衆院本会議で所信表明演説をする高市早苗首相=24日午後、国会内 高市早苗首相は24日の衆参両院本会議で、就任後初の所信表明演説を行った。「強い経済をつくる。日本列島を強く豊かにする」と述べ、戦略的な財政出動による成長路線を主張。防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%とする目標の達成を「今年度中」に前倒しするなど、「防衛力の抜本的強化」を急ぐ姿勢を示した。
安全保障政策や外国人政策などで保守的な見解を並べ、石破前政権からの転換を印象付けた。
「経済あっての財政」を経済財政政策の基本に据え、「日本成長戦略会議」の新設を表明。人工知能(AI)や半導体、造船など戦略分野への支援策を打ち出す考えを明らかにした。
物価高対策を最優先課題に位置付け、今国会中のガソリン暫定税率の廃止法案成立や、冬季の電気・ガス料金支援を掲げた。働き控えの原因となる「年収の壁」について、所得税の課税最低ラインである160万円の引き上げに意欲を示した。
社会保障制度を巡り、有識者を交えた超党派の「国民会議」を設置し、給付付き税額控除の制度設計を含む「税と社会保障の一体改革」を議論すると表明。野党に参加を呼び掛けた。「現役世代の保険料負担を抑える」とも訴えた。
ロシアによるウクライナ侵攻などで国際秩序が大きく揺らぐ中、防衛力増強を目指し、安全保障関連3文書を来年中に改定する方針を明言。日米同盟を外交安保の基軸と位置付け、韓国とは首脳間対話の重要性を訴えた。
威圧的な行動を強める中国については「重要な隣国」としつつも、「経済安保を含む安保上の懸念が存在する」と指摘。トップ外交を通じ、歴代政権が進めた「戦略的互恵関係」の構築を目指す考えを示した。
外国人政策では、一部の外国人による違法行為に「排外主義とは一線を画すが、毅然(きぜん)と対応する」と強調。「土地取得ルールの在り方についても検討を進める」とした。
連立政権を組んだ日本維新の会の看板政策である「副首都」構想に関し、「首都および副首都の責務と機能に関する検討を急ぐ」と述べた。憲法改正について、首相在任中の国会発議を実現するため「党派を超えた議論が加速することを期待する」と言及した。

衆院本会議で所信表明演説をする高市早苗首相(壇上)=24日午後、国会内