
高橋優さんのメジャーデビュー15周年記念ベストアルバム『自由悟然』がリリース。DISC1「優勝盤」、DISC2「優遇盤」、DISC3「優男盤(やさおばん)」と3枚に収録された45曲は、いま思ったことをいま歌う、“リアルタイム・シンガーソングライター”として優さんが15年間その時々に表現してきた想いをのせ歌ってきた楽曲を選りすぐった10年ぶりのベストセレクションとなっています。
12月26日(金)からは、本作を提げたツアー高橋優 15th ANNIVERSARY SPECIAL LIVE TOUR 2025-2026「自由たる覚悟、然として奏ず」を開催。12月26日(金)秋田県・あきた芸術劇場ミルハス 大ホールを皮切りに全28か所30公演での開催となります。本作への想いや今後の展望についてお話を伺いました!
——15周年記念ベストアルバム『自由悟然』、昔からのファンの方はもちろん、最近優さんの楽曲を知った方にも嬉しい内容となっていますね。
僕はもちろんスタッフも含めてみんなでこの15年を盛り上げていくことが、20年、25周年に繋がっていくと思っていて。ただ順風満帆に歩んでいくというよりは、自分たちでトピックを作っていくことが大事だなと思いますし、応援してくださる皆さんにもきっと喜んでもらえることのような気がしたのでこのアルバムを作りました。みんなで楽しもう!という気持ちから生まれた企画です。
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——タイトルも『自由悟然』(じゆうごねん)=じゅうごねん=15年という、優さんらしい遊び心にあふれているなと思いました。
ありがとうございます。今「自由にしていいよ」と言われたら、みなさん何をしますか?と聞いてみたいのですが、そんなこと言われなくたって、本当はきっとみなさん自由にしていいはずなんですよね。でも、そうじゃない気持ちになってしまっているというか。朝起きて、支度して、学校や会社に行くという、なんとなくルーティンの日々を送って、縛られているような感覚。不満があるわけじゃないけれど、なんか疲れてる。そんな時ってあると思うんです。僕も結構そういうのあるんですけど。
ただ、僕の場合は、何をしてもいいよと言われて歌うことを選んでいるので。そもそもが自由に生きさせてもらっていますが、じゃあ楽でしょう?と思われるかもしれないけれど、自由にやってくための覚悟も必要だったと思うんですね。なので自由たる覚悟という意味もこめて『自由悟然』というタイトルにしました。
「どこに行ってもいいよ」と言われても、僕はやっぱりこのアルバムをみんなに知ってほしいし、ライブをしたいですし、お話をしたい。ツアーで全国をまわると「わざわざこんなところまでありがとうございます」なんて、よくみなさんが言ってくれるんですけど、「どこに行ってもいいよ」と言われて、僕はここに来ることをもう1年前から決めているわけだから。それが僕の自由なんだよと。
誰かにコントロールされているのではなくて、選べる自由さの中で、あなたに会いに来ているという感覚を大切にしています。
——今お話を聞いていて、すごく納得しました。私も「どこに行ってもいいよ」と言われてもこうしてインタビューさせていただきたいですし、そう思えることって幸せだなと思いました。
子供の時に「どこに行ってもいいよ」と言われたら、映画館!とか遊園地!とか言っていたかもしれないけれど、今はそれよりもここにいる方が幸せだから。こうしてお話したいし、記事になることを楽しみにしたりとか、ライブで皆さんに会えることが何よりも楽しみだなと思います。
そういうことを改めて噛み締めてみたり、何かに迷ったら、その事実を思い出すとすごく楽になるというか。そもそも自分が好きでやっていることなんだ、ということに立ち返る作品だなと思います。
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——アップテンポな曲、ゆっくりした曲、と楽曲のカラーによって盤が分かれていますが、バラエティ豊かな楽曲にあふれていますね。
ライブの中で、「高橋優はバラードが良いよね」と言ってくれる人もいれば、「いやいや高橋優といえば暴れ狂った様なロックだ」と言ってくれる人もいる。動の高橋優、静な高橋優があると。そんなことを言っていただく機会が多くて、最初は動と静の2枚組にしようかなとも思ったのですが、いや、中間もあるだろうと。プロデューサーの箭内道彦さんが「今回のベストアルバムは、金太郎飴の様にどこを切っても高橋優だ」と言ってくれて、アートワークにも金太郎飴の要素を入れています。
そのコンセプトに沿えば、CDの名前も優勝・優遇・優男と“優”をつけようと、ユーモアをこめています。
——ジャケットの字は優さんの直筆ですが、とっても素敵ですね。
そんなにいっぱい書いた覚えはないけど、10枚ぐらいは書いたような気がします。箭内さんに見てもらいながら色々なver.を書いて。
——採用されなかった字も、ライブ会場に飾ってあったりしたら楽しいだろうな、なんて思いました。
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そうですよね、確かにそうだ。でも捨てられちゃったと思います(笑)。長年やっていると、そういううっかりもあって。確かにメイキング的な展示って面白いですよね。
——いつかまたそういった“高橋優ミュージアム”的なものも拝見したいです。“優男”という言葉も面白いなあと思います。
『いいひと』という楽曲があるのですが、「いい人ですねって言うのは 大抵都合のいい人って意味」という歌詞のちょっとやさぐれた曲。僕も優しいとかいい人って言っていただくこともありますが、優しいだけってモテないんですよね。どこか危ない所があったほうが魅力的というのは男女問わずそうだと思うので、そういうやさぐれも含めて“優男”って面白い言葉だなと思います。
——(笑)日本語って面白いなあと思います。45曲とたっぷりでありながら、15年の歴史の中では入りきらなかった楽曲もありますよね。
泣く泣く入れられなかったという楽曲もたくさんあります。どの曲も僕にとっては大切な曲ですが、今回はこの2025年の12月10日にリリースするという条件の中で、この曲にしようと選びました。ありがたいことに、スタッフそれぞれが「私だったらこの曲入れたい」とか「僕はこの曲絶対入れるべきだと思う」と言ってくれて、それぞれが自分の好きな曲を持っているんだなと嬉しかったですね。
もちろん45曲全て聴いてくれたら嬉しいですし、1曲だけでも気に入ってもらえたら嬉しいですけれど、好きな曲を見つけてもらえたら、過去を掘り下げたり、最近の曲も楽しんでもらえたら何よりですね。
ベストアルバムといいながら最新アルバムのつもりなので、新曲2曲を収録しています。僕の正直な気持ちだけで言えば、もっと新曲をバンバン入れたいですけれど、それだと本当に最新アルバムになってしまうので。本作では過去から現在の高橋優を味わっていただけたらと思います。
——これだけたくさんの楽曲を作られてきて、いわゆる“降りてくる”ことが多いのか、じっくり制作に向き合うのか、優さんはどちらが多いですか?
面白かったのが、先ほど川崎鷹也くんと、wacciの橋口洋平くんと、同じ様なヴィジュアルの3名で鼎談したのですが、鷹也くんは楽曲が「降りてくる」と言って、橋口くんは「拾い上げる」と言ったんですよ。それを聞いて、自分は何だろう?と考えたけれど、僕はとにかく「書き殴る」というか、書き続けて絞り出すみたいな感じかな。あんまり神秘的な楽曲制作じゃないんですよね。
——このベストアルバムを提げての全国ツアーもはじまりますね。
これまで応援してくださっている方々には、高橋優の代表曲のオンパレードみたいなライブになるかと思います。そして、ベストアルバムを記念したライブだからこそ、初めての方にたくさんお会い出来たら良いなと思います。高橋優を初めて知ってくれた方、初めてライブに行こうと思ってくれた方、そういったみなさんに胸を張ってお届けできるライブなんじゃないかなと思っているので。この記事を読んでくださった方、たまたま動画を見た方、ぜひ気軽に遊びに来てほしいです。
僕はライブをライフワークにしていて、ワンマンライブ、ツアーもそうですし、あと秋田での野外フェスなど、みなさんとお会いできる機会を作り続けていきたい。こうして全国に行かせていただけることも、当たり前じゃなくなってしまった時期もあったので、この幸せを噛み締めてみんなで楽しみたいですね。
——これからの15年がもっと楽しみになるライブになることを期待しています!
食事とかね、運動とか、僕なりに一応気を付けていて、自分をしっかりとケアして元気に歌い続けたいですよね。丸くなって、「やりきった」みたいな顔をしているおじさんになるのはまだ早いと思っているので、攻めの姿勢を崩さずこの先の15年も歌い続けます。
——最後に、優さんといえばメガネがトレードマークですが、冬にお鍋やラーメンを食べるとメガネがとっても曇ると思います。そんな時はどうしていますか?!
僕は曇らしたまま、食べます。ベーシストの亀田誠治さんと、「メガネツインズ」というユニットを組ませてもらっていますが、『メガネツインズのテーマ』という楽曲で「アツアツの食事のときにメガネを外すやつらがいるけど あえて曇らせて食べる美学を俺たちは知ってる」という歌詞があって、そういう風に歌っちゃっているんで、どんどん曇らせています。普通にふいたほうが良いと思いますよ(笑)。でも、曇ったメガネからの景色っていうのも、あと何回見られるのかって考えたら…。
——それもオツかもしれませんね(笑)。今日は楽しいお話をどうもありがとうございました!

