「GT3についていける」S耐第7戦富士に登場したCIVIC TYPE R HRC ConceptのHRC-K20Cのパワーにドライバーたちも驚き

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2025年11月15日 13:20  AUTOSPORT web

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2025スーパー耐久第7戦富士 CIVIC TYPE R HRC Conceptに搭載されたHRC-K20Cエンジン
 11月15〜16日に静岡県の富士スピードウェイで行われるENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第7戦『S耐FINAL大感謝祭』は、今季最終戦となっているが、ST-Qクラスに参戦するTeam HRCの271号車CIVIC TYPE R HRC Conceptは、開発を進めているレース用エンジン『HRC-K20C』を搭載している。500馬力を超えるパワーで、ドライバーたちも「衝撃を受ける」パフォーマンスを誇っているという。

 HRC-K20Cは、市販車のホンダ・シビック・タイプR用のK20Cエンジンをベースとし、HRC(ホンダ・レーシング)から高性能なレース専用エンジンを低価格で提供することをコンセプトとして開発が続けられているエンジンだ。ジュニアフォーミュラ等を想定した340馬力までのスペックA、ツーリングカーレース等を想定した400馬力までのスペックB、ミドルフォーミュラやGTカーレースを想定した500馬力までのスペックC、そしてそれ以上のカテゴリーを想定するスペックDが開発されており、さまざまな用途に対応する。

 このHRC-K20Cエンジンは、2024年から北米のTCアメリカで使用できるTCXカーのアキュラ・インテグラ・タイプS用にスペックBが搭載され、2024年11月には、鈴鹿サーキットでスーパーフォーミュラSF19にスペックDエンジンが搭載されテストを行ったが、今回スーパー耐久第7戦富士で271号車CIVIC TYPE R HRC Conceptに搭載されているのは、スペックDの改良版だ。SF19に搭載されたスペックDはドライサンプだったが、今回はウエットサンプに。搭載にあたりエンジンマウントやエキゾーストが改良された。

 HRC-K20Cエンジンは、市販のシビック・タイプR用のエンジンをベースに、量産部品を極力使用しながらレース用に変更されているものだが、燃焼技術についてはホンダが参戦しているF1や、GT500用の燃焼技術のトレンドを盛り込み、高性能かつ低コスト、さらに燃費も含め、高次元でバランスさせたエンジンになっているという。

 搭載しているCIVIC TYPE R HRC Conceptは、世界中のツーリングカーレースに参戦しているシビック・タイプR TCRをベースとした車両だが、このスペックDのHRC-K20CはTCR車両のギヤボックスやドライブシャフトの条件を満たすトルクのなかで走らせるかたちをとっているものの、それでも500馬力を超えるパワーを誇るという。


●「ストレートでGT3についていける」パワーとともに燃費アップも

 そんなHRC-K20Cエンジンが搭載されたCIVIC TYPE R HRC Conceptは、スペックDの実戦デビューとなるスーパー耐久第7戦富士のスポーツ走行ではシステムエラー等もあったものの、11月14日の専有走行ではトラブルも解消。「カーナンバー(271)と同じくらい」というTCRベースとしては驚きのストレートスピードが出ているという。ドライバーたちからは、ストレートでGT3カーについていくことができるという評価が出ているというから驚きだ。

「クルマのポテンシャルは高くて、前戦までもシビック・タイプR TCRと比べても良いパフォーマンスは発揮できていました。今回エンジンを変更しましたが、クルマのベースとしても乗りやすかったですし、エンジンのパワーの出方は、衝撃を受けるくらいでした」とドライバーのひとりである大津弘樹はそのパワーへの驚きを説明した。

「スポーツ走行ではGT3カーと一緒に走る機会もありましたが、スリップについて抜けるくらいではないかというくらいパワー感がありましたし、ストレートエンドでも伸びていくので、『TCRでこんなにスピードが出てもいいのかな?』というくらいの衝撃がありました」

 もちろん、走り出しでは低速でのパワーの感じ方など調整が必要だったというが、走行を重ねるごとに調整が進められ、戦いやすいエンジン特性になっているという。

「非常にレースが楽しみですし、とにかく予選でどんなパフォーマンスになるか僕たちも楽しみにしています」と大津は笑顔をみせた。

 また、開発にあたっては大きな副産物もあるという。メディア向けの説明に出席したHRCの佐伯昌浩SGTプロジェクトリーダーは、このHRC-K20Cエンジンは「基本的にこのエンジンは、どちらかというとGT500で使っているNREエンジンに近づけていくことで、熱効率を上げることを同時に行っています」という。

「熱効率を上げた副産物として、燃費は現在スーパー耐久を走っているTCRに対し20%良いものになっています。ラップタイムは良いのに燃費も良い状態で、もしラップタイムが同じだとしたら、燃費はもっと良くなります」

 現在のところ、市販化等の予定は「まだ未定」というHRC-K20Cエンジンだが、汎用性の高さ、パワー、熱効率等、市販レーシングエンジンとして期待が高まるエンジンだ。まずはスーパー耐久でどんなパフォーマンスをみせるか、見逃せないところだろう。

[オートスポーツweb 2025年11月15日]

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