ジャズピアニスト山中千尋、巨匠ケニー・バロンと互いのピアノトリオで共演「もう神様みたいな方」

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2025年10月16日 18:00  日刊スポーツ

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ジャズピアニスト山中千尋

ジャズピアニスト山中千尋が「METROPOLITAN JAZZ Vol.8 TOKYO PIANO NIGHT」(東京芸術劇場、17日午後6時30分開演)に出演する。ニューヨークを拠点に世界中で活躍する山中が共演するのは、現代最高峰のジャズピアニストと言われる巨匠ケニー・バロン(82)。2人がそれぞれのトリオを率いて夢の競演を果たす。山中に話を聞いた。


 ◇  ◇  ◇


ケニー・バロンは“現代最高のリリカル(感情豊か)なピアニスト”と称され、2010年にはアメリカ国立芸術基金からNEAジャズ・マスターにも選出されている。伝統的なジャズと南米アンデス地方のフォークロア音楽を融合させた独自のスタイルで、若手女性ドラマーのサヴァンナ・ハリスと実力派ベーシスト北川潔とのトリオ。山中は繊細さとパワフルさを兼ね備えたドラミングの江藤良人、ジャンルを超えて精力的に活動を続けるベーシスト井上陽介とのトリオで登場する。


山中は「江藤さんは、私がデビューした時に一緒に演奏していただいていた方なんです。スウィング感が素晴らしいストレートアヘッド(伝統的なスタイル)なジャズドラマーです。江藤さんも井上さんも私にとっては憧れの先輩で、特別な時にしかお声がけしないのですが、今回はこのTOKYO PIANO NIGHTのためにお願いしました。本当にスペシャルなトリオになります。おふたりとご一緒できることを楽しみにしています」と話している。


演目については「お客さんがわりと親しんでいらっしゃるスタンダードの曲を編曲したものが多くなると思いますのでお楽しみに。『イパネマの娘』とか『サマータイム』も演奏する予定です。演奏する時の気持ちみたいなのものはどの会場でも全然変わらないんですけども、特に東京芸術劇場については音の響きが豊かなすごくいいホールだと思います。しかも音が回らずにすごくしまってタイトに聴こえるので、とても楽しみです。さらに、ステージ上で聴く音と、客席のお客さまがお聴きになっている音がすごく近いという点もすごいなと思います」。


ジャズレジェンドのケニー・バロンのトリオとの共演。


「ピアノトリオは、最小限の人数で最大限会話ができるみたいな、そういうイメージがあります。ピアノ、ベース、ドラムスという構成ですが、ピアノもベースや打楽器の役割を果たすこともあります。ピアノトリオは、お互いがお互いの役割も担う特別な関係だというようにいつも思います」


そして「もう16年も前ですが、09年の『富士通スペシャル100 GOLD FINGERS』というイベントでケニーさんとご一緒したことがあります。日本各地を回る中で、私はバスの中で寝てばっかりいたので『スリーピングビューティー』とか言われてたんです。私も学生時代は、ケニーさんのそれこそトランスクリプション(採譜されたもの)を一生懸命に勉強しました。かっこいい曲がいっぱいあって、セッションでも演奏しました。なかでもすごく印象に残ってるのは、やっぱりスタン・ゲッツとやってたデュオアルバム『ピープル・タイム』でしょうか。もう神様みたいな方で、今回ご一緒できるのとても楽しみにしています。ケニーさんのライブに行くと、いつもなんか新しい発見があります。絶えず進化していらしゃることが本当にすごいと思います。皆さまもケニーさんのトリオを必ず楽しんでいただけると思います」と話している。


今年は05年にアルバム「Outside by the Swing」をリリースして、メジャーデビューから20周年。


「ここまで続けてこられたのは、応援してくださった方やご関係者の皆さまに支えていただいたおかげです。20周年を迎えて、これからもっとちゃんと頑張らないといけないなと、緊張しているところです。そして、できるうちにいろいろな経験をしておきたいと思います。今年で20年たったので、またあと10年頑張れるように頑張りたいと思います」。


この20年間のジャズシーンを振り返って「すごく変わりましたね。私が始めた頃は『これはジャズだ、これはジャズじゃない』なんていうことをおっしゃる方も多かったですが、今は、もうそんなことはひょいと飛び越えて、ジャズっていうものの見方も変わりましたし、聴き方も変わりました。いろんな種類があって、アーティストの数だけジャズが存在が許されるということだと思いますし、私は本当にそれはいいことだったと思うんです。そしてきっと、ジャズの音楽にとっても、とってもいいことだと思います。その中でストレートアヘッドをやりたいっていう人たちも出てくると思います。だからこそ、いろんな多様化されたジャズが共存できる、そういう社会になってるのかなという風に考えています。なんか時代と同じで感じですね、ほんとに」。


これからについて「やっぱり自分自身、本当に今しかないっていう気持ちで演奏していかないといけないと思います。個人的なことですが、友人を亡くしたりしたことがいくつかあったのでなおさらそう思います。できる限りピアノに触れて、音楽に触れて、そういう充実した生活が、音楽と共に豊かな生活が送れればいいなっていう風に思っています」。


17日のコンサートに向けて「今回はケニー・バロンさんという、もう素晴らしい巨匠ピアニストのトリオの皆さんとステージをご一緒させていただくことになりました、私自身も、とても楽しみにしています。『百聞は一見にしかず』っていう言葉がありますけども、ジャズはその言葉そのものですので、ぜひ会場で何が起こるかを、聴きに、そして見にいらしてください」と話している。

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