望海風斗、『誘拐の日』で“しごでき”看護師長を好演中 宝塚退団から4年「やっと自分の呼吸がしやすくなった」

0

2025年07月29日 08:40  クランクイン!

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

クランクイン!

望海風斗  クランクイン! 写真:米玉利朋子(G.P.FLAG inc)
 元宝塚歌劇団雪組トップスターで、退団後は『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』『イザボー』など舞台を中心に活躍し、その実力で観る者の心を鷲づかみにする望海風斗。そんな彼女が、放送中の斎藤工主演ドラマ『誘拐の日』で地上波連続ドラマに初出演、映像作品でも確かな存在感を発揮している。新たな道を歩み始めて4年が経ち、さらなる進化を続ける望海に、本作に込める思いや近況を聞いた。

【写真】柔らかいほほ笑みが美しすぎる! 望海風斗、インタビュー撮りおろしショット

◆「最初は本当に信じられなかった」地上波連ドラ出演オファー

 本作は、『シグナル』『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』などのヒット作を生みだした韓国のスタジオ・ASTORYが製作した同名連続ドラマをリメーク。斎藤工演じる心やさしきマヌケな誘拐犯と、永尾柚乃演じる記憶喪失の天才少女が超異色タッグを結成し、次々と襲いかかる危機を乗りこえながら身に覚えのない殺人事件の犯人捜し&逃亡劇を繰り広げるヒューマンミステリー。

 望海が演じるのは、凛(永尾柚乃)の父が院長を務め、新庄(斎藤工)の娘・芽生が入院している“栄進記念病院”の看護師長・藤澤香里。経験豊富で責任感の強いベテランで、患者に寄り添う温かさと、現場をまとめる冷静さを併せ持つ。重度の心臓病を患う芽生のことも日々やさしくケアしているが、入院費を滞納中の新庄にはシビアな顔を見せることもあるというキャラクターだ。

――『誘拐の日』で地上波連続ドラマ初出演。オファーをお聞きになった時のお気持ちはいかがでしたか?

望海:最初は本当に信じられなかったです。映像作品の経験もあまりないですし、キャストも豪華な皆さんがおそろいで、その中の1人として自分が入るということが、皆さんと顔を合わせるまで信じられなかったですね。その後、台本を頂いて、“藤澤”と書いてあるのを見て「あ、出てる」、衣装合わせで衣装があって「あ、いる!」と、ちょっとずつ実感していった感じです(笑)。

――クセのある登場人物も多く、この先どうなるんだろう?と惹きこまれてしまう本作ですが、台本を読まれての感想はいかがでしたか?

望海:韓国版のドラマも観たのですが、この先どうなっていくのか分からない感じといいますか、いろいろな伏線がばらまかれていくじゃないですか。台本を読んだだけでは、この病院のシーンはどう映るのだろうと全然想像ができず、難しいなっていうのが最初の印象でした。でも読んでいくうちに、読みごたえがあってすごく面白くて、早く最後まで仕上がって皆さんの元に届いてほしいなって思いました。私自身もどんな映像になっていくんだろうと楽しみです。

――演じられる藤澤という女性は“しごでき”感が半端なく、カッコイイ感じが望海さんにぴったりだと感じましたが、ご自身ではどんなキャラクターと捉えられていますか?

望海:藤澤は厳しくもありますが看護師という仕事をずっと自分の仕事として真摯に向きあってきた人なんだと思うんです。(芽生の担当医である)田川先生(デビット伊東)に嫌な顔を見せることもあったり(笑)、それも自分の仕事に誇りを持って生きてきた人ですね。

新庄さんや芽生ちゃんに関わることで事件に巻き込まれたり、病院の院長が亡くなったりと、それまでの日常だった職場で起こっていくことに対しても、どうしなきゃいけないのかをちゃんと考えている。そういう意味では師長になるだけのことはある、しっかりした人なんだろうなと思います。でも、どこかに情があって、子どもを思う親の気持ちも理解できる人だと感じるので、ただの仕事人間ではない人なんだろうなと感じています。

――ドラマの撮影現場の雰囲気はいかがですか?

