北村匠海が主演、内山拓也監督の新作映画『しびれ』共演に宮沢りえ、永瀬正敏ら

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2025年10月21日 15:10  CINRA.NET

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Text by CINRA編集部

映画『しびれ』が11月21日に開幕する『第26回東京フィルメックス』コンペティションに選出された。

同作は『佐々木、イン、マイマイン』などの内山拓也監督が自身の故郷・新潟を舞台に、居場所とアイデンティティを模索する少年の物語を描いた自伝的作品。幼少期に暴君のようだった父の影響から言葉を発しない大地の運命が、父の行方を求めて生家を訪ねることを決意したことを境に大きく揺らいでいくというあらすじだ。内山監督が『佐々木、イン、マイマイン』よりも前から執筆を続けてきた構想十余年のオリジナル脚本となる。

青年期の大地役に北村匠海がキャスティング。どこにも居場所がない孤独な少年期をくぐり抜け、自分のもとを離れた父への静かな怒り、女手一つで自分を育てた母に対する憎しみと愛という感情に揺れる心の内を体現しているという。

水商売で日銭を稼ぎ、世間的には育児放棄と呼ばれるような生活を送るものの細部に息子への慈愛が滲む母・亜樹役を宮沢りえ、時が経ち、かつての威厳が消え、悲哀に満ちた余生を送る父・大原役を永瀬正敏、少年期の大地役を榎本司、加藤庵次、穐本陽月が演じる。

今回の発表とあわせて写真家・トヤマタクロウによる劇中スチール4点が公開された。

【北村匠海のコメント】
僕は一体誰を演じたのか、間違いなく誰かではあるのですが。
ただそれは感情という概念がそのまま形になったような、初めての芝居体験でした。
そして僕が抱えていたものは怒りそのものでした。
この映画で僕が決めていた事はただ一つで、監督にNOと言わない。
監督の見てきたもの、今信じているもの、過去の無くなったもの。
その全てを、北村匠海を介して表現して欲しいと心に決めていました。
この映画で一緒に心中してくれと監督は言ってくれたんです。すごく嬉しかった。
是非、楽しみにしていて欲しいです。

【宮沢りえのコメント】
壮絶に、もがき、生きた亜樹という役を自分の身体に引き摺り込むのはとてつもなく苦しかったけれど、、内山監督はじめ、現場にいる皆んながこの作品に対して愛があって真剣で、その熱量に、私自身、演技の枠を超えてしまうような瞬間があって、それが怖くもあり、面白さでもありました。
この作品に出会えて良かったと思っています。

【永瀬正敏のコメント】
数日の参加でしたが、全身に"闇"と"負"と"後悔"を纏い続けました。
観ていただく方々の“アンチテーゼになれれば"との思いで、監督の願いと揺れをどう具現化するか?
その事だけを考えていた日々でした。
この作品を創る事、上映する事によって監督の心の中の葛藤が、物語の時間軸と共に浄化され未来へ動き出します様に。
東京フィルメックスで上映していただけるとの事、感謝しています。

【内山拓也監督のコメント】
小さな世界の大きな物語です。
少年の眼差しは、何を捉えているのか。
映像と生活音、自然の音が重なり合う。
ゆれる感情と共に、海、風、雨、雪。冬の新潟をフィルムに焼き付けました。
過ぎ去っていく日常の中で、息をすること、心の切なさ、恐ろしさ、時にある喜び、それらの空気を肌で感じること。
この映画を通して、見落としがちな日々の美しい断片に気づいたり、生活や人との関わりが愛おしく感じてもらえたらと願いました。
「しびれ」は私にとって人生をやり直すための確かな基盤となったように、人生は何度でもやり直せ、手遅れなことはない、再び人生を歩み出そうとするすべての人々に、それでも前を向きたいと思うすべての人々に、そして存在のない子供たちに、この映画を捧げます。

【神谷直希(東京フィルメックス プログラム・ディレクター)のコメント】
内山拓也の描く物語の主人公は、いつでも多くを語らない男だった。
比較的会話劇に近いかもしれない『佐々木、イン、マイマイン』の主人公でさえ、どちらかというと寡黙な男として設定されていた。
そして本作『しびれ』に至って、内山は主人公からほぼすべての言葉を奪ってしまった。
しかし、彼の作品で最も印象に残る主人公を問われたら、多くの観客が本作の主人公を挙げるのではないだろうか。
役者の顔と身体に、そして何よりも映像それ自体に多くを語らせること。
内山が何よりも「映画」を信じているからこそ、この領域に辿り着けたのだと、この作品を見て確信した。

©2025「しびれ」製作委員会

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