オートスポーツweb20周年連載企画『20の質問で丸わかり!』その18 ベルトラン・バゲット選手

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2025年10月31日 12:20  AUTOSPORT web

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2025スーパーGTでTEAM IMPULの12号車TRS IMPUL with SDG Zをドライブするベルトラン・バゲット
 2025年、オートスポーツwebは前身のクラッシュネット・ジャパンから名称を変更してから20周年を迎えました。これもひとえに、読者の皆さまのご愛顧のおかげです。そこで、皆さまへの感謝の意味も込め、20周年特別記念連載をスタートさせます。題して『オートスポーツweb20周年企画 20の質問で丸わかり』です。かつて、AS+Fやオートスポーツ本誌で連載されていた『100の質問』を20周年記念版でリメイク。スーパーGT GT500ドライバーのプライベートを解き明かしていきます。

 第18回は、この企画ふたりめとなる外国人ドライバー、TRS IMPUL with SDG Zのベルトラン・バゲット選手が登場です。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

Q1:趣味は何ですか?ベルトラン・バゲット(以下、バゲット):レースカーをドライブしていないときはサイクリングするのが大好きだね。もちろんモータースポーツが一番だし、今ではレースが仕事になっている。だから、2番目に熱中できるものがサイクリングになったとも言えるね。

 自分で乗るのも好きなんだけど、母国のベルギーにもハイレベルなレースがたくさんあるから、観戦するのも大好きなんだ。ベルギーでは友達グループのみんなと毎週木曜日の夜にサイクリングをしている。日本にいるときはしていないけど、僕にとって一番の楽しみだよ。

Q2:最近気になっている芸能人、有名人は?バゲット:自転車競技関連で言うと、ベルギーにはレムコ・エヴェネプールというオリンピックチャンピオンがいる。彼はまだかなり若く、次世代ナンバーワンのベルギー人ライダーのような存在で、彼のことをよくフォローしているよ。

 スポーツ以外なら、僕はコロナ禍に入ってからYouTubeの動画をたくさん見ていて『Squeezie(スクイージー)』という名の本当に有名なフランスのYouTuberで、暇なときに彼がやっていることを見るのが好きだね。

Q3:好きな本や映画、音楽は何ですか?バゲット:正直に言うと本はあまり読まないけど、ベルギーにいるときはビジネス雑誌を読むようにしている。ちょっと変わっているかもしれないけど、そういった雑誌が好きなんだ。音楽に関してはアメリカのラップが大好き。ちょっと特別で、少し攻めている感じはあるけど、そういうところが好きなんだ。

Q4:行ってみたい場所はどこですか?バゲット:正直に言うと、若い頃からモータースポーツをやってきて世界中を旅してきた。今も日本とベルギーを頻繁に行き来している。将来、今の仕事をフルタイムでやらなくなったり、引退をしたら……家でゆっくり過ごしたいな(笑)。

──それは家族と一緒にゆっくり過ごすという意味ですか?バゲット:もちろん! ベルギーには素敵な家があって幸運だけど、家族と離れてしょっちゅう出かけているのは、ときどき少し疲れたり、大変だったりすることもある。ベルギーにいるときも家業で忙しくしたり、ヨーロッパでレースに出場しているから、時間があれば自分の家で過ごしたいし、旅に出ず、自分の庭や家でゆっくり休むのが夢だね。

──ちなみに、ベルギーの良いところは何ですか?バゲット:僕はきれいな空気と平和で穏やかな場所が大好きが好きだから田舎に住んでいるんだ。マウンテンバイクで森の中へ行けることが好きだね。3分もあれば森の中に入ることができる。僕の家の周りは自然に囲まれていて、素敵な湖で子どもたちや妻と一緒に過ごすことができる。あと、ベルギーの人たちはいつも陽気で、友達と飲みに行くのも好きだね。

Q5:もし何か新しいスキルを身につけられるとしたら、何を学びたいですか?バゲット:いい質問だね! 新しいスキルね……。できないけど、やってみたいのは料理だね! 実は料理が本当に下手で……何か作っても、必ず味見しないといけない。相当ひどいから……自分では絶対に料理をしないんだ。

 ベルギーでは妻が料理をしてくれるし、日本にいるときは外食をしたり、友達と食事をしたりするのがとても簡単だ。僕は料理が本当に下手だから、もし料理のやり方を学ぶことができたら最高だね。

