記者会見するノルウェー・ノーベル賞委員会のフリードネス委員長=27日午前、東京都千代田区 来日中のノルウェー・ノーベル賞委員会のフリードネス委員長(40)と昨年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳代表委員(93)らは27日、東京都千代田区の上智大で講演した。被爆80年を前に、フリードネス氏は「被爆者の声に耳を傾けるべきだ」と語り、継承と核兵器廃絶を訴えた。
講演に先立ち、記者会見も実施。同委が受賞者の母国を訪問したのは初めてといい、フリードネス氏は「世界が耳を傾けるきっかけにしたい。被爆地を訪れ、新たなエネルギーを得た。被爆80年という機会に『核はもはやいらない』と言いたい」と力を込めた。
講演は「ノーベル平和賞カンファレンス」としてノーベル研究所が主催。フリードネス氏は「被爆者は証人であり教師で、『核のタブー』をつくり上げた。不安定な核の時代に突入する瀬戸際の現在、被爆者のメッセージに立ち戻るべきだ」と述べた。継承の重要性も強調し、「若者は記憶の管理人になってほしい」と呼び掛けた。
田中さんは被爆者の高齢化に触れ、「私たちがやってきた運動を次の世代が築いていってほしい。核廃絶の国際条約を願う」と語った。児玉三智子事務局次長(87)も「核を使うのも、なくすことができるのも私たち人間だ」と訴えた。

講演する日本被団協の田中熙巳代表委員=27日午後、東京都千代田区