み、演出・照明・美術のすべてに想いが込められている。

 堤は「これほどスタッフや地元の方々に支えられてできた作品はない」と断言。平監督も「沖縄で育った僕が、初めて本気で沖縄戦に向き合った作品」と語り、その想いの深さは映画に刻まれているはずだ。


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  • 商業的には成功しないかもしれないが、観たいな。『無人島で暮らす十六人』も現代で映画化してほしい。
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