
不動産マーケティングのプラットフォームを提供する株式会社マーキュリーが、中古マンション市場における売却価格と新築分譲価格を比較したところ、新築時には低価格とされる「北向き住戸」のほうが、中古市場で値上がり率が高い傾向にあることがわかりました。
【表】タワマン方位別住戸の値上がり率 低層・中層階でも…北向き住戸が優位です(調査結果を見る)
この調査は、首都圏・関西・東海地区で2016年〜2024年に流通した中古マンションを対象に、中古市場と新築分譲時の価格を比較し、価格変動の傾向を調べたものです。
まず、19階建て以下の物件(タワーマンション以外)で、部屋のある回数と方位別に値上がり率を調査したところ、最も値上がり率が高かったのは18階・北西向き(67.1%)で、反対に最も低かったのは1階の南向き(7.8%)でした。どの階層でも北側(北向き・北東向き・北西向き)の値上がり率が最も高く、反対に真南向きの部屋は最も値上がり率が低いということがわかりました。
タワーマンションの低層・中層階でも北向き住戸が優位
続いて、タワーマンションに分類される物件のうち、19階以下の住戸について調べたところ、最も値上がり率が高かったのは11階・北向きで71.8%、最も低かったのは1階・南東向きで20.9%でした。タワーマンションは一般的なマンションに比べて売却価格が高めに推移する傾向があり、同じ19階以下の住戸でも、値上がり率は約30ポイント上回る結果となりました。
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一方で、タワーマンションの低層階でも、北向きの方が値上がり率が高く、南向きが低いという傾向は一般的なマンションと共通しています。
上層階でも北向き住戸が高値に
タワーマンションの20階〜39階においても、同様の傾向が見られました。最も値上がり率が高かったのは37階・北東向きで99.8%、最も低かったのは22階・南向きで36.5%でした。一般的なマンションにはない階層帯のため、階数と値上がり率の相関はやや弱まるものの、南向きよりも北向きの住戸が高いという傾向自体は変わらないようです。
40階以上は方角による差がやや縮小
さらに、40階以上の超高層住戸では、方角と売却価格の関連性が薄れる傾向も見られました。最も値上がり率が高かったのは55階・北向きで141.2%、次いで54階・西向き(114.3%)、50階・南東向き(111.3%)と続きます。40階以上の住戸は供給量が限られるため、方角よりも個別の条件が売却価格を左右している可能性があると考えられます。
同調査では、方角別の値上がり率についても傾向が示されており、40階未満の物件では北向き(北西・北東含む)の方が南向き(南東・南西含む)よりも約15ポイント高く、40階以上でもその差は約7ポイントと、階数が低いほど方角の影響が大きいことがわかりました。
北向き住戸の値上がり率が高い理由について、調査を行った同社は「新築分譲時には、条件が良く人気が高い南向きの部屋の価格を高めに設定し、比較的人気が低い北向きの部屋は割安に設定する傾向がある。しかし、近年のマンションは気密性や換気性が向上し、実際に住んでみると北向きのデメリットが薄れているため、中古市場では新築時ほど方角による価格差が生じず、結果として北向きの方が値上がり率が高くなるのではないか」と述べています。
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【出典】
株式会社マーキュリー