望海:斎藤さんと柚乃ちゃんが、カメラが入ってないところでも、ずっと新庄さんと凛ちゃんそのままの関係性なんです。お二人がずっと楽しそうにされているので、現場も明るいですね。

私は病院のシーンがほとんどですが、小児科なので子役の皆さんが多くてほがらかとしています。でも皆さんちゃんとお仕事をしに来ているので、休憩中はやんちゃに遊んでいても本番になるとしっかりお芝居をされていて本当にすごいなって思いました。これまで舞台でも子役の方とご一緒した経験がなかったので、大人にはない世界観を見ることができて新鮮な気持ちになりますね。

◆藤澤師長の今後の見どころは?「何がネタバレじゃないのか分からない(笑)」


――舞台と映像作品では、お芝居のやり方が違うと聞きますが、どなたかにアドバイスを求めたりはしましたか?

望海:ラジオ(NHK-FM『望海風斗のサウンドイマジン』)にゲストで蒼井優さんが来てくださった時に、映像の時はどうしているのか教えていただいたことがあるんです。「監督さんの雰囲気をつかむために、まず最初に撮ったものを見て空気感を感じて、その後は見ない」とおっしゃっていたんですね。いきなり上級者のコツを聞いてしまったと思いました(笑)。

舞台で共演させていただいた方からも「芝居が大きくてカメラからはみ出ちゃう」とか、「声が大きくなってしまう」とか大変だったというお話をいろいろ聞いていたので気をつけようとは思っていたんですけど、何に気をつけていいのか分からなくて。現場に入って初めて「こういうことか」と分かったといいますか、やってみないと分からないんだなと感じました。

――放送がスタートし毎回大きな話題を集めていますが、周囲からの反響はいかがでしょう。

望海:みんな観てくれていて、連絡をくれます。感想が「怖い」っていうのと、「誰が犯人なの?」って(笑)。「面白い!」とドラマ自体を楽しんでもらえているのでうれしいですね。

――考察も盛り上がりそうですが、望海さんは考察系のドラマはお好きですか?

望海:それが私、小説とかでも“早く犯人知りたい!”派なので、考察しながら1週間待つことが耐えられなくて。ドラマだったら全話終わってから一気にまとめて観たい派なんですよね。でも、『誘拐の日』は、皆さんこれからますます「犯人はあの人なんじゃないか?」と盛り上がっていくと思うので、そうした声を聞くことが楽しみです。

――藤澤師長の紹介で、「やがて新庄最大の窮地に遭遇し、思いもよらぬ形で逃亡劇に巻き込まれることに…」とありましたが、今後の藤澤さんの見どころはどんなところでしょう?

望海:藤澤が厳しいだけじゃなく、新庄さんの芽生ちゃんを思う気持ちにいろいろ心揺れる瞬間があったりするところに注目してほしいです。……何をしゃべったらネタバレじゃないのか分からなくって(笑)。協力というか…、師長だからできることというか…。そういうところも楽しみにしていてください!(笑)

◆退団から4年「やっと自分の呼吸がしやすくなった」


――宝塚歌劇団退団から4年が経ちました。この4年の活躍ぶりを拝見すると、濃密な時間を過ごされたのではないかな?と思うのですが、“もう4年”、“まだ4年”のどちらでしょうか?

望海:どうなんでしょう…。私の中では、もう4年…かな? 4年って言っても、宝塚にいた日々がずっと前に思えるくらい、もう10年くらい経ったようにも思えることもあったり…。“まだ”でもないし、“もう”でもない、“ちょうど4年”という感じですね。

――今年は、地上波連ドラ初出演の本作もそうですし、ストレートプレイ初挑戦の『マスタークラス』があり、事務所の皆さんと初共演したワタナベ25thコンサート『ハッピーバースデー&サンキュー』があり、秋には初のシシィ(エリザベートの愛称)役に挑まれる『エリザベート』もあります。

望海:意図的に決めたわけではないのですが、自分の中で昨年までは退団してからの1つの大きなひと区切りだなと思っているんですね。『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』が大きかったと思うのですが、再演を経験して、やっと元宝塚トップスターということではない自分の呼吸がしやすくなったというか、やっと自分としてそこにいられるようになったな、居心地がよくなったなって感じたんです。そこでひと区切りで、次に進まないといけないなと思っていたら、新しい大きな挑戦が続いてきました。

