
女優若村麻由美(58)が23日、東京芸術劇場シアターイーストで、出演する舞台「飛び立つ前に」(23日〜12月21日、同所ほか)のプレスコールと取材会に臨んだ。
現代社会で複雑に絡み合う家族の姿を描き、老い、愛、別れなどを繊細な心理劇に落とし込んだ。英ロンドンのウエストエンドや米ニューヨークのブロードウェーで好評を博し、日本初演を迎える。
若村は橋爪功(84)が演じる著名な作家・アンドレの妻マドレーヌ役。「舞台の上では初のおばあちゃん役で大変でした。姿勢が自然とこうなってしまう」と背中を丸めて立った。
今作を書いたフランスの劇作家フロリアン・ゼレール氏は家族をテーマにした3部作「Le Pere 父」「Le Fils 息子」「La Mere 母」で知られる。若村は日本版の3部作すべてに出演。「父」では橋爪の娘を演じたが、今作では50年連れ添った夫婦という間柄。「全く自信がない」とはじめは出演をためらったという。「(妻役で)すてきな2人の娘を持つことができて、今までで一番、家庭の幸せを感じている部分もある。幸せな家庭に嵐がくる、そして飛び立つ。ラストが本当に美しいんです。悔いのないように演じたい」と話した。
誰に観劇してほしいかを聞かれると、感極まった様子でゆっくり言葉を紡いだ。「大切な人を失ったことのある人に見ていただきたい。個人的には昨年、母が飛び立ちました。今月、私の恩師、仲代達矢さんが飛び立ちました。奥さまは随分前に飛び立たれました。そういうふうに今、この世にいない人たちも、私たちの心に一緒にいるという温かな光を感じていただける作品です。安心していらしてください」と語った。
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長女アンヌ役の奥貫薫(55)、次女エリーズ役の前田敦子(34)、「Le Fils 息子」で初舞台を踏んだ岡本圭人(32)、元宝塚歌劇団の男役トップスター剣幸(71)も出席。橋爪はこの日夜の本番に向けて心身を整えるため、急きょ欠席となった。
演出のラディスラス・ショラー氏は「私が橋爪さんに、今日はエネルギーをキープしておいてくださいと頼んだんです」と説明。若村は「アンドレは今、お昼寝をしております」とユーモアをまじえて橋爪の欠席を伝えた。
東京公演後は兵庫、島根、宮崎、秋田、富山でも上演する。
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