フレディ・スレイター(VANTELIN TEAM TOM’S) 2025スーパーフォーミュラ鈴鹿合同テスト/ルーキーテスト 12月12日、2025年全日本スーパーフォーミュラ選手権の合同テスト/ルーキーテストは鈴鹿サーキットで3日間の日程を終えた。最終日はSF決勝レースの出走経験が4戦未満のルーキードライバー限定の走行枠となり、ホームストレートが強い追い風という好条件の下、ウーゴ・ウゴチュクウ(VANTELIN TEAM TOM’S)が3日間の全体ベストタイムを記録した。
3日目のルーキーセッションに出場したドライバーたちが参加して行われた同日夕方の『メディアミックスゾーン』より、4名の声をお届けする。なお、今回のテストではジャック・ドゥーハン(KONDO RACING)のメディア対応は予定されておらず、ミックスゾーンにも一度も姿を見せなかった。
■梅垣清(docomo business ROOKIE)
今シーズンのフォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズチャンピオンシップで王者となった梅垣清が、ルーキーテストに参加した。
梅垣はdocomo Business ROOKIEの14号車を駆り、40周を走破。ただ、途中にスピンを喫する場面もあり、最後は思うようにタイムを詰めきれず1分40秒219のベストタイムに終わった。
フォーミュラ・リージョナルからスーパーフォーミュラと、梅垣にとっては大きなステップアップとなった今回のテスト。まずはマシンのパワフルさに驚いていた様子だった。
「率直に言いますと、(SFのクルマは)パワー感とダウンフォースもすごくて、正直未知な領域でした。ただ、アクセルを踏み込んでいくごとにダウンフォースを感じれて、グリップ感もあって、まだつかみ取れないところはありましたけど、クルマとしてはとても楽しかったです」
ただ、ニュータイヤでのアタックに関しては、それまでのリズム作りも含めて課題が残った様子。
「午前は赤旗が出て(ニュータイヤでの)アタックができなかったですし、午後イチのアタックでは自分のミスもあってニュータイヤを履けなくて、最後のアタックが自分にとってはニュータイヤでの一発目みたいな感じでした」
「ユーズドタイヤの時もリズム良くタイムを上げられていたのは良かったですけど、午後のセッションで少しリズムを崩したかなと思うところがありました。途中に自分のミスがあった時も、チームの皆さんが迅速に対応してくださって、本当に感謝です」
来季すぐにスーパーフォーミュラ参戦、というよりも、あくまで経験を積むための1日となったが、「こういう経験はなかなか味わうことができないので、来年の自分のレースに活かせるように努力していきたいです」と梅垣。ただ、本心としてはタイムを詰めきれなかったことを悔やんでいるようで「自分の人生のなかで、この上ない経験でした。でも“悔しい”という気持ちが勝ちますね」と語っていた。
■大草りき(PONOS NAKAJIMA RACING)
今回が3度目のルーキーテスト参加となった大草。昨年、一昨年ともにセッション中にコースオフを喫する場面があり、1日のテストを満足に走り込めないまま終わっていたが、今回はノートラブルで午前・午後ともに走り切り、合計で53周(SFの1.7レース分)を走破。トップフォーミュラでここまで走るのは、ほぼ初めてということで、テスト後のメディアミックスゾーンでは疲労感も漂わせていた。
それでも、1日のメニューをこなせたことが何よりも大きかった様子で「やっと普通に走れました」と大草。
「毎年、年末のこの(SFルーキー)テストはトラウマでした。特に昨年はほとんど走れなかったので……。今年はそれだけはしないようにということで、自分のなかでテーマを持って、ちょっとずつ攻めていきました。チームから与えられたメニューもこなすことができて、最後のアタックは引っかかって、ちょっと悔しいアタックになりましたが、気持ち的にも、来年に向けて良い準備ができると思います」と安堵の表情で語った。
しかし、本人も語るように最後はトラフィックの影響でタイムアタックのタイミングがずれてしまい、満足いく走りができなかった。
「最後のアタックが『あぁ……』って終わり方をしちゃいました。1周目に引っかかってしまって、2周目に行かざるを得なくて、タイヤのピークも過ぎている感じで。最終的にタイムは上がりましたけど、もっといけたなという感じでした」と、タイムに関しては悔しさを滲ませる大草。