Q6:休日もしくは暇な時間はどのように過ごすことが多いですか?バゲット:ベルギーにいるときは、子どもたちと一緒に過ごす時間が一番大切だし、楽しむようにしている。例えば外へ出て散歩をしたり、公園に行ったりだね。日本にいるときは何かをすることはせず、友達とリラックスするようにしている。たまに街を散歩したりするくらいかな。ストレスフルな時期はできるだけリラックスすることを心がけている。

──お子さんは何人いるのでしょうか?バゲット:男の子がふたりいるよ。ひとりは7歳、もうひとりは3歳とまだ小さいんだ。子どもたちにとっては、お父さんがしょっちゅう出かけているから、ときどき辛い思いをさせている。だから、僕は子どもたちに「お父さんがベルギーにいるときは、100%君たちの時間だよ」と言っている。

Q7:人生で一番大切にしていることは何ですか?バゲット:僕にとって人生で一番大切なことは、好きなことをすること。毎日幸せな気持ちで目覚めるように心がけている。今の仕事が趣味のひとつになっているのは幸運だ。僕はレーシングドライバーでいられることを本当に幸せに感じていて、サーキットに行くたびに幸せな気持ちになる。もしいつかレースが好きではなくなって『レースに行かなければならない』というマインドになったら、きっと朝起きたときに機嫌が悪くなると思う。それは嫌だからレースをやめるだろうね。それくらい、好きなことをすることは僕の人生で一番大切なことなんだ。

Q8:どんな時に幸せを感じますか?バゲット:前の質問と似ているけど、レーシングカーに乗っているときと、家族のそばにいるときだね。子供たちふたりと一緒にいるときが一番幸せだ。

Q9:尊敬する人は誰ですか?バゲット:チームのメカニックとエンジニアだね。僕たちは走行が終わってデブリーフィングが終わると早めにホテルに戻るけど、彼らは夜遅くまでクルマの整備をしてくれて、朝も僕たちより早くサーキットに来て、準備を進めてくれる。毎朝サーキットに来て思うことは、彼らはミスなく作業をして、ガレージ内もきれいに整えている。それと同時に、ピットストップではミスなく仕事をしなければいけないというプレッシャーにも晒されている。レーシングドライバーの仕事は簡単ではないかもしれないが、彼らがやっている仕事よりは簡単だと思う。だから、メカニックやエンジニアのことは、とても尊敬している。

Q10:これまでの人生で一番の挑戦は何でしたか?バゲット:レースと家庭生活の良いバランスを見つけること。僕はレーシングドライバーになることを選んだ。それはサーキットや家の外で過ごす時間が長いことを意味する。レーシングドライバーであることと、家族の父親であることのバランスを取ることが僕にとって重要だ。

 僕が家にいないあいだ、子どもたちの世話をしてくれる妻をとても尊敬しているよ。レースをするのは少し大変なところもあって、家族と一緒にいる時間も考慮して、ときには参戦オファーが来たときも断らなければならないこともある。でも、家族のためにいなければならないから、ふたつの生活で良い妥協点を見つけるのは、今のところかなり大きな挑戦になっているよ。

──日本とベルギーの行き来は大変ですよね。バゲット:家族から遠く離れた日本でレースをするのは決して簡単ではないけど、同時に日本のレースが大好きだし、スーパーGTでレースができることをとても幸せに思う。僕にとってスーパーGTは世界最高のマシンだし、世界最高のチャンピオンシップのひとつと言えるかもしれない。

 毎年妻と「日本でレースを続けようか?」と話し合うとき、僕は「お願いだから、続けさせて」と伝えている。本当に大好きだし、日本でレースを続けたいからね。そのために、いつも妥協の連続ではあるけど、そのなかで最善を尽くしている。

Q11:困難な状況に直面したとき、どのように対処しますか?バゲット:急いで決断をしないようにしている。難しい選択を迫られたときは、よく考えて、自分が下すべき決断のメリットとデメリットを天秤にかけ、良い決断をするように努めている。とにかく焦りすぎず、できる限りじっくり考えるようにしているよ。

Q12:自分の長所と短所は何だと思いますか?バゲット:僕の強みは精神的に強いことだ。プレッシャーにはうまく対処できると思う。もちろん、ストレスなどを感じることもあるけど、難しい状況やストレスの多い状況でも落ち着いている。

 弱みは……なんだろう? ないかな。でも、状況によっては怠惰になることがあるかもしれない。あとになって後悔して、自分自身に腹を立てて『なぜこれをしなかったのか』ということはあるかな。

