初閣議を終え、記念撮影する高市早苗首相(前列中央)と閣僚ら=21日、首相官邸 少子高齢化が進む中、需要が増える医療・介護サービスの維持と費用負担の軽減をどのように両立させるかが最大の課題となる。新たに連立を組む日本維新の会は現役世代の社会保険料引き下げに強いこだわりを見せている。実現には高齢者を含む国民全体の負担増を伴う改革が不可欠で、高市早苗首相は厳しい判断を迫られそうだ。
医療・介護サービスは公定価格で賄われているため、急激な物価高に対応できず多くの施設が赤字経営を強いられている。首相は自民党総裁就任直後の記者会見で、医療・介護事業者に対し、「補正予算で支援することを検討している」と述べ、公定価格を前倒しで引き上げる考えを示した。
ただ、医療・介護事業者への支援は、保険料や利用者負担の増大にもつながる。維新は年間50兆円に迫る国民医療費の総額を4兆円以上削減し、現役世代の1人当たり保険料負担を年6万円下げると主張してきた。両党が20日に交わした連立政権の合意書では「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくことを目指す」との記述にとどめ、数値目標は明記されなかった。維新の主張がどこまで実現するかが焦点の一つとなる。
維新は保険料引き下げのため、市販薬と似た「OTC類似薬」の保険適用除外を訴える。しかし、日本医師会などが反発しており、年末の予算編成は難航必至だ。
一方、首相は自民党総裁選で、保護者が不在の時間帯に小学生を預かる学童保育について、企業主導型の創設を唱えた。共働き世帯の増加を踏まえたもので、少子化対策で独自色を出す狙いがある。