
【写真】宮本亞門と成宮寛貴が25年の時を越えて再タッグ!
翻訳上演されている三島由紀夫作品の中でも、人間の心の奥底に潜む欲望や葛藤を、美しくも残酷な言葉で浮かび上がらせる秀作として名高い『サド侯爵夫人』。サド侯爵自身は姿を見せず、その周りを取り巻く女性たちの会話劇で進む物語を、今回はオール男性キャストで描く。
18世紀フランスを舞台に、悪徳の限りを尽くしたサド侯爵を待ち続ける、貞淑な妻・ルネ/サド侯爵夫人役に成宮寛貴、サン・フォン伯爵夫人役に東出昌大、ルネの妹・アンヌ役に三浦涼介、ルネの友人・シミアーヌ男爵夫人役に大鶴佐助、女中・シャルロット役に首藤康之、そしてルネの母・モントルイユ役を加藤雅也が演じる。
実力派俳優の競演により炙り出される、愛や忠誠、道徳、そして人間の欲望と倫理の対立。三島生誕100年を経て新たな世紀の始まりと共に、ヒリヒリと心に突き刺さるスリリングな物語が展開される。
本作で演出を手掛けるのは、今までにも舞台『金閣寺』、『ライ王のテラス』や、オペラ『金閣寺』、『午後の曳航』など、その深い洞察により多くの三島由紀夫作品に次々と息吹を与え、常に高い評価を得ている宮本亞門。自身もファンで、ミシマ作品を知り尽くしている宮本と、個性的な俳優たちが創り上げる化学反応に期待が高まる。
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宮本曰く、「演劇的・装飾的なものを極力排除し、言葉の力だけで紡ぎ出す」と語る本舞台。6人の登場人物が選んだ人生、存在理由、そして最後に辿る人生の選択とは…。
成宮は「僕が俳優デビューした舞台でもご一緒した宮本亞門さん。あのときから年月を重ね、25年ぶりに再びこのタイミングでタッグを組めることに、運命的な巡り合わせを感じています」とコメントしている。
チケットは10月25日より一般発売。
舞台『サド侯爵夫人』は、東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて2026年1月8日〜2月1日、大阪・森ノ宮ピロティホールにて2月5〜8日、愛知・とよはし芸術劇場にて2月13・14日、福岡・福岡市民ホール中ホールにて2月17・18日上演。
演出・宮本亞門、キャストのコメント全文は以下の通り。
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■演出・宮本亞門
念願であった日本演劇界の頂点とも言える、三島由紀夫氏の『サド侯爵夫人』を新たに創り出す喜びに胸が震えています。成宮君をはじめとする個性あふれる俳優たちと共に、危殆と破壊の縁に立ち上がる高揚を、かつてない舞台として結晶させお見せします。
来年一月――破壊からこそ生まれる美の昂奮を、どうぞご期待ください。
■成宮寛貴
再び舞台という“生”の場所に立てることに、静かな高揚を感じています。『サド侯爵夫人』という極限まで研ぎ澄まされた世界の中で、人間の愛と狂気、そして内面に潜む声を辿っていく時間になると思います。
今回、12年ぶりに舞台に挑戦します。三島由紀夫の戯曲に向き合うことは、俳優にとって大きな試練であり喜びでもあります。鋭く精緻な言葉に呑み込まれるのではなく、自分の身体と声を通してどう響かせられるか――その覚悟をもって臨みたいと思います。
そして演出を務めてくださるのは、僕が俳優デビューした舞台でもご一緒した宮本亞門さん。あのときから年月を重ね、25年ぶりに再びこのタイミングでタッグを組めることに、運命的な巡り合わせを感じています。俳優という仕事に再び身を委ねるなかで、今の自分だからこそ触れられる感情や言葉があると信じています。
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■東出昌大
世界の演劇界に燦然と輝く傑作『サド侯爵夫人』に出演出来ますことは、私の俳優人生に於いての誉れです。また『豊饒の海』の舞台を共に作り上げた盟友、首藤さん、佐助と再びご一緒出来る喜び。そして、初めてお目見えする宮本亞門さん、加藤さん、成宮さん、三浦さんとの邂逅。全てが楽しみで仕方ありません。
十代後半より三島由紀夫作品を愛読して参りました。その後役者になり、舞台『豊饒の海』や映画『三島由紀夫VS東大全共闘』などの作品で“三島”に関われる機会に恵まれてきましたが、この令和の世に『サド侯爵夫人』を男性キャストで公演すると聞いた際は、魂の微振動を感知したことを覚えております。絢爛豪華な美文に負けぬ熱演を致します。
■三浦涼介
「サド侯爵夫人」ルネの妹。アンヌ役を演じます。三浦涼介です。
三島由紀夫生誕から100年。そのような新たな歴史のスタートにこのような出演のお話を頂き心より感謝します。宮本亞門さんとの出会いはずっと願って居た事であり、今回初めてお会い出来る事…僕自身とても嬉しく思っています。
サド侯爵夫人は三島さんの作品の中でも過去に数多くたくさんの方々がこの戯曲の夢を叶えてきた事だと思います。
■大鶴佐助
サド侯爵については初め性的倒錯者としての印象が強かったのですが、宗教や道徳などの固定概念の全面的否定や徹底的な自然主義など、本人の絶対的な美学の上での行いだった事を知り、自分の中で見方が少し変わりました。
「サド侯爵夫人」は全編女性の会話劇ですが、女性達の中に常にサド公爵が存在しているからかなのか、三島由紀夫の美学とサド公爵の美学が似ているからなのか、男性が演じると考えても台詞に違和感を感じませんでした。
三島由紀夫作品は「豊饒の海」以来ですが、戯曲を演じるのは初めてですので、三島の書いた台詞をどう立ち上げていくか今から楽しみです。
■首藤康之
今回、宮本亞門さん演出舞台『サド侯爵夫人』に関わる事ができることを嬉しく思います!
私のキャリアはフランス人振付家モーリス・ベジャールさんが三島由紀夫さんをモチーフに創作した作品『M』からはじまりました。
未だミステリアスかつ不可解な事が多いこの作家の真実や愛に少しでも近づけることを願いながら、素晴らしい共演者の方々と丁寧に稽古をしてまいりたいと思っております。
■加藤雅也
私が45歳で初めて舞台に挑戦してから、早いもので17年が経ちました。これまで携わってきたのは、どちらかといえばエンターテインメント性の強い作品が多かったのですが、心のどこかで「いつかは三島作品やシェイクスピア作品のような芸術性の高い舞台にも挑戦してみたい」と願っておりました。もしかしたらそのような機会は自分には訪れないのかもしれない……と半ば諦めかけていたところに、今回のお話をいただきました。驚きと喜び、そして「果たして自分ができるのか」という不安がよぎりましたが、思わず「やります!」と即答してしまいました(笑)。
台本を手にした瞬間、セリフの多さに「これは大変なことになったぞ(笑)」と覚悟を決めると同時に笑みがこぼれ、まだ稽古もしていないのに早くも“セリフが出てこない夢”を見る始末。夢に見るぐらい不安を抱いている自分に少し可笑しさを感じました。もう後戻りはできません。全力でモントルイユ夫人と向き合い、皆さまに楽しんでいただける舞台をお届けできるよう励んでまいります。全身全霊でモントルイユ夫人を演じきりたいと思っております。温かく見守っていただけましたら幸いです。