名ガレージのRSファインがGOODSMILE RACING & TeamUKYOから離脱。「次の世代に繋げていくべき」と河野高男代表

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2025年12月13日 16:20  AUTOSPORT web

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2025年をもってGOODSMILE RACING & TeamUKYOのメンテナンスから離れることになったRSファインの河野高男代表
 12月13日、初音ミクGTプロジェクトを展開するGOODSMILE RACINGは、秋葉原で行われた『グッドスマイルミーティング2025 Vol.10 公開生放送』の中で2026年のスーパーGT参戦体制を発表したが、最大の驚きとなったのがメンテナンスガレージの変更だ。これまでチームに3回のチャンピオンをもたらしたほか、RE雨宮と組んで戦った2006年にもGT300王座を獲得するなど、最強のメンテナンスガレージのひとつとして活躍してきたRSファインがチームから離れることになった。

 RSファインは、1980年代からレースメカニックとして活躍してきた河野高男代表が25歳のときに興したレーシングガレージ。スーパーGTの前身であるJGTC全日本GT選手権時代の1995年から、マツダ車の名チューナーであるRE雨宮のJGTC参戦時のメンテナンスを担い、長年シリーズでマツダRX-7を走らせてきた。

 2006年には、山野哲也/井入宏之が走らせた雨宮アスパラドリンクRX-7でGT300チャンピオンを獲得するなど、トップチームのひとつとして活躍してきたが、2010年にRE雨宮がスーパーGT参戦を休止。2011年、RE雨宮でも活躍した谷口信輝がGOODSMILE RACING & TeamUKYOに加わるのと同時に、RSファインがGOODSMILE RACING & TeamUKYOのメンテナンスを担当することに。BMW Z4 GT3、さらにメルセデスベンツSLS AMG GT3、そしてメルセデスAMG GT3を走らせてきた。

 この15年の間、2011年、2014年、2017年と3回のチャンピオンを獲得。まさにスーパーGTを代表するメンテナンスガレージとしてシリーズの主役でもあったが、2025年をもってGOODSMILE RACING & TeamUKYOのメンテナンスから離れることになった。

「15年間、本当にありがとうございました」と安藝貴範チーム代表から感謝の花束を贈呈された河野代表は「2010年の年末、安藝さんと初めてお会いしました。その前はRE雨宮というチームをやらせていただいていましたが、2010年で雨宮がレースを撤退するということで、安藝さんに拾われたかたちです。大変感謝しています」と振り返った。

 河野代表は、GOODSMILE RACING & TeamUKYOらしいエピソードも交えて戦いを振り返った。「安藝さんからは、“勝ち”ではなく、クルマのクリーニングをするときはシャッターを閉めて欲しいとお願いをされました」という。初音ミクGTプロジェクトのレーシングカーは、ボディに初音ミクのイラストが描かれている。それを「布で手で拭くなんて当時炎上しかねなかった(笑)」と安藝代表が振り返った、このチームらしいエピソードだ。

 そんな苦労もありつつ、当初は好奇の目で観られていた“痛車”も、ドライバーたちの力、そしてRSファインの力によって、その強さ、速さ、そして情熱的なファンの応援ですっかりスーパーGTに定着した。「ファンの皆さんに見守っていただき、15年間皆さんの応援でレースをやってこられたと思います」と河野代表は語った。

「安藝代表、片山右京監督、谷口信輝選手、片岡龍也選手、本当に皆さんの支えがあったからやってこられました」

「初めてこの仕事を請け負ったときには40代でしたが、僕ももう60代なかばです。通常であれば定年退職の歳になりました。レースを辞めるわけではないのですが、そろそろ次の世代に繋げていくべきかな、という考えをもって相談をさせていただき、僕のわがままを聞いていただいたということです」

 河野代表は、長年チームとともに戦った個人スポンサーにも感謝を述べつつ「15年間本当にありがとうございました。GOODSMILE RACINGは永遠に不滅でございます。僕は普通のおじいちゃんに戻ります(笑)」と笑いをとりつつ、挨拶をしめくくった。

 もちろん、今後もRSファインのレース活動は続き、今はライバルチームのドライバーとして、またスーパー耐久やスーパーフォーミュラ・ライツではエンジニアとしても活躍する河野駿佑がRSファインを継いでいくはずだ。ただ、RSファインのGOODSMILE RACING & TeamUKYOからの離脱は、JGTC/スーパーGTの歴史にとっても大きなひと区切りと言えるだろう。

 2026年からは、スーパー耐久でKTMSのメンテナンスを担当し、RSファインがメンテナンスしていたTKRIとほぼ毎回隣のピットで戦っていたキムインターナショナルがGOODSMILE RACING & TeamUKYOのメンテナンスを務めることになった(両チームとも片岡がプロデュースしているチーム)。河野代表が託す次の世代、どんなチームに成長していくのか、今から楽しみにしたいところだ。

[オートスポーツweb 2025年12月13日]

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