山田裕貴「嫁ちゃん」西野七瀬と結婚しネガティブやめられた思いは…今年だけで主演映画3本公開

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2025年07月27日 08:00  日刊スポーツ

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映画「木の上の軍隊」にダブル主演するなど映画に引っ張りだこの山田裕貴(撮影・鈴木みどり)

2025年は、山田裕貴(34)の年になる…。そんな期待の声が映画界から聞こえてくるのも無理はない。今年だけで3本の主演映画が公開。公開中の「木の上の軍隊」(平一紘監督)で初共演でダブル主演の堤真一(61)、「ベートーヴェン捏造」(関和亮監督、9月12日公開)では古田新太(59)、「爆弾」(永井聡監督、10月31日公開)では佐藤二朗(56)と芝居巧者として名高い先輩と真っ向からぶつかる。そんな現在地点を見つめる、率直な思いを吐露した。【村上幸将】


★表現としての迷いが


取材日の11日、山田はNHK「あさイチ」(総合、月〜金曜午前8時15分)に午前9時まで生出演した足で取材場所に入った。生放送中に新作の撮影中だと明かしたが、多忙な合間を縫って取材を受け続けるほど「木の上の軍隊」への思いは深い。最初の質問で、なぜオファーを受けたかと尋ねると「堤さんとやりたいな、と」と即答した。


10年前に共通の知人の俳優に誘われ、堤の自宅を訪問。「第一線で活躍する堤さんの家に行くなんて」と緊張したが、過去の経験を熱く語ってくれた。その堤と主演として並び立った。


「こうやって堤さんと肩を並べられるところにいるんだなと。人ごとのように、すげぇ…と思っちゃった感じはあるんですけど」


「木の上の軍隊」は、太平洋戦争末期に沖縄・伊江島で戦う中、ガジュマルの木の上に身を潜め、敗戦を知らないまま2年間、生きた日本兵の実話を元に、劇作家の井上ひさしさんが残した1枚のメモを軸に、没後の13年に初演した舞台を映画化。堤が山口静雄さんを元にした上官の山下一雄、山田は佐次田秀順さんを元にした新兵・安慶名セイジュンを演じた。昨年11月から約1カ月、沖縄での撮影では、虫が大嫌いながら、うじ虫を頭から食べた。


「食べることがすごいんじゃなくて、佐次田さんや山口さんを思ったらニセモノを食べるのも違うと。体重何キロ落としたとか、くだらない。当たり前のようにやるんじゃないですか?」


沖縄では6月13日に先行公開された。上官を前に「帰りたい…」と涙する姿からにじむ悲しみ、つらさに涙を抑えられないという感想も多いが、カメラが回る直前まで考え続ける中、実は迷いがあったという。


「表現としての迷いがありました。泣いていないんじゃないか? と。上官が(セイジュンの姿に、自分の)子どもが泣く姿を見るのと重なるシーン。絶対に同じ顔をしなければいけない。僕の表現の仕方は固定されている中で、ボソッて帰りたい、と言っているだけかも知れないなと」


元プロ野球選手の父和利さんの1歳上で、撮影時は60歳だった堤が、撮影のために1本移植し、2本にした伊江島のガジュマルの上から落ちるシーンを演じた。その姿に芝居を超えた生きる力を感じた。


「存在している力が強いなと、すごく感じて。お芝居と言うよりも、生きている人の時間をつくっている感じ。僕もお芝居を、お芝居にしないことを目指してやっているので、そこを体現する人だと思いました」


初出演した戦争映画で、戦地で殺し合うのではなく、生きるために必死になった日本兵を演じた姿を、次世代を担う子どもたちに見て欲しいと考えている。


「水が飲める、家がある、ご飯が食べられるだけで幸せじゃん。友達や誰かがいてくれることは、すごくありがたいということを描いている。以前から、そういうマインドでいましたけど、疑似体験だけど感じたから感覚が、もっと広がった。こういうことがあったと知らない子たちが多いはずだから知った方がいい」


★一緒に頑張ろうって


堤からは「ウソのない人だし、真っすぐでスタッフからも愛される」と評されるが、最初からそうではなかったという。


「ネガティブになりまくったんですよ。悩んでる暇がない。そんなことをしていたら現場に立っていられないから、余計なことを考えなくていいかと思うようになりましたね」


転換点を尋ねようとした次の瞬間察したかのように山田は口にした。


「本当に、そう思うようになったのは、嫁ちゃんが、かなりずぶといんで」


昨年3月31日に結婚を発表した、元乃木坂46の俳優西野七瀬(31)から得たものは大きかったと同時に、共通点も感じたという。


「彼女がすごくポジティブ…というか、ネガティブになりまくった人って、考える暇ねぇってところに行き着くんだと。自分もそうだった。疲れたんですよ、ネガティブになることに」


幼なじみの妹が戦火を浴びた際の、セイジュンの涙は真に迫る。守る者ができた思いがにじんだのか? と聞くと静かに笑った。


「守ろうとか、逆に恐れ多いというか。彼女自身が強いので、一緒に頑張ろうという感じですね。ある日、ネガティブをやめよう、という流れがあって。この人は、こう乗り越えてきたんだ…そうだなと思えた」


5日に日本テレビ系で放送された「アナザースカイ」で堤から「結婚したし、2人だけでのんびりする時間も入れながら生活して欲しい」と投げかけられた。


「それは、あればある分だけ、うれしいですけどね。すぐ、次の作品が入っていたりとかしていたから(堤が言ったん)ですかね」


★海外映画祭にいつか


「アナザースカイ」の最後に「俳優王になること」と口にした。その裏で何を思い、どこを目指すのか?


「自分のお芝居にハッとさせられることが、なくなったんですよ。僕は面白いと思えていないです、自分に…壁だなと。別に王様にならなくても、何かの一番になりたいと思うのは人間の普通な欲求。別人に見えることというか、モデルがいるなら本物かも、と思えることが大事。(愛する「ONE PIECE」の)麦わらのルフィみたいな言葉になりそうだけど『芝居、うまくなりてぇ』みたいな…それだけですね」


「木の上の軍隊」に出て、湧いた思いがあった。


「こういうテイストでやれる作品に携わってきていなかった。漫画とかキャラクターっぽいものが多かった。こういうのもできるよ、と。アート系って呼ばれている作品とか、すごいやってみたい。アートから、かけ離れてるもん、絶対に(笑い)。僕のポテンシャルがどうこうじゃなく、イメージ的に。海外の映画祭、行ったことがないんですよね。いつか行けたらいい」


取材から3日後の14日に放送されたニッポン放送「山田裕貴のオールナイトニッポン」(月曜深夜1時)の番組内で、25分にもわたり取材の感想、思いを熱く語りつつ断言した。「真ん中に立たせてもらうと作品を知ってもらわないといけない。この身が朽ちて消え去ってでも、という思いで取材を受ける」


こんなに真っすぐで熱い男が俳優王になれないわけがない。


◆山田裕貴(やまだ・ゆうき)1990年(平2)9月18日、愛知県生まれ。エキストラからキャリアを始め、11年のテレビ朝日系「海賊戦隊ゴーカイジャー」のゴーカイブルーことジョー・ギブケン役で俳優デビュー。12年にテレビ東京系「D×TOWN『ボクらが恋愛できない理由』」でドラマ初主演。19年のNHK連続テレビ小説「なつぞら」や22年「ちむどんどん」、テレビ朝日系「特捜9」シリーズなど出演多数。父は元中日、広島の山田和利氏。178センチ、血液型O。

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