Q13:子供の頃はどんな子供でしたか?バゲット:これは両親に聞かないといけないね(笑)。子供の頃はとても落ち着いていて、控えめで、少し内気なところがあった。いつも後ろの方にいた感じかな。幸運にも学校の成績はなかなか良かった。学ぶのが好きで、いつもクラスのトップだった。

Q14:他の人から、どんな人だと言われることが多いですか?バゲット:なんだろう。子どもの頃が内気だった分『シャイではなくなったね』と言われるかな。

Q15:動物に例えられるとしたら、どんな動物だと思いますか?バゲット:ライオンだね。すごくかっこいい動物だと思う。優しくて、かっこよくて、力強い。ときにはすごく攻撃的になることもあるし、攻撃されたら、攻撃を返すというライオンならでは反応の仕方が好きだね。

Q16:20回以上通っているお店かレストランを教えてください。バゲット:20回以上ならたくさんあるよ。焼肉は(感覚値で)1000回以上行っていると思う(笑)。あとは鉄板焼きだね。すごく高級なお店だから、頻繁には行かないんだけど、六本木にある『モンシェルトントン』は大好きだね。ここは20回以上は行っていると思う。

Q17:20年以上、使っているものはありますか?バゲット:20年以上同じものというのは、なかなかないけど……ベルギーの家にある目覚まし時計だね。その時計は若い頃からずっと使っているし、僕が使っている時計の中で一番古い。

Q18:20年前は何をしていましたか?バゲット:20年前は19歳だから、当時は学校に通っていて、会計学の勉強を終えて会計士になった。実は、もともと工学系の勉強をしていたんだけど、レーシングドライバーになるためにはやめる必要があり、母に話したときはとても悲しんでいた。でも、僕にとって会計学の勉強はとても楽だったから、レース活動と両立させることができた。当時は2005年だからフォーミュラ・ルノー・ユーロカップに出ていて、小林可夢偉とも戦ったよ。

Q19:20年前の自分に言いたいことは?バゲット:諦めずに信じ続けろと言いたい。レースを始めた頃は将来がどうなるかなんて全く分からなかった。スポンサーとの交渉もあったし、レースに出るためには両親にお金を頼まなければいけないこともあった。当時は自分が正しい決断をしているのかどうかも分からず、かなりストレスを感じた。もし今、20年前の自分に言い聞かせるなら「よし頑張れ。自分を信じて夢を追いかけろ」だね。

──ということは、バケット選手にとっての20年前は人生のターニングポイントでしたか?バゲット:間違いなくそうだね。両親にその話をしたのを覚えているよ。レースのためにあまりにも多くの場所に行かないといけなくなって、自分の勉強についていけなくなっていたことに気づいていたからね。エンジニアリングの勉強は本当に難しいから、学校に行かなければ理解することができない。

 でも、僕はいつもテストやレースのためにどこかへ出かけていた。学校に戻って授業を受けているときも、あまりにも多くの時間を逃していたから理解に苦しんだ。そして、自分自身に『両方を同時にすることはできない。ドライバーになるか、レースをやめてエンジニアになるかを選ばなければならない』と問いかけて……ものすごく大きなストレスだった。どちらも好きだったけど、選択を迫られたから、僕はレーシングドライバーになることを選んだよ。

Q20:20年後にしていたいことは?バゲット:59歳になっているからね……。子どもたちと一緒に家で過ごしたい。もしかしたら、その頃には子どもたちは家を出ているかもしれないけどね。でも、とにかく幸せで好きなことを続けたい。具体的に何をするかは分からないけど、僕にとって一番大切なのことは、幸せかつ健康でいることだ。


●プロフィール ベルトラン・バゲット

1986年2月23日ベルギー出身。4歳でカートを始め、2009年にフォーミュラ・ルノー3.5でシリーズチャンピオンに輝く。同年にはF1テストも経験し、翌2010年にはインディカー・シリーズに参戦を開始し、2011年のインディ500で7位入賞を飾る。2012年からはWEC世界耐久選手権に参戦し、2014年から活動の場を日本に移し、EPSON NAKAJIMA RACINGからスーパーGT GT500クラスに参戦。2022年にニッサン陣営のTEAM IMPULに加入すると移籍初年度でチャンピオンに輝き、2025年も平峰一貴と12号車のステアリングを握っている。

[オートスポーツweb 2025年10月31日]

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