X線天文衛星「XRISM(クリズム)」で観測された超新星残骸「W49B」の想像図(宇宙航空研究開発機構提供) 立教大などの研究チームは29日、X線天文衛星「XRISM(クリズム)」による観測で、約3万5000光年先にある超新星爆発の残骸が、鼓(つづみ)のような特異な構造を持つことを明らかにしたと発表した。論文は同日、米科学誌アストロフィジカル・ジャーナル・レターズに掲載された。
超新星爆発は質量が大きい恒星が寿命を迎えた際に起こす現象。残骸には高温のガスなどが四方八方にほぼ一様に広がるが、不定形のものもある。
立教大の沢田真理助教らは、わし座の方角にあり、いびつな形に見える超新星残骸「W49B」をクリズムに搭載された高精度のX線分光装置で観測し、高温ガスの動きを詳しく調べた。その結果、一方の端が地球に近づき、その反対側が遠ざかっていることが判明。楽器の「鼓」のような構造をしていると考えられた。
沢田助教は、特異な形の理由として(1)爆発前の天体が高速自転しており、回転軸に沿って爆発が広がった(2)爆発前に天体から出た「恒星風」が周囲のガスを押しのけてできた空間に爆発が広がった―とする二つの可能性を指摘。「こうした特殊な例を調べることで、星の進化や爆発の理論への波及効果が得られる」と話した。

X線天文衛星「XRISM(クリズム)」による観測で明らかになった超新星残骸「W49B」の「鼓(つづみ)」型構造の模式図(宇宙航空研究開発機構提供)