1960年(昭35)9月20日に東京・銀座に開館した映画館「丸の内TOEI」が本社ビル・東映会館の再開発と本社移転を受けて27日に閉館。65年の歴史に幕を下ろす。同日、閉館プロジェクト「さよなら丸の内TOEI」の一環で行われた1980年(昭55)の映画「動乱 第1部 海峡を渡る愛 第2部 雪降り止まず」(森谷司郎監督)上映を前に最終上映グランドフィナーレが行われ、吉永小百合(80)がサプライズで駆けつけた。
「動乱」は、吉永にとって東映の映画に初出演した作品で、14年11月に83歳で亡くなった高倉健さん(享年83)との初共演が実現した。「私が初めて、この劇場でごあいさつしたのは、80年1月15日、この『動乱』の初日でした。高倉さんがいらしたか、定かではないですけど、こういう場所にお出にならない」と笑みを浮かべた。
79年から1年かけた撮影も振り返った。「冬から撮影し、1年間ですばらしい撮影をしました。スタッフも素晴らしく…最後に高倉さんと2人の刑務所のシーンを終え、真夜中でしたけど、お食事にお誘いいただき、健闘をたたえ合いました。映画俳優として、もう1度、頑張ってみようと思えた大切な作品」と語った。
21年の映画「いのちの停車場」(成島出監督)の公開時は、コロナ禍で東京の映画館がストップしたこともあった。吉永は「一番、つらかったのはコロナで東京では上映できなかったこと。悔しかったです。スクリーンから飛沫(ひまつ)は飛びませんと、過激なことを言いましたけど…20本の映画のごあいさつをさせていただきました」と語った。そして「窓口で切符1枚買って、座り…笑うかしら? しんみりなさるかしら? と感じながら、この劇場で見たこと、忘れられません。すてきなすてきな劇場で、なくなってしまうこと…つらいです」と声を詰まらせた。
丸の内TOEIは、1960年(昭35)9月20日に、東映本社の東映会館の落成とともに丸の内東映と洋画封切館・丸の内東映パラスとして開館。04年10月には現行の丸の内TOEIに名称統一し2スクリーンを構える。そして24年5月15日、東映会館の老朽化を理由に、今夏をめどに再開発することを発表。今年1月16日に同所で開催した東映ラインナップ発表会で、正式な閉館日(最終営業日)を7月27日とし、最後の直営館として約65年の歴史に幕を下ろすことを発表した。そして5月9日から「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクト上映がスタート。閉館日の7月27日までの80日間にわたって、数々の傑作特集上映に加え、劇場を活用した各種イベントも実施してきた。
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