そしてチームに対しては「NAKAJIMA RACINGのクルマは速いなか、僕がそれを出しきれなかったというのは反省点として、次に乗れる機会があれば、そこを活かしていきたいです。これだけミスしていても、チャンスをいただけることに感謝ですし、それを恩返しできるように、来年どうなるか分かりませんが、また頑張りたいなと思います」と語っていた。
■卜部和久(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)
2024年末のルーキーテストに続き、2度目のスーパーフォーミュラ体験となった卜部。2025シーズンはスーパーフォーミュラ・ライツやフォーミュラ・リージョナル、ポルシェ・カレラカップ・ジャパンをはじめスポット参戦を含めると7カテゴリーものレースを戦い、トレーニング方法も見直すなど経験と準備を積んだことで、初回よりも充実したテストとなったようだ。
「午前はちょっとずつタイムを上げることができ、最後にニュータイヤでのアタックはできなかったものの、手応えはそれなりに感じている状態で、午後に挑みました。S字のひとつ目が今回課題として残っていたのですが、最後に思い切ってアタックしすぎて、2コーナーでちょっとミスをしてしまったり、なかなか満足いくテストとはなりませんでした」
「ただ、走り出しや終盤の体力面、運転をどう向上させていくかといったあたりは去年より成長したと思いますし、チームにも『滑るまでコーナー攻めることができていた』などとは言ってもらったのですが、やっぱり納得はいかないですね」と終始悔しそうな表情を浮かべていたのが印象的だった。
卜部は「ルーキーテストがあるのはありがたい話ですけど、欲を言えばあと3日くらい欲しいところです(笑)」と、積極的に走り込みたいという姿勢も見せる。
そして、2度のテストを経て、日本の最高峰カテゴリーへの想いもさらに膨らんだ様子。
「レギュラードライバーの阪口晴南選手、大湯都史樹選手ともデータロガーを比べたのですが、それを見ても、日本のトップドライバーはとてもレベルが高いと実感しました。自分もまだまだですし、将来ここでしっかり戦えるようなドライバーになっていきたいなと思います」
■フレディ・スレイター(VANTELIN TEAM TOM’S)
今季はフォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパで活躍し、マカオグランプリでも途中まで優勝争いを演じたフレディ・スレイター。すでに来季のFIA F3参戦が決まっているが、将来を見据えて鈴鹿サーキットを経験しておくべく、今回のルーキーテストに参加した。
午前のセッションでは赤旗の影響でタイムアタックができずに終わるなど不運もあったが、午後のセッションで1分37秒480までタイムを伸ばし、4番手につけた。
テスト後に話を聞くと「このコースとこのクルマの組み合わせは、本当に信じられないくらい素晴らしい!」と興奮気味のスレイター。「今日は天気も良かったので、最初のセクターをドライブしていてグリップ感や、ダウンフォースの量も感じることができた。本当に楽しかった」を振り返った。
彼も今季はフォーミュラ・リージョナルを主戦場にしていたこともあり、高いパワーとダウンフォース量を誇るスーパーフォーミュラのマシンを乗りこなしていくのは簡単ではなかった模様。「新しい体験となったが、グリップ、ダウンフォース、パワーが他のカテゴリーと比べて驚異的で、コーナーへの進入スピードは異次元だった」と驚いていた様子だ。
また今回の自己ベストタイムとリザルトに関しては「テストでいくつか試していたこともあったので、一概にタイム結果だけで判断できないこともあるけど、悪くなかったと思う。もちろん改善すべき点はあると思うけど、いろいろなことをトライできたのは良かった」とスレイター。
将来的にF1へのステップアップを視野に入れているスレイターにとっては、F1に近いマシンと言われているスーパーフォーミュラと、日本GPの舞台である鈴鹿サーキットを経験できたことはポジティブに捉えていた。
「F1に行く前に、こういったマシンをドライブできたというのは、すごく良いこと。サーキットに関しても良い経験を積むことができた。いずれにしても、僕にとって2025年の締めくくりとしては良いかたちになったよ」
[オートスポーツweb 2025年12月16日]