――インスタを拝見していると、事務所の皆さんと一緒にコンサートに臨まれている望海さんがすごく楽しそうで印象的でした。

望海:宝塚の時は組が違ってもイベントなどで関わりがあったのですが、退団して事務所に入ったもののコロナ禍もありましたし、事務所の方と深く関わる機会があまりなかったんですね。今回のコンサートで皆さんと一緒に歌ったり、一緒に過ごせたりしたことが、すごく楽しかったんですよね。こういう人たちが一緒の会社にいて、自分もその中にいるという感覚が心地よかったです。皆さんそれぞれ自分の道を突きつめられてきている方たちなのですが、集まった時には家族のような朗らかな気持ちになるアットホームな雰囲気が素敵だなと感じました。

――インスタでは、真彩希帆さんや彩風咲奈さんと宝塚を観劇されるなど普通の宝塚ファンのような姿も公開されています。退団されて改めて、宝塚歌劇とはどんな場所だと思いますか?

望海:なんて言ったらいいんでしょう。自分を育ててくれた大切な場所でもありますし、とんでもなく戦いの場でありつつも、全部思い出すのは楽しかった思い出なんですよね。自分の人生を懸けて入った場所で、18年自分を懸け続けてきた場所でもあるので、かけがえのない場所でもあります。

全員退団してOGになりましたが同期ができたっていうのも大きいですよね。会うと、いつまで経っても同期は同期なんだなって感じます。先輩や後輩も、同じ釜の飯を食べてきた人たちで苦労が分かる人たちなんですよね。絆がずっと続く場所なんだなと感じています。

――お忙しい毎日だと思いますが、今楽しみにされていることはありますか?

望海:今はとにかく人に会うことが楽しいです。公演の本番とお稽古中って、「明日休みだから会おう」って言って会えるくらいの人じゃないとあまり約束できないので、人に会えないんですね。ちょっとひと区切りを迎えて、まとめてばんばん人に会っています(笑)。

ランチするのが楽しいという発見がありました! 公演の後に夜会うってなったら明日のことを考えたりしますけど、ランチって罪悪感がなくって。日がのぼってる時に人と会って、たくさんしゃべって、美味しいごはんを食べて、夕方には家に帰る。最高ですね!(笑)

――2023年の菊田一夫演劇賞演劇賞受賞の際は、望海さんの憧れの人・天海祐希さんとの同時受賞で、全ヅカオタが「よかったね〜」と涙し、ご対面の場となるはずの授賞式を望海さんが体調不良で欠席されると発表された時はまた全ヅカオタが「あぁぁ……」と涙しました。授賞式では望海さんの天海さんへの思いがこもったメッセージが素敵でした。

望海:メッセージを代読していただくということになったので、代読だったら言えるだろうと、思いのすべてを書きました(笑)。その様子をネットニュースで読んだ時は感極まっちゃいましたね。その場に行けなかったのは悔しかったですけれど、逆にまだまだなんだなというか。ここが一歩で、またいつか同じステージに立てるように頑張ろうと思わせてもらえたので、あのタイミングは少し早かったんだなと思っています。

でも同時受賞が発表されたときは怖くて(苦笑)。まさかそんなことが起こるなんて思わないですし、「私、絶対、知恵熱で倒れそうだな」と思っていたら本当に体調を崩してしまって。いつかまたご一緒できる機会があったら、しっかり整えて臨みたいと思います!

――心から楽しみにしています! それでは最後に本作を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします。

望海:お話自体がすごく面白いですし、ぐいぐい惹きこまれる展開がこれからも続いていきます。最後まで観ないと分からないこともいっぱいあると思うので、ぜひぜひ観てほしいです。藤澤もしっかり頑張っているので応援してください。

(取材・文:田中ハルマ 写真:米玉利朋子[G.P.FLAG inc])

 ドラマ『誘拐の日』は、テレビ朝日系にて毎週火曜21時放送。

    ランキングエンタメ

    ニュース設定