外交の基軸は強固な日米同盟だと訴える高市早苗首相にとり、最初の関門となるのが1週間後に迫るトランプ米大統領との初会談だ。首脳間に信頼関係を築き、内外に結束を示せるかが焦点。保守派の高市氏に警戒を強める中韓両国との関係でも手腕が試される。
日米両政府は27〜29日の日程でトランプ氏が来日し、新政権発足後初の日米首脳会談を28日に行う方向で調整中。関税合意の着実な履行、5500億ドル(約83兆円)に及ぶ対米投資の具体化、防衛力強化に向けた連携など課題は山積みだ。
トランプ氏から、防衛費や在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の増額を求められる可能性もある。
26日以降はマレーシアでの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議、韓国でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議も続く。首相として各国首脳に自らを売り込む絶好の機会となる。中国の習近平国家主席、韓国の李在明大統領との会談が想定されている。
対中関係では、沖縄県・尖閣諸島や台湾周辺での中国の威圧的な行動、相次ぐ邦人拘束など懸案が多い。偶発的な衝突を防ぐには対話が不可欠だが、首脳会談は昨年11月以降行われていない。韓国とは、首脳が相互往来する「シャトル外交」を進め、岸田政権から続く関係改善の流れを継続できるかが注目点になる。
ただ、中韓両国は首相の靖国神社参拝を警戒する。首相は就任直前、秋季例大祭に合わせた参拝を見送ったが、今後も外交面の配慮を求められそうだ。