確定した刑事裁判をやり直す再審制度の見直しを議論する法制審議会(法相の諮問機関)の部会が14日、法務省で開かれ、14項目ある論点に対する議論が一巡した。「冤罪(えんざい)の救済」を訴える弁護士の委員と、「刑事手続きのバランス」を重視する検察官や学者らの委員の間で意見が対立する状況となっている。
14項目の論点は、再審請求審での証拠開示や検察側の不服申し立て(抗告)の禁止など。現行の刑事訴訟法は明文化したルールがなく、7月から本格的な議論を進めていた。法務省は来春にも法制審から答申を得た上で、来年の通常国会に改正法案を提出することを目指している。議論は2巡目に入り、一致点を見いだせるかが焦点となる。
意見の隔たりが特に大きいのが証拠開示だ。現行法では、検察側が保有する証拠を再審請求審で開示するかどうかは、裁判官の指揮に委ねられているのが現実だ。ただ、1966年に静岡県で発生した一家4人殺害事件で再審無罪が確定した袴田巌さん(89)のように、年月を経て無罪につながる証拠が初めて開示されることもあり、ルールを設ける必要性が指摘されてきた。
部会では、日本弁護士連合会の弁護士が幅広く証拠を開示する規定にすべきだと訴えた。また、無罪を示す証拠が捜査機関で保管されていても、廃棄されかねないとして証拠の保存・管理に関する規定も新設することを求めた。
これに対し、大学教授の委員からは、証拠開示の範囲は再審請求の理由と関連した「必要な範囲」とするのが適当との意見が示された。証拠の保存・管理については、検察官らから既に別の法令にある規定が現実に使われているなどとして必要性に疑問が呈された。
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再審開始決定が出た後の検察側の不服申し立てについては、日弁連の弁護士が「再審請求審が長期化する要因になっている」とし、禁止すべきだと主張した。検察官は「誤った再審開始決定は存在する」と反論している。【巽賢